飲酒運転防止条例の制定を目指している県議会の検討会(中川康洋座長)は十三日、一度でも違反した人に対し、病院でアルコール依存症の検査を受けるよう義務づける案を示した。初回の違反で依存症検査を義務づけている例は全国にない。条例独自の罰則は設けない方針だ。
案では、摘発した県民の情報を県公安委員会が県に提供し、違反者は指定された医療機関で依存症かどうかの検査を受けなければいけない。福岡県で昨年九月施行された条例では、五年以内に二回違反した場合に依存症の受診が義務づけられ、受診しないと五万円以下の過料が取られる。
三重県では追加の罰則を設けない代わりに、潜在的な依存症患者への医療支援に着目。飲酒運転に至る「背景」の対策をより重視する考えだ。受診しない人には家族に協力を求める。福岡以外で条例がある宮城や山形など四県は、受診を義務づけていない。
今後専門家などに意見を求め、条例案に盛り込むかどうかを最終的に決める。六月ごろに本会議で提案して条例制定を目指す。
県内の飲酒運転は、二〇〇七年の道路交通法の厳罰化に伴って摘発件数が激減したものの、ここ数年は六百件前後で「下げ止まり」の状態にある。県議会は厳罰に頼らない方法で飲酒運転撲滅を目指すとして、昨年秋から条例制定の検討を始めている。
(南拡大朗)
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