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たけしのニッポンのミカタ!:世界を極めるニッポン人!ひらめきで生活が変わる!? ツイート |
2012年12月7日(金) 夜10:00~10:54、テレビ東京系「たけしのニッポンのミカタ!:世界を極めるニッポン人!ひらめきで生活が変わる!?」を見ました。
面白かったので備忘録を兼ねてまとめてみました。
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ゲスト
福岡伸一(青山学院大学教授・生物学者)
中瀬ゆかり(新潮社出版部部長)
「iPS細胞」を開発しノーベル賞を受賞した山中伸弥教授。また、ノーベル賞には輝かなくても、車のエアバッグや点字ブロックそして“カニカマ”まで!日本人の発想や技術から生まれたものが、今や世界中の人たちの生活を豊かにしている。あなたにも世界を変えるチカラがあるかも!?そこで今回は、ニッポン人ならではの“発見・技術力”にスポットを当ててお送りします。
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「まさに、日本国、日本という国が受賞した賞だ。」とインタビューで答える山中教授。
京都大学の山中伸弥教授は日本人で19人目となるノーベル賞を受賞する。山中教授の発見したiPS細胞は病気に苦しむ人々を救う、人類の医療を劇的に変える21世紀の大発見である。
発見に対する情熱、あきらめない精神がこの大発見を生んだのである。
日本の発見・技術が世界のスタンダードに
日本の発見、技術が世界標準になったものを紹介。
自動車エアバッグ開発者:小堀 保三郎氏
※プジョー306に搭載されたエアバッグ。Wikiより。
1951年に遡る自動車エアバッグの開発。日本の小堀保三郎は現在のエアバッグの基になっている技術を1963年に発明し、14カ国で特許をしました。しかし彼は、エアバッグシステムの普及を見ることなく1975年に生活苦のため亡くなっています。
非常口マーク(世界標準) 発案者:太田 幸夫氏
※非常口のピクトグラム(絵文字)。
調べましたが、ちょっとした経緯があるようです。非常口のデザインが1979年に公募され、およそ3300人の応募の中から小谷松敏文氏の作品が選ばれました。その後、改良を経て1982年に国内で制定し、1987年に国際規格ISO 6309に組み込まれ、国際標準になりました。
番組で紹介されていた、太田幸夫氏はこの改良と最終案の策定、国際規格制定に関わったということのようです。
※1979年公募時の受賞作。一番右が小谷松敏文氏の作品。「様々な応募案」より。
乾電池 開発者:屋井 先蔵氏
左:矢井乾電池 右:矢井先蔵氏 「電池の歴史」より
英文wiki等を見ると、1888年にドイツのガスナーとデンマークのヘレンセンが乾電池の発明に関して先陣争いをしています。(社)電池工業会の「電池の歴史」を見ると、それより1年早く1887年に乾電池の開発に成功したとなっています。同工業会は英文ページも開設しており、これにより、「蓄電池の歴史」のWiki(日本語なし)にも屋井乾電池が掲載されています。
※1913年(大正2年)8月23日、朝日新聞に掲載された屋井乾電池の広告。
電池の歴史 (社)電池工業会の電池の歴史。
乾電池の発明者は日本人だった 理大ゆかりの屋井先蔵 東京理科大の解説。
History of the battery 蓄電池の歴史(英文)。日本語なし。
乾電池 - Wikipedia 乾電池のWiki(日本語)。
点字ブロック(世界標準) 考案者:三宅 精一氏
安全交通試験研究センターの初代理事長である、三宅精一が1965年に発案・発明しました。1967年3月18日、岡山県立岡山盲学校に近い国道に世界で初めて敷設されました。その後、日本の各地に伝わり、世界中に広まりました。
日本は「視覚障害者誘導用ブロック」の先進国であり、多くのブロックを日本中で見ることができます。
視覚障害者誘導用ブロック - Wikipedia 点字ブロックのWiki。
目の不自由な方やお年寄りの方に、声がけを。 政府広報オンライン。点字ブロックの説明あり。
カニカマ 考案者:丸井 時光氏(1972年)
※一般的なカニカマ。Wikiより。
Wikipediaの「カニカマ」には以下のように記載されています。
「1973年(昭和48年)に石川県七尾市の水産加工メーカーであるスギヨが、着色・着香した蒲鉾を細く裁断した商品である「珍味かまぼこ・かにあし」を発売したのが最初である。スギヨの三代目社長杉野芳人が、コンブから取れるアルギン酸で人工クラゲを作ろうとしていたところ、その失敗作がカニの食感に似ていることに気づき、人工カニ肉の製作を思いつく」
一般的には3代目社長の杉野芳人氏が開発者とされていますが、番組では丸井氏の写真も出ていました。現場の技術者の方なのでしょうか。
1973年に発売された「珍味かまぼこ・かにあし」はバラタイプで、カニの足にはなっていませんでした。スティックタイプのカニカマは1974年9月 大崎水産が発売したものが最初です。
左:1973年、スギヨから発売された「珍味かまぼこ・かにあし」。
右:2006年発売の「香り箱」。カニに酷似したカニカマ。第45回農林水産祭最高賞、天皇杯受賞
国内では様々なメーカーがカニカマを製造するようになった需要の高まりを受け、1979年(昭和54年)に山口県宇部市の食品機械メーカーであるヤナギヤがカニ風味蒲鉾製造機を開発しました。これにより、機械による大量生産が可能となり、1982年には海外への販売も開始します。ヤナギヤの海外進出によりカニカマは世界中で製造されるようになりました。2011年では、ヤナギヤのカニ風味蒲鉾製造機械は世界シェアの70%を占めています。
2012年9月20日の、「カンブリア宮殿」でもヤナギヤが紹介されていましたので覚えている方も多いでしょう。日本以外でカニカマを最も消費している国はフランスで、フランスで「スリミ」といえば知らない人はいませんでした。フランスではカニカマのことを「スリミ」という名称で販売していました。
カニカマ - Wikipediaまずはここから。
株式会社スギヨ スギヨの公式サイト。
カンブリア宮殿公式サイト 2012年9月20日放送 ヤナギヤ社長、柳屋芳雄氏の紹介。
日本のお家芸 アイデアと発見
スタジオに場面が変わり一括で紹介。
ニッポン人発で世界のスタンダードになったものは次のようなものがある。
使い捨てカイロ、カニカマ、カメラ付携帯電話、タッチパネル、非常口マーク、点字ブロック、シュレッダー
また、以下のようなものも挙げられる。
青色発光ダイオード
アメリカ合衆国のカリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)教授、中村修二氏の発明。日亜化学工業に勤務する会社員時代に発明した。これでLEDで光の三原色が揃いどのような色も作ることができるようになった。世紀の大発明である。
くらげの発光蛋白
※発光するオワンクラゲ。
オワンクラゲは「緑色蛍光タンパク質(GFP)」の働きにより青白く発光します。この物質は1960年代に下村脩氏により発見されました。GFP遺伝子は1992年に単離され、自然由来の手軽な蛍光標識として生化学の実験分野で広く用いられています。下村脩氏はこの研究により、2008年度のノーベル化学賞を受賞しました。
本のしおり(ひもの栞)
海外の本には、ひもの栞は無い。
週刊誌の袋とじ
週刊誌の袋とじページも日本独特のものである。
また、1950年オリンパス光学工業が開発した胃カメラが内視鏡先進国ニッポンの先駆けとなった。
「掃除機と○○」ニッポン人の組み合わせ力
シャープ製の画期的サイクロン掃除機。すぐにごみがいっぱいになる欠点を克服し、40日間ゴミ捨てをしなくて良い製品を生み出した。
シャープ株式会社開発担当 公文ゆいさん(25歳)、大塚雅生さん(42歳)。次々に発明をし数々の受賞歴を持つ名コンビ。
2010年
(社)日本電機工業会 電気工業技術功績者表彰 優良賞
(財)電気化学技術奨励会 電気化学技術奨励賞
2011年
(社)日本機械学会 関西支部賞
(社)日本電機工業会 電気工業技術功績者表彰 優良賞
2012年
(社)日本電機工業会 電気工業技術功績者表彰 優良賞
(社)日本電機工業会 電気工業技術功績者表彰 奨励賞
吸引力が低下しないサイクロン掃除機には問題点があった。それは頻繁なゴミ捨てが必要なことである。
大塚は、サイクロン掃除機のごみ圧縮に頭を悩ませていたが、公文の猫に関する発言にヒントを得て、スクリュー部分に猫の舌からヒントを得た突起をつけた。
猫は身体の毛を舌で毛づくろいし、舌で舐めとった毛を胃の中で丸め毛玉を吐く。この猫の舌にヒントを得たのである。猫の舌にはこのためざらざらした突起がついている。
これにより、ごみを簡単に圧縮し、40日間ゴミ捨てをしなくても良い掃除機が誕生したのである。
組み合わせの発想力と、細かな目の付け所、この二人は電化製品と生物を組み合わせる生物模倣(バイオミミクリ)のスペシャリストである。
自然淘汰の中で生物の身体は優れた形態を備えてきた。それを家電に応用することにより、いきなり完成形の製品を作ることができるのである。
この二人は生物との組み合わせで他にも画期的な製品を生み出している。
電気代が18%安くなる洗濯機
水流を強にしたときの電力増加を抑える工夫。イルカの尾びれを模した立て板を底(パルセーター、スクリュー)の裏につけ縦の水流を生み出し、イルカの体表のしわを模した模様をつけることにより水流の摩擦を減少させ、消費電力を低減させた。
炊飯器の洗米
米は手で研ぐと、表面の栄養まで流してしまう。これを防ぐため、洗米器にペンギンの羽を模倣し、米の栄養価を損なうことの無い洗米を実現した。
他にもバイオミミクリには次のようなものがある。
痛くない注射針
蚊の針を模して開発された。
汚れにくいタイル
カタツムリの殻の表面の微細構造を模し、汚れにくいタイルを発明した。トイレの水を流すところに採用した製品もある。
日本人は子供の頃から昆虫採取などを行い、自然と親しみ細かい観察をする力を身に付けている。このようなオタク文化が発見基礎力となっているのではないか。
組み合わせの妙
本のタイトルでも組み合わせはある。
「もし、高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」
高校の女子マネとドラッカーの「マネジメント」の組み合わせ効果でヒットした。
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 562
インフルエンザ
冬に流行するインフルエンザ。しかし、昨年これが激減した地域があった。それが佐賀県有田町。そこにあるリンビニー幼稚園を訪れた。
県内でインフルエンザが流行する中、何故か有田町には全然はやらなかったという。
それは、ヨーグルトに秘密があった。R-1乳酸菌はNK細胞(ナチュラルキラー細胞)の活性化し、免疫力が向上し、インフルエンザに感染した細胞を淘汰してくれるのである。
このヨーグルトを摂取していた有田町のインフルエンザ累積感染率は周囲の1/10以下に留まったという。
乳酸菌は何万種類もあり、どれが何に効くかはわからない。世界中の研究者が1種類づつ調査をしている。
マイクロニードル
また、インフルエンザと言えば予防接種がつきもので注射が痛い。それを防ぐ発明も日本人がしている。
コスメディ製薬 開発者 神山文男社長。
それが、世界初となる「貼るワクチン」。マイクロニードルと呼ばれる長さ0.8mm程度のワクチンを含んだ極小の針が並んだパッチを専用器具で皮膚に貼りつけるものである。
ヒアルロン酸でできた針は溶けて中のワクチンとともに体内に吸収されるという仕組み。皮膚の表面で溶けるため痛みを感じにくい。
マイクロニードルは、自分でワクチンを打てる、常温保存ができる、持ち運びが可能、などのメリットがある。
「思いやりの力」が生んだ奇跡の発明
※ オーデコ(AuxDeco)一式。
※オーデコで風景を認知する概念図。
開発者は株式会社アイプラスプラスの菅野米蔵氏。カメラが前方の風景を電気信号に置き換え、おでこに電気刺激で伝え、リアルタイムで目の前の動きを感じ取ることができる製品である。
今から14年前、出勤中にバス停で不安そうに立っている目の不自由な小学生の男の子を目にして、それからその子のために何かできないかと考え続けていた。
開発には3つのヒントがあった。
そのひとつが酔っ払い。酔っ払いは周りが良く見えなくてもものにぶつからず歩くことができる。完全に見えなくても輪郭だけでも障がい者の役に立つのではないかと考えた。
次にどうやってこの情報を伝えるか?ヒントになった映像があった。イギリス出身のパーカッショニスト、エヴェリン・グレニー。彼女は生まれつき耳が聞こえないが、足の裏で振動を感じているという。
足の裏が鼓膜になるのであれば、おでこも盲目として使えるのではないかと考えた。おでこというのはどこかへ向うとするときに、その方向を向くので目で見る感覚に近い。
情報を伝える方法は、低周波マッサージを使っているときにひらめいた。この電気刺激使って情報をおでこに伝えれば良いのではないか。
※オーデコで視覚を認識する仕組み。
この3つのひらめきでオーデコは完成した。
①カメラでモノの輪郭を撮影
②電気信号に変換
③おでこに刺激で伝える
1人の男の子に何か作ってあげたいという思いが、オーデコを生んだのである。
オーデコを使用している視覚障がい者のSさん。Sさんは4年前に結婚したが、オーデコを使用し、触らないで妻のウエディングドレス姿を「見る」ことができて、とても嬉しかったという。次は夫婦でオーデコを使って赤ちゃんの形を感じるという夢があるという。
開発者の思いを超えて、実際に障がい者の役に立っているのである。
株式会社アイプラスプラス 視覚障害者用生活支援システム、オーデコの開発会社。
「日本という国が受賞した」は本音?皮肉?
国別の科学系ノーベル賞受賞者数だが、2001年以降に限って言えば日本は世界第2位である。
1位 アメリカ 43人
2位 日本 10人
日本の研究環境から考えると凄いことである。
アメリカは研究者の数も多く、予算もふんだんにある。例としてiPS細胞などの幹細胞の研究費はアメリカが約657億円(NIH、アメリカ国立衛生研究所出資額)、日本は約11億(文部科学省出資額)円である。
日本はこの少ない金額すら、民主党により事業仕分けされそうになった。
山中教授はiPS細胞に関する特許を取得した上で、誰もが安く再生医療研究に取り組める環境を作ろうとしている。
ビジネスだけでなく、みんなで研究できる環境を作ろうとしているのが日本的である。
アニメを現実に!「夢見る力」で未来を創る
※ASTACOの新型ASTACO NEO。
日本人ならではの夢が生んだ、巨大ザリガニ、2本腕のショベルカー。日立建機が開発したASTACO。
世界初の双腕式ショベルカー、名前は「ASTACO」。英語のAdvanced System for Twin Arm Complicated Operations(双腕複雑操作先進システム)の頭文字と、見た目がザリガニに似ているので、スペイン語でザリガニを意味する「ASTACO」をかけて名前を付けた。
2本腕のメリットは、左手につかんだ廃材を右手で切る、押さえて砕くなど、一台で二つのことが可能である。
ASTACO誕生のきっかけはガンダムである。ガンダム世代の石井啓範主任研究員は、子供の頃からの夢でガンダムに近いショベルカーを作ったのである。価格は2,360万円。
左:ASTACO NEOのコクピット。操作系がほぼガンダムと同じ(笑)。
右:ASTACO(初代)
石井さんより上、先輩の世代は鉄腕アトムに憧れて、自分で動くロボットを作りたいと思っているが、下の世代である石井さんはガンダムのように自分が載って動かすロボットを作りたいと思っていた。
日本の油圧ショベルは、繊細な動きを得意としてるので、2本腕になってもっと細かい動きができるのである。
双腕作業機「ASTACO」 日立建機公式サイト。
双腕仕様機(ASTACO NEO) 新型の解説。操作系の図解は必見。
最後にニッポンの研究者・開発者に3つの質問をし印象深い回答を紹介して番組は終わりとなりました。
Q.尊敬する人は誰ですか?
一番多い回答は「両親」。父がエンジニアであるという人も複数いた。
Q.日本人に生まれて良かったことは?
「日本人としての信用」「伝統と恥を知る心」などの回答が返ってきた。
Q.子ども時代のヒーローは?
一番多い回答は「機動戦士ガンダム」
まとめとしてビートたけしが語ったのは、発想や技術に宿る「心」がこれからのニッポンの武器になる。日本の「心」を世界標準として輸出する時代が来るのではないか、ということであった。