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東通原発の周辺5市町村 防災計画の策定が難航

 東北電力東通原発(青森県東通村)の事故に備え、青森県の原発周辺5市町村に義務付けられた地域防災計画の策定作業が難航している。計画の基となる原子力規制委員会の指針が、多くの項目で詳細を決めていないためで、期限の3月18日まで策定が間に合うかどうか不透明な状況だ。

 5市町村は、東通原発から半径30キロ圏内の東通村、むつ市、六ケ所村、横浜町、野辺地町。規制委が昨年10月に示した原子力災害対策指針により、原発事故時に避難する方法を検討する「緊急防護措置区域」に入る。3月18日までに、住民の避難基準などを盛り込んだ計画を策定しなくてはならない。
 県は先月24日、5市町村の首長や担当者らを集めた防災会議原子力部会を開催。規制委の指針を基にした県地域防災計画の骨子を示し、市町村での策定作業の参考にするよう通知した。
 だが、県の骨子では(1)原発周辺の住民に甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤をどのように配布し、備蓄していくのか(2)安定ヨウ素剤で万が一、健康被害が出た場合の責任の所在(3)放射線を測定するモニタリングの役割分担−など、規制委が詳細を示さなかった多くの課題がそのままになっている。
 このため、会合では策定を進める市町村の担当者から「具体的記述のない中途半端な計画が、逆に住民の混乱を招かないか心配だ」と不安の声が相次いだ。
 野辺地町の中谷純逸町長は「3月まで時間がない。県は町との連携を密にして」と強く要望。横浜町の野坂充町長は「安定ヨウ素剤を用意するのが国か県か町か、それすら分からない。仮に町ならば財政上の問題もあるので、早く最終指針を示してほしい」と訴えた。
 規制委は本来、昨年4月に発足する予定だったが、与野党の対立で半年延びた。政局のツケが地方に回ってきた形だ。県の地域防災計画も期限までに策定しなくてはならず、県幹部からは「本来なら、もう少し余裕を持って取り組むことができたはず」とのぼやきも聞こえる。


2013年02月08日金曜日


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