【アジアの目】親日国ミャンマーの歴史教育 (2/2ページ)

2013.2.14 05:00

ミャンマーの8年生の歴史教科書。アウン・サン将軍以下30人の独立の志士と、独立支援を任務とする南機関を率いた鈴木敬司大佐の写真が載っている(根本氏提供)

ミャンマーの8年生の歴史教科書。アウン・サン将軍以下30人の独立の志士と、独立支援を任務とする南機関を率いた鈴木敬司大佐の写真が載っている(根本氏提供)【拡大】

 --日本占領下の様子についてはどう教えているのか

 「事実を淡々と教えている。占領期の行政や経済、生活という項目を高校最終学年の10年生で教える。物価がどのくらい上がったとか、物不足や英国軍の空襲でいかに大変だったとかだ。日本軍が強制労働を課したので泰緬鉄道の建設、橋や飛行場の工事に動員されたという話も出てくる。ただ淡々と記述されており、日本への憎しみをあおるような表記ではない」

 ◆独立援助は禁句

 --反日教育は行っていないといえるか

 「教師の指導書には憲兵隊に必ず触れるよう書いてある。日本語からきた『キンペイタイ』という言葉だ。指導書には、どういう拷問を憲兵隊が行ったかを授業で教えるようにとある。爪を剥いだとか、熱湯に手を入れさせたとか、いくつもの事例が挙げられ、それを授業で触れるようにと記されている。手元にあるのは2000年の教科書だが、その後、教育内容が大幅に変わったとは聞いていない。現在、成人になっている人は、こういう歴史教育を受けているのは間違いない」

 --ミャンマーの人々とつきあう上で、気をつけないといけないことはなにか

 「間違っても、日本がビルマの独立を助けたなどと言ってはならない。日本の支援で独立したなどといえば、彼らはすぐ顔には出さないが、積もり積もって、大きな反発を受けることになる。また、日系企業で働くビルマ人の友人は、上司が(野党指導者の)アウン・サン・スー・チー氏の悪口ばかり言うのに、上司だからと思って反論しなかったら、『やはりビルマ人は本音は彼女が嫌いなんだ』と勘違いされ、困ったと話していた。日本人以上に感情をなかなか見せないし、相手に配慮するという国民性をもっと理解すべきだろう」(聞き手 宮野弘之)

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