--日本占領下の様子についてはどう教えているのか
「事実を淡々と教えている。占領期の行政や経済、生活という項目を高校最終学年の10年生で教える。物価がどのくらい上がったとか、物不足や英国軍の空襲でいかに大変だったとかだ。日本軍が強制労働を課したので泰緬鉄道の建設、橋や飛行場の工事に動員されたという話も出てくる。ただ淡々と記述されており、日本への憎しみをあおるような表記ではない」
◆独立援助は禁句
--反日教育は行っていないといえるか
「教師の指導書には憲兵隊に必ず触れるよう書いてある。日本語からきた『キンペイタイ』という言葉だ。指導書には、どういう拷問を憲兵隊が行ったかを授業で教えるようにとある。爪を剥いだとか、熱湯に手を入れさせたとか、いくつもの事例が挙げられ、それを授業で触れるようにと記されている。手元にあるのは2000年の教科書だが、その後、教育内容が大幅に変わったとは聞いていない。現在、成人になっている人は、こういう歴史教育を受けているのは間違いない」
--ミャンマーの人々とつきあう上で、気をつけないといけないことはなにか
「間違っても、日本がビルマの独立を助けたなどと言ってはならない。日本の支援で独立したなどといえば、彼らはすぐ顔には出さないが、積もり積もって、大きな反発を受けることになる。また、日系企業で働くビルマ人の友人は、上司が(野党指導者の)アウン・サン・スー・チー氏の悪口ばかり言うのに、上司だからと思って反論しなかったら、『やはりビルマ人は本音は彼女が嫌いなんだ』と勘違いされ、困ったと話していた。日本人以上に感情をなかなか見せないし、相手に配慮するという国民性をもっと理解すべきだろう」(聞き手 宮野弘之)