◇実力以上、器以上の立場になると苦しむ。

今まで私は、ある意味、このシリーズで一般社員の立場からお話した。
次に、責任者クラスの内容について語りたい。
以前にも申し上げたが、この内容はあくまで「方法論」である。
だから、参考程度にしていただければと思う。
さて、多数の部下を持つ責任者として考えよう。
一般社員と違うのは、自ら実務を行う立場ではないということ。
多数の社員に力を発揮してもらうことが職務だ。
経験者は分かることであるが、命令をしたからといって人は動かない。
もちろん、多少は働く。あくまで、そこそこは給与に従い動く。
しかし、そのような“気の抜けた仕事”では、厳しい競争社会の中でビジネスは成り立たない。人は心1つで、10倍の仕事をするし、ヘソを曲げたら10分の1の仕事しかしなくなる。
自分で仕事をするのと違い、人に仕事をしてもらうことは、ある意味別の仕事である。故に、「名選手が名監督になる」とは限らないのである。
私は、30歳のころ、器を超えた組織を持ったことがある。
2部門で約50名の人々を受け持った。
1部門は、私の過去からの組織、もう一つは急に任された“不満が充満した組織”であった。
その最初の全体会議では、責任者になったばかりの私に不満の質問が集中した。まだ、私は若かったし、その声を心で受けたからボロボロになった。
1つ1つの問題や不満の解消は容易でないことばかり。
完全にノックアウトされたのである。
まだ、彼らを受けとめる力も器もなかった。何が何だか分からなかった。
苦労惨憺して数年かけて事態を収めたが、その組織がある程度良くなってから、別の担当者がその組織を持つことになった。
後任者は楽である。良くなった組織を受け持つのだから。
私は一番大変な時代を背負い苦労した。しかし、その苦労が今の私の基盤を作っている。
さて、責任者としての考え方と行動とはいかなるものであろうか。
次回から、管理者という立場でお話したいと思う。
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