『アリスCD』収録のビジュアルノベルです。小作品ですが、それなりに味のある一品ですので、「文字を読むのなんか嫌い」という方以外は、一度ご覧になることをお勧めします。もっとも、「文字嫌い」な方は、こんなサイトはそもそも見ないような気もしますが(^^;)
なお、タイトルは「うみにおちて」と読みます。
『アリスCD』収録のビジュアルノベルです。小作品ですが、それなりに味のある一品ですので、「文字を読むのなんか嫌い」という方以外は、一度ご覧になることをお勧めします。もっとも、「文字嫌い」な方は、こんなサイトはそもそも見ないような気もしますが(^^;)
なお、タイトルは「うみにおちて」と読みます。
太平洋横断航行をヨットで単身行っていた、楠征司。彼は、墜落した小型飛行機と遭遇し、唯一の生存者である少女を救出した。少女の名は笠原夏奈美。彼女は人には言えないようなものを背負っていた。この2人は、大海の中で、どんな関係になっていくのか。
まさに「読む」ものなので、粗筋を書くのは控えます。上記は、あくまでも導入部です。続きは、本編をどうぞ(^^)
内容としては、シナリオに斬新さを持っているわけではないにせよ、サウンドとCGとを伴ったノベルとして、かなりいい出来のものと思います。テーマ的にそそるものがあるわけではないのですが、シナリオの展開はキッチリとしており、下手なイベント依存型のゲームに比べれば、こちらの方がよりしっかりしているという印象を持っています。
テキスト描写には、かなり特殊な知識を元にしているケースなどがありますが、それも、嫌みな説明口調を極力排し、ごく自然に語っているのが好感を持てます。
また、会話文における間の置き方が秀逸ですね。「……」あるいは「、」こういった「符号」は、使い方しだいでテキストの品位を大きく左右するものです。これで大失敗しているゲームも少なくない(例:『Silver Moon』など)だけに、文語の会話表現をスマートにこなしているのには、非常に心地よく感じました。
ちなみに、「アリスソフトのことだから、徹底的に救いのないシナリオなのでは…」と危惧されている方も、大丈夫です。最後には笑顔で締めくくることができるようになっています。
完全に一本道のデジタルノベルです。選択肢というものは存在しません。
私の環境では、そのままインストールするとBGMが再生されませんでした。『アリスCD』内から「蒼海MA.ald」ファイルをコピーして「読みとり専用属性」をオフにし、エクスプローラなどから直接「SYSTEM36.EXE」を実行すれば、音が出るようになります。
ひたすら、マウス左クリック(エンターキーも可)を続けるだけです。ゲーム中断には、右クリックから真ん中にある「しおり」を選択すれば、それがセーブになります。まさに「しおり」であり、既読・未読といった識別をすることはありません。また、読み返し機能がついています。
最後までいくと、強制終了するしかないのは、ちょっと驚きました。まぁ、スタート画面に戻ったところで、何もないので、読み終えればそれで終わり、というのもいいのですけれど。
CGモードやBGMモードはありません。
BGMは、MIDIで演奏されます。やや暗めで、単調な感じに聞こえますが、これがないとこのゲームのテキストには合わないな、と、いつしか感じてしまうのだから、不思議な魅力があるというべきでしょうか。
枚数自体は少ないのですが、しっとりとした質感を帯びたグラフィックが印象的です。ヒロインである夏奈美は、やや髪が多くて目線が低いものの、その「笑顔」をうまく描けているな、と思えます。個人的に、「サングラスをかけた夏奈美」がお気に入りです(^^)
主要な登場人物が2人しかいないので、あまり意味はありませんが(^^;)、やはり、夏奈美ですね。これからも壁が多いとは思いますが、幸い多かれ、と。
ボリューム的に「おまけ」扱いとなってしまうのは悲しいところですが、カッチリしたテキスト描写、そしてメリハリのあるシナリオは、十分に評価できるものです。『アリスの館456』所収の『アトラク=ナクア』とは、ボリュームからして比較になりませんが、このシナリオを、より明確な「世界設定」をベースとしたうえで膨らませれば、かなりのものができそうです。
『ぱすてるチャイム』を購入&プレイして思ったのは、アリスソフトには、こういうシナリオ依存型のゲームが、もっとも期待できるのではないか、ということです。第二の『アトラク』が出ることを期待しています。