「Androidの品質」で思い出したのが、ソフトバンクでAndroidスマホの開発を担当する関係者の言葉だ。
「うちの社員はみんなiPhoneを使っている。だから、メーカーから提案されるAndroidスマホに対して、とても厳しい要求を出す。iPhone並みのクオリティじゃないと、満足できないからだ」
実際、ドコモの担当者が「OK」というような仕様でも、ソフトバンク担当者だと「ダメ出し」をするケースもあるという。iPhoneを取り扱っていることで、全体の品質管理が向上していくのだという(だが、いくらソフトバンクのAndroidスマホが使い勝手が良くても、販売現場の主力はiPhoneなので、あまりユーザーの手に届かないのが残念ではあるが……)。
iPhone売りたいけど、日本メーカーが苦境に
悪いイメージにとりつかれてきたAndroidスマホだが、OSがAndroid 4.0以降になってからは、どのキャリアの端末もかなり品質が安定してきている。特にこの冬モデルから春モデルにかけては、「クアッドコア」のチップセットが良くて、とても機敏に使えるようになっていると思う。
最近は海外メーカーだけでなく、日本メーカーもAndroidスマホの開発がこなれてきたことを実感している。実際、普段から「AQUOS PHONE ZETA」と「HTC J butterfly」を使っているが、とても快適だ。
日本メーカーもここにきて、ようやくノウハウを蓄積し、高い品質のスマホを作れるようになったのだろう。本来であれば品質管理は日本メーカーの得意とするところであるだけに、なんとか「Androidも安定して使える」ことを証明してマイナスイメージを払しょくし、アップル、iPhoneに品質面で肩を並べてもらいたい。
冒頭のドコモ関係者に対し、「こうなればいっそのこと、ドコモもiPhoneを導入しちゃえばいいんですよ」と強めに突っ込んだら、「うぅ、それでは日本メーカーが倒れてしまいますよ」とのこと。
彼が言うように、もしドコモがiPhoneを導入するようなことにでもなれば、日本メーカーへの打撃は避けられそうにない。おそらく、スマホ事業から撤退を余儀なくされるメーカーも出てくるだろう。厳しい選択を迫られるのは必至だが、スマホ時代になり、日本と世界の垣根が既に無くなっているのも事実だ。ソフトバンクがiPhoneを導入したことで品質を底上げしたように、競争環境を促進し、日本メーカーを強くするためにも、NTTドコモは一刻も早く“鎖国”を解き、強敵を迎える必要があるのではないだろうか。