東京地検特捜部が犯した違法行為の証拠が見え始めた。小沢一郎元民主党代表が土地購入をめぐって政治資金規正法違反で強制起訴された陸山会事件で、特捜部は「小沢氏シロ」となるような捜査記録を検察審査会に送付していなかった。拙ジャーナルで幾度も取り上げてきた。
特捜部が意図的に検察審査会に送付しなかった捜査記録(不起訴記録)とは、「水谷建設以外のゼネコンは『小沢氏に裏金を献金したことはない』と供述した」調書の類だ。これが70点もあったことが9日、明らかになった。小沢元代表の弁護人の求めに応じて、検察官役の指定弁護士が提出したのである。
すでに市民団体が特捜部を偽計業務妨害の罪で刑事告発しているが、70点もあったことに改めて驚く。
一方で、「石川知裕被告が小沢氏の関与を認めた」とする供述調書を捏造し、こちらは検察審査会に送付している。「シロ」は送らず、「クロ」を捏造して送ったのである。腐り切った体質には呆れ果てるばかりだ。
元検事で裏ガネ問題や政治資金規正法に詳しい郷原信郎弁護士は10日、都内で緊急記者レクを開き次のようにコメントした―
「検察審査会による起訴議決の有効性を裁判所は問うべきだ」「無茶苦茶なことが行われた。2度としてはならない、という強い意志を検察は示すべきだ」。
送付されなかった70点の捜査報告書は現時点ではリストしか明らかにされていない。郷原弁護士は「内容もすべて公開すべきだ」と強調する。
「小沢氏に裏ガネを渡していない」とするゼネコンの供述内容がすべて明らかになった時、でたらめの限りを尽くした検察の実態も白日の下にさらけ出される。陸山会裁判の大きな曲り角となることは確実だ。
裁判所はどのような判断を下すのか。司法の体質が厳しく問われることになりそうである。
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