いやー、この記事すばらしすぎます。感動。
20代の社員に「アホは出口さんです」と言われました:日経ビジネスオンライン
部分的に負けを認めて任せる
出口社長はウェブコミュニケーションの領域については、若手社員の言うとおりにする、という方針を貫いているそうです。
ただ、コミュニケーション、とりわけウェブでのコミュニケーションは、その舞台での中心が20代30代です。だったら彼ら彼女らの文法に従うのが筋、というものです。以来、私は、ライフネット生命に関するウェブ・コミュニケーションやPR、宣伝戦略については、20代社員の言う通りにする、と決めました。
(中略)ウェブ・コミュニケーションの企画について、私が事前に聞くことはいっさいしません。社員に「やれ」と命令されたら、全部やる。そう決めているので、事前に知る必要がないのです。
どうでしょう、そして生まれたのが「ライフネット生命 出口社長におもしろいセリフを言わせよう!」、
「納豆を10万回混ぜてみる」などの企画です。いずれも話題を呼び、ライフネット生命の認知度と好感度を上げる一手となったといえるでしょう。
60歳を過ぎた歴戦のビジネスマンが「アホは、私でした。」と負けを認めることができるのは、すさまじいことだと思います。ぼくは出口さん以外に、こういう年上をほとんど見たことがありません。かくいうぼくも、60歳を超えたとき「アホは、私でした。」と素直に言えるかというと、あまり自信がありません。
ウェブ・コミュニケーションは分かりやすいですが、「年長者が若手に勝てない領域」があるのは当たり前のことです。自尊心だか何だかは知りませんが、このシンプルな事実を認めることができない「オトナ」はとても多いです。そんで「若手は下積み三年だ!」と押しつけたり。
無論、若手が年長者に勝てない部分があるのも当たり前です。が、組織で動く上で大切なのは、構成員の強み・弱みをフラットに考慮し、パズルのように各プレーヤーの能力を組み合わせていくことでしょう。権威主義を維持するために、若手の強みを殺すのはもったいない話です。
年長者への尊敬というものは、自然と醸成されるものです。すばらしい振る舞いをした結果、「やっぱり年長者はすごい」という尊敬を、若手は自動的に抱くのです。「尊敬せよ!」と押しつけるのは違います。
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願わくは、すべてのおじさんたちが出口社長を見習い、若者に対して部分的に負けを認め、若者を信頼し、任せる管理能力を身につけてほしいものです。
こうしたリーダーシップを実現するためには「人を見る目」が求められます。権限委譲をするためには、それに足る人材を見つける必要があるからです。なんでもかんでも若者に任せればいい、というのは違います。
この「人を見る目」こそまさに、年長者が強みを持っている能力でしょう。長く生きてきたということは、それだけ人を見る目を養うことができるということですから。
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