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経済
TPP参加交渉、自動車や保険分野で隔たり
自民党が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加の基本方針として、自動車の輸入目標枠の拒否や医療の国民皆保険制度の維持など、非関税分野の条件を提示したことで、安倍晋三政権での交渉参加に向けたハードルは高くなった。オバマ米大統領が交渉妥結に意欲を示す中、参加の判断を先送りすればTPPのルール作りから取り残される。
日米通商当局による事前協議では、米国が自動車や保険分野で厳しい姿勢を見せている。自動車分野では、「国内での外国車の流通網が閉鎖的」として批判。日本側には「米国車の輸入目標数値を押しつけられる」(交渉筋)との懸念がある。
また、保険分野では、健康保険の対象を超える診療について自由診療として追加料金を認める「混合診療」の解禁が課題になる可能性がある。日本医師会は「お金のある患者とない患者で、受けられる医療に格差が生じる」と反発する。
これに対し、安倍首相は「日米首脳会談で(聖域なき関税撤廃を前提としないことの)感触が得られたら、さまざまな影響を考え、参加の最終判断をする」との見解だ。関税撤廃の例外品目が認められば、交渉参加を表明する可能性を示唆してきた。自民党側が今回、非関税分野も条件に突きつけたことで、党内調整は難しくなりそうだ。
日本の交渉参加へのタイムリミットは近づいている。米国やシンガポールなど交渉参加11カ国は年内妥結を目指し、10月にはアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で大筋合意する見通し。交渉会合は3月、5月、9月に開かれる見込みだ。日本が米国の参加承認を得るには、米大統領が90日前までに議会に通知するルールがあり、安倍首相が日米首脳会談直後に参加表明しても、実際の参加は9月になる可能性もある。交渉参加が妥結時に間に合わなければ、日本の国益を反映させることができない。国内論議が収束できなければ、安倍政権の経済再生策「アベノミクス」の第三の矢である成長戦略が骨抜きになる恐れがある。
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