天使たちの微笑み JAST

1996年11月22日発売(DOS版)
1997年3月11日発売(Windows95版)
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 育成ものというのは基本的に苦手なはずなのですが、なぜか、そしてまたいつの間にかわからぬうちに、ストックに入っていたゲーム。しかし、肩肘張らずに気楽にプレイできる、楽しいゲームでありました。ただし、かなり問題のある不具合があるようで、このままお勧めするわけにはいかない作品であることも間違いないのが残念ですが。

 なお、タイトルの『天使たちの微笑み』というフレーズには、特に意味などはないようです。単に、伝説とも化している(らしい…詳細は知りません)『天使たちの午後』シリーズに続く新シリーズを狙ったのでょうけれど、このシリーズがその後は続かなかったという事実は、この作品の成否を無言で語っているように見えます。

シナリオ

 主人公は、単位不足で留年が確定している大学生。仕送りが止まった主人公、ラクに高収入を得ようと、安直な気持ちで、家庭教師を始めることにした。そして舞い込んだ、4人の女の子たちからの依頼。彼女たちを大学に無事合格させられるのか、そしてまた、その時には、どんなドラマが生まれているのか。

 

 シナリオはさほど濃くはないものの、女の子と親密になっていく過程は、まさに「らぶらぶ」そのもので、甘ったるくて恥ずかしい展開です。イベントシーンの数は少ないのですが、女の子がだんだんうち解け、ぎこちなく接近していく様に、何とも言えないむずがゆさをおぼえさせられます。4人の女の子は、それなりにバラエティに富み、会話を重ねるにしたがって、授業では見せないいろいろな顔を見せるようになります。この「らぶらぶモード」に入っていった時の女の子の表情がかわいくて、もぉ(*^^*)

 外道モードでなぶったれぇ、というのは不可。ま、そういう雰囲気は初めから感じ取れませんからね。初夢のシーンでつかの間の外道のぞき見モードに入れますし、場合によっては女の子嫉妬イベントも起きますが、肉奴隷とかそういうのには期待しないように(^^;)

 別に、コレといったセールスポイントはないのですけれど、「女の子がかわいい」、やっぱりこれにつきますね。その割にはHシーンもけっこうしっかりと描かれています。

 ところで、「西暦2000年」というのは、ちょっとまずいでしょう。このゲームは2000年を待たずして消滅することが予定されている、というわけでもあるまいに(^^;)

ゲームデザイン

 流れとしては、4人の女の子に家庭教師として教える際、彼女たちのパラメータ(学力関係のほか、もちろん好感度なども)を上げ、イベントをこなしていく、というタイプのものです。

 パラメータ調整は、具体的な数値が出る(好感度を除く)ので、非常に容易です。1回のプレイ時間も1時間余りで済み、非常に気楽に取り組めました。ただし、このパラメータ管理はかなりいい加減なようで、まったく休息させずに毎回毎回勉強させても「ボイコット」などというものは起きません。

 家庭教師での「授業」内容は、なぜかクイズ形式になっており、ランダムで問題が出されます。文学や歴史、アニメ関係の雑学的なものが多いですね。理系ネタが皆無に近かったのは、シナリオライター氏の意図か? そういえば、「北斗七星の一部が大熊座」なんていう記述もありました(正しくは逆、「大熊座の一部が北斗七星」)。正解を続ければ好感度が上がるようで、中にはマニアックなものも混ざっているため、はじめのうちはセーブ&ロードが必須でしょう。ただし、何度もプレイしていくうちに、正解はすべて覚えてしまえる程度の分量です。

 なお、同時攻略は不可能です。全員を合格させることは一応可能ですが、「らぶらぶになれる」女の子は1人だけです。このあたりは、最低限の節操を守っている、と見てよいのかも知れません。

不具合・修正プログラム

 そのままの状態でプレイすると、ゲーム開始直後に終わってしまい、ゲームになりません。バグとしては非道すぎる部類に入ります。ジャストのWebサイトに修正ファイルが用意されていましたが、現在はこのサイトは閉鎖されているので、りぺあからダウンロードしてください。

 ただし、これを用いても、まだ不具合があります。まず4人のヒロインのうち、「取石 琴乃」嬢だけが、いまだに攻略できません。NIFTY SERVEの会議室で話題になった中でも、「(Windows95版で)攻略できた」という情報はいまだに得られていません。個人的にはかなり惹かれるキャラクターだけに、こういうのはいただけません。

 また、このゲームのプログラムは、リソースを食いつぶしていきます。私の環境(Windows98+IE5.0)では、ゲーム起動後45分で、システムリソースの残りが17%、ユーザーリソースの残りがやはり17%だそうな(^_^;)。これで安定動作せい、というのは無理な話です。したがって、ヤバいと思ったらセーブし、ゲームを終了させてからWindowsを再起動、というプロセスを経る必要があります。

操作性など

 メッセージスキップ、任意の場所でのセーブ&ロード、セーブ個所のプレビュー表示など、それなりにユーザーインタフェースはすぐれています。ただし、上述のような不具合がある上、CGモードやBGMモードがないなど、プレイアビリティの水準が高いとはいえないのも事実です。

サウンド

 BGMは、CD-DAで演奏されます。キャラクターごとに違うサウンドが用意されています。個人的には、彩(ボーイッシュなコ)のBGMが好きですね。

 音声はありません。

グラフィック

 女の子たちの原画はけっこうクセがあり、特に目に特徴がありますね。かなり幼げに見えます。ロリっぽいというのではなく、ガキっぽいといえばいいでしょうか。基本的にベタ移植のようで、実質的な色数は16色です。

 ちなみに、CGモードなどという気の利いたものはないので、これというシーンの画像がほしい場合は、その場でキャプチャするか、Susieで覗くかのどちらかしかありません。

 また、育成モードでちゃかちゃか動くちびキャラがなかなか可愛いですが、バリエーションにさほど幅がないのが面白みに欠けます。

お気に入り

 現時点で、エンディングを確認していない「取石琴乃」嬢を除けば、「こおろぎ彩」ですね。だんだん距離が近くなっていくのがよくわかります。手料理イベントとか、見ているこちらがくすぐったくなってきました(^^)

関連リンク先

 九牙さんのサイトにレビューがあります(ただし、PC-98DOS版)。いまどき改めて取り上げるほどのゲームでないことは確かですけれど。

総評

 ほのぼのらぶらぶなノリをお手軽に楽しみたい、というのであれば、悪くないゲームだと思います。ただし、本当に全員が攻略できるのであれば、というただし書き付きですが(^^;)

 使い勝手も良くサクサク進み、ちびキャラがせかせかお勉強するといった演出を見ても、そう悪くないと思います。ただし、ゲームが正常に動作している間、という条件付きですが(^^;;;)

 どうも、「画竜点睛を欠く」という点が、あまりにも多いんですね。もうチョイで、小粒ながらも締まった佳作、と評せるところだったと思うのですが、現時点では、ちょっとねぇ…。

個人評価 ★★★★★ ☆☆☆☆☆☆
1999年8月19日
(2000年7月10日、加筆・修正)
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