エクドラード 〜鏡の中の王国〜 BLACK PAKCAGE

1997年2月14日発売(DOS版)
1997年4月24日発売(Windows95版)
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 ゲームコンセプトがよくわからないまま、なんとなくパッケージの女の子が良さげだという理由だけで手を伸ばしたゲーム。こういった「好奇心と勘」で手を出した場合、結果はあらかた見えているのでありますが、まだ当時は18禁ゲームに手を出して1か月ぐらい、全然免疫がなかったのですなぁ〜(^^;)

 ただ、「手を伸ばした」キッカケの1つが、大越さんの描く女の子がなかなかかわいげに見えた、という点であったのは間違いありません。この点については間違ってはいなかったんですが…。

シナリオ

 主人公・青狼(名前変更可能)は、2人の姫様が言い争っている、不思議な夢をしばしば見る。そしてまた、彼がいつからかも覚えていない遠い昔から身につけているペンダント。そんなある日、不思議な転校生が現れ、謎めいた言葉を残し、旧校舎の鏡に消えていく。そして、主人公たちもまた、鏡の向こうの異世界、エクドラードへと飛ばされていく。彼女を捜して、主人公の大冒険が始まる。

 

 設定はいろいろ用意されているのですが、シナリオなど「ない」といいきっていいです(^^;)

 個々のイベントは、キャラクターの性格説明に終始し、物語世界全体を見渡せるような立場からの世界説明がまったくありません。「エクドラード」と「(主人公たちとの)現実世界」との関連づけがあまりにもいい加減であり、こんな大それた設定を用意した必然性がまるで感じられませんでした。そもそも「エクドラード」という「世界」が、主人公とどう関わるのか、そして主人公とともにその世界に付き合わされることになったヒロインたちは、その世界とどういう関係があるのか。そしてまた、その「世界」には、モンスターやら不思議な生き物やらがいるのはいいとして、ごく普通の(すなわち、「現実」と大差ない)人たちが生活しているのですが、そうなると「エクドラード」という世界は、「現実」世界とどういう違いがそもそもあるのか。そして、ラストに出てくる「彼」は、いったい何なのか。さらに、ハッピーエンドの必須条件となる「勝利」とは、結局何なのか。

 いちいちツッコミを入れていくことは可能ですが、虚しくなるだけなのでやめておきましょう(^^;)

 

 また、Hシーンの説得力が、どうも希薄。主人公自体は女と見れば腰を突き出すというタイプではなく、むしろ無骨極まりない、という感じのキャラクターですけれど、Hシーンの多くは途中で見られるのぞきシーンなんだもんなぁ。せめて、ヒロインたちとのエンディングで、もう1回Hシーンがあれば、という気がします。

 あと、「明日は最終戦」という前に、ヒロインと一発、というのは、やっぱり不自然ですね。RPG的要素を入れた18禁ゲームの定番といえばそれまでなんですが、告白だけならいざ知らず、体力を消耗するだろうに、とか思うのは、野暮なんでしょうか。

 

 キャラクターは、実妹(Hシーンあり!!)、幼なじみ、眼鏡っ娘、姫様・妹(柔和なお嬢様)、姫様・姉(態度のデカいお嬢様)がおり、他に女教師が出ます。定番どころを揃えてはいますが、キャラクターがシナリオの中では全然生きていません。なんで彼女がここにいるのか、というのがサッパリわからないというケースがいっぱい。キャラが先にあって、シナリオがちっともできていなかったのでしょう。

ゲームデザイン

 カードバトルでモンスターを倒しながらゲームを進めていきます。勝つことによって経験値が上がり、それとともにHPやMPのほか、手持ちのカードを増やすことができます。途中の選択肢でエンディングキャラが決定し、ラスボスを倒すとハッピーエンドです。

 バトル自体は、コツを掴めばそう簡単にやられることはありませんし、もし負けたとしてもゲームオーバーにはならず、いくつか前の段階に飛ばされ、そこからリスタートします。ただし、スタッフルームを見られるようにするためには、全勝でラストまで到達する必要があります。

 このバトル自体はなかなか面白く、コツが掴めれば、HPやMPを適宜自力で回復しつつ長期戦に持ち込めば、割とすんなり勝つことができます。また、パートナーの「助力」という方法を取ることで、パラメータや状態を回復させられるようになっており、これもそれなりによし。ただ、このカードバトル自体はそれなりにいいとしても、シナリオとの関連がまったくなく、単に「先に進むための関所」と化していること、バトルとHシーンとの関連がまったくないことが問題でしょう。

 あと、ラスボスが強すぎ。それまでのザコとは比較になりません。このキャラをファーストプレイであっさり倒せた人、いるんでしょうか?

不具合・修正プログラム

 エンディングでおかしな結末になることがありました。BLACK PACKAGEのWebサイトに修正ファイルがアップされていますので、これを用いてプレイされることをお勧めします。

操作性など

 ユーザーインタフェースには定評のあるBLACK PACKAGEらしく、操作性は比較的良好ですが、ところどころ「あれっ?」と思わせるものもあります。

 インストール先ディレクトリは任意に変更可能です。また、トップメニューには「セーブデータ回避」という項目があり、これを選ぶことで、レジストリを含めたセーブデータの内容を、ローカルディスクに書き出すことができます。アンインストールする際には便利。

 セーブ&ロードは、アドベンチャーパートでのみ可能。すなわち、戦闘パート(3〜5ラウンドくらい続きます)の間は、セーブ&ロードはできません。なお、アドベンチャーパートからは、強制終了・トップメニューに戻る、といった操作が可能です。

 一応メッセージスキップはありますが、CGが書き換えられるたびにストップするので、会話をするたびに止まり、まったく意味がありません(^^;) 既読・未読の区別がないのはいいとして、この妙な仕様は困ったものです。

 CGモードは、全CGにそれぞれ「××(キャラクター名)A」のように番号が付されているので、「どのCGが未見か」は一目で分かるのがいいですね。また、エンディングを迎えたキャラクターごとに、そのキャラクターが語る形で回想モードが入っているのも嬉しいところ。しかし、Windows98環境下では、1回クリアすると全CGが埋まります(^^;)

 BGMモードでは、とあるキャラクターが踊ります(^^) 曲名をクリックすることで演奏されます。

 

 先述の通り、、一度も敵にやられることなくクリアすると、CGモードからスタッフルームに入れますが、これを見られた人って、何だかんだ言ってこのゲームにハマれた人だけなんでしょうね(^^;)

サウンド

 BGMは、CD-DAで演奏されます。雰囲気を出すのに適した、それなりに締まった曲が大方ですね。なぜかMIDIデータもCD-ROMの中に同梱されていますが、ゲームのBGMをMIDIで演奏するオプションは見当たりません。DOS版で用いたファイルをそのまま収録したものでしょうか。

 音声はありません。

グラフィック

 大越秀武さんの原画ですが、やはり女の子がスマートに描かれていますね。特に、目の大きな女の子は、まことにチャーミングです。ちょっと繊細に過ぎる髪に違和感を覚えますが、これは好みの問題でしょう。

 256色ですが、肌の感触など、非常にイイものがあります。ただ、ゲーム内でのCGの使わかれ方が、上手くないので…。もっと「CGを出すタイミング」をきちんと考えて欲しかったものです。イベント配置という問題にもなりますが、絵が綺麗でも生きていなければもったいない。

お気に入り

 幼なじみの未来かな。最初のプレイで殺しちゃった負い目あるし(核爆) ただ、どのキャラクターを見ても、描写がきちんとできているとはとてもいえません。

関連リンク先

 私のリンク先ページでは、まったく取り上げられていません。無理もないでしょうけれど。

総評

 設定がいきていない、というよりも、設定を使っている意味をまるで感じませんでした。「深いことは気にしない」と言えればいいのですが、カードバトル自体は、飽きてしまえばそれで終わりです。しかも、この「カードバトル」という進め方であるなどと、パッケージには一言も書かれていません。冒険モノのアドベンチャーゲームかRPGか、と思わせる看板で、中身がこれでは、腑に落ちないものがあります。

 グラフィックはきれいだし、バトル自体も「アドベンチャーパートがメインなのであれば」十分刺激になるようなものだったと思うので、「コンセプトをはっきりさせたゲーム」を望みたいところです。

 また、カードバトルそのものは、ほかの18禁ゲームで採用されているもろもろのゲーム類の中では、割とよくまとまったものだと感じた、ということを付け加えておきます。

個人評価 ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆☆
1999年8月23日
(2000年4月25日、加筆・修正)
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