天使の眸 〜Sapphire Eyes〜 Accept

1997年4月25日発売
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 手軽なゲーム、というものを、どう評価するか。お金を出して購入した場合、出した金額分だけ楽しめれば、それは充分に喜ばしいことなのですが、「時間がかかるゲーム」という場合、「面白いのでいくらでもプレイできる」場合と「面白くないけれど長いプレイを強いられる」場合とがあります。それらの対極にあるのが、短くて気楽に取り組めるもの。そういったゲームとしてそれなりにまとまっている、という感触を得られるのは、どういう場合なのでしょうか。

シナリオ

 高校2年生の主人公・克巳は、女の子に手当たりしだいに声をかけまくってはいっつも振られている。ある時、彼の左目に異変が起こる。そして、彼の青くなった眸をのぞき込んだ女性たちは、みな欲情するという奇妙な現象が起こったのだ。この現象は、あまりにも女運のない主人公が、このまま誰とも縁のないまま終わると、人類の存続ができなくなるために、そういった事態を回避すべく未来からきた存在によって引き起こされたものであった。

 

 女運をとりもつ存在が異世界からやってくる…なんかどっかで見たような設定のような気もしますが(^^;)、まぁあのパターンをお手軽にしたものといっていいでしょう。各ヒロインごとに1つのシナリオ、といっていいかたちのマルチエンドタイプのゲームになっています。

 登場するヒロインは、お節介焼きで意地っ張りな幼なじみ、「お兄ちゃん」攻撃を掛けてくるその妹、お嬢様その1、お嬢様その2、など、バラエティの変化づけをみると、かなり計算ずくで設定されているように見えます。しかし、強引な展開1つ、唐突なエンディング1つはやや難ありか。何よりも、天からやってきた女神的存在(あえてこう表現しておきます)冷静な分析が、なかなか楽しかったですね。

 もっとも、「普通の主人公」が、こういう「催淫能力」を持つ、というXゲームというのは、意外に少ないのですけどね。大抵は、外道な野郎が…というパターンでしょうか(^^;) そんな中、これはソフト路線をベースにしつつ、比較的まとまっているといっていいでしょう。あゆみの扱いにやや難がありますが、ボリュームを絞り込んだのが、うまく成功している、といっていいでしょう。

ゲームデザイン

 選択肢によってフラグが立ち、各ヒロインごとのシナリオへと分岐するタイプのアドベンチャーゲームです。選択肢の数は少なく、分岐も明確なので、難易度は低くなっています。1回のプレイでも40分程度しかかかりませんから、気軽にプレイできます。

操作性など

 操作は、マウス・キーボードの双方で可能です。起動すると、自動的に640×480ドットフルスクリーン・256色に設定されます。DirectX3を使用しているせいか、筆者の環境では、クリップボードを経由しての画像キャプチャができません。『V.R.デート五月倶楽部2』もそうでしたが、派手に色化けしてしまいます(T_T) セーブ&ロードは、選択肢表示画面以外の任意の位置で4個所まで可能。少ないように見えますが、なにせ1プレイにかかる時間が短い上、完全なコマンド分岐形ゲームのため、これくらいで十分です。また、セーブした(ゲーム中の)状況も記録されますが、セーブした日時が記録されないのは残念。

 メッセージ早送りは、「Ctrl」キー押下にて可能(マニュアルには書いてありませんが)。また、CGモード(1枚ずつ表示されるだけ)、BGMモード、Hシーン鑑賞モード、エンディングモードあり。最後に、達成率が百分率で表示されます。Hシーン鑑賞モードは、テキスト付きで、各シーンごと別々に表示されます。エンディングモードは、結ばれた相手とのエンディングを見ることのできるモードです。このあたりの設計は、非常に親切です。

サウンド

 MIDIで演奏されます。が、あまり印象にないです(^^;)

グラフィック

 目にクセがあり、ややキツめの印象を与えるキャラデザです。まぁ、かなり自己主張の強そうな女性が多いので、ゲーム世界と不思議に合っています。パッケ絵の方が、表情が丸いですね。

お気に入り

 かおるでしょうか。男遊びに関して派手そのもののお嬢様が、愛に目覚めて一途になる…という単純そのものの設定ですが、キャラデザもいいし、Hシーンも濃いし(爆)

総評

 コンパクトにまとめるとはこういうことだ、という感じがします。Xゲームの基本的な文法に則しつつ、局所的にイレギュラーな動きを見せ、しかし、プレイに際してはストレスを感じさせない。その基本は、ひとまずエロはしっかりおさえ(^^;)、ツボをおさえたキャラクターを適当な形で配置し、ところどころにギャグもこめる、といったところに帰結でしょう。

個人評価 ★★★★★ ★☆☆☆☆
1999年9月1日
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