First Step! 「キミに向かって歩いて行けたら…」 Bunny Pro.

1997年7月10日発売
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 羊頭狗肉という言葉がございます。ゲームというものは、書籍などと異なり、プレイしてみないと中身がどんなものかはわからず、そういう意味では「買う側の判断力」がより求められる、といえましょう。バグだらけでまともにプレイできないわユーザーサポートに電話がつながらないわというのは論外にしても、「詐欺じゃぁ」といった言葉がネット上で飛び交うゲームというのは、決して少なくありません。こういう場合も、責任は買い手側にあるというのですから、逆にいえば、「買う側」が賢くならないと、ゲームという業界が成熟することもないのだろう、と思います。

 こんな書き出しで始まったゲームですから、その中身は推して知るべし、ということで…。

 というわけで、ある意味では最高に「泣けるゲーム」のご紹介〜。ちなみに、CD-ROMケースは2枚組ケースを使用していますが、中身は1枚です。

シナリオ

 男子部と女子部とが高い壁に阻まれていた男女別学の高校。そんなある日、爆発事故が発生、急遽同じ校舎での共学校となる。さらに、予想もつかない事件が起こり、主人公たちは校内に隔離されることになった。さて、彼は、どんな学校生活を楽しむことになるのだろうか?

 

 え〜、一言。楽しめません(--;)

 とにかく、ゲーム内容があまりにも空虚です。詳細はゲームデザインの欄で触れますが、とにかく、シナリオの質量がともに乏しいのはひとまず置いておくとしても、らぶらぶなシチュエーションなどほとんど見当たりません。時折出てくるのぞきシーンがHシーンの多くを占めます。一応、各ヒロインとのエンディングは用意されていますが、キャラクターに合ったイベントはほとんどないし、これをツール使用などの裏技なしで自力コンプリートなさった方がおられたら、敬服いたします。何せ、退屈なんですわ(^^;) 要するに、移動先と時間とに見合うだけのイベントが用意されていないわけであります。

ゲームデザイン

 学校内を移動してイベントを発生させ、最終的に1人の女の子と結ばれる(あるいは誰とも結ばれない)タイプのアドベンチャーゲームです。『Graffiti』(ぷち)と似ていますが、期間はずっと長く、イベントはずっと薄く、さらに動作は比較にならないほど重くなっています(--;)

 システム的には平凡なのですが、とにかくキャラクターとの遭遇率の低さといったらありません。『同窓会』(フェアリーテール)などよりもさらに低い遭遇率で、そいつが何か月も続きます。

 おまけに、速度の遅さといったらシャレになりません。MMX Pentium200MHzのPCで256色環境、パワー的には問題ないと思うのですが、のんべんだらりとした画面切り替え。テキスト速度の変更など無意味と思うほどのかったるさ。夏のイライラを際限なく増幅させてくれるうえに、上で書いたような無内容さ。涙が出てきます。具体的には、マウスクリック後に反応するのに、大体平均4秒(当時は通常のPS-2マウス)。無意味なウェイトをかけているとしか思えません。

 さらに、遅いだけではなく、1プレイにかかる時間も無意味に長いので、時間の浪費というものを実感させられます。おまけにオンリープレイ必須なので、1人をクリアしても、また最初からプレイしなくてはいけません。

 この種のゲームでは、1回目はとりあえず様子見、2回目以降が本番、という姿勢で取り組むケースが多いのですが、このゲームに関しては、なかなかリプレイする気にはなりませんでした。それでも3人ほどクリアはしましたが、今から思うと、むだな時間を浪費したと見るべきか、忍耐強い自分に拍手するべきか、よく判りません(^^;)

操作性など

 上に述べたように、最悪です(^^;)

 セーブは、移動画面中で可能ですが、ロードはスタート画面に戻らないと出来ないので、セーブ&ロード(ゲームの構造上これは必須機能)が使いにくいことこの上ないのが痛いところです。当初、『To Heart』(リーフ)のように出現表を作ろうかと思いましたが、1日の出現表を作るのに15分以上かかる(^^;) これが30日で1か月、さらに…と考え、確か最初の数日で挫折いたしました(^^;)

サウンド

 BGMはCD-DAですが、全然印象になし。音声はありません。

グラフィック

 キャラ原画はまぁ悪くないのですが、ちょっと小さすぎますね。塗りはちょっと雑な印象。背景は……言わぬが花か(^^;)

お気に入り

 こういうものは、曲がりなりにも愛着が出て初めて生まれるのであって、忍耐と溜息とを同伴している環境では生まれ得ません(^^;)

総評

 動きがかったるくても、中身がそれなりに濃ければまだ我慢もできましょうし、ボリューム的なバランスが少しでも考慮されていれば、まだマトモに評価可能な作品になったでしょう。しかし、ゲームプレイの意欲を阻害してくれる要素をみごとにそろえてくれては、金を出されてもリプレイする気にはなれません。

個人評価 ★★☆☆☆ ☆☆☆☆☆
1999年8月30日
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