北朝鮮が3回目の核実験に踏み切った。安倍晋三首相は関係各所に対応を指示し、独自制裁の実施・検討を始めた。安倍政権は発足1カ月半だが、外交・安全保障分野で危機管理の手腕を問われる場面が続いている。初代内閣安全保障室長の佐々淳行氏は、安倍政権の対応に80点をつけ、「民主党政権でなくてよかった」と語った。
安倍首相は12日の衆院予算委員会で、北朝鮮の蛮行に対し、「独自の制裁を含め、諸懸案の解決のために有効なあらゆる手段を用いて対応する」と宣言した。
昨年12月26日の安倍政権発足以降、1月16日にはアルジェリアで日本人10人が死亡した人質事件が発生。同月19、30日には中国海軍艦船が海上自衛隊の護衛艦などに射撃管制用のレーダーを照射するなど、日本に“外憂”が押し寄せている。
佐々氏は、安倍首相の危機管理を「基本にのっとった対応だ。支持率も上がっており、100点満点中80点」と話した。
特に、対中国では、今月5日にレーダー照射を公表し、米国と歩調を合わせて牽制している点を評価。「中国人は強い相手には弱い。謝らない、ウソをつく国民だが半面、現実主義的で享楽的でもある。だから、強い姿勢を見せ、裏のチャンネルで話をすべきだ」と主張した。
北朝鮮に対しては、安倍政権は12日に朝鮮総連幹部の再入国を原則禁止することを決め、追加制裁も検討している。
これにも佐々氏は「制裁を強めて、北朝鮮の体制を事実上支えている中国に『おたくはどうする?』と働きかけることが有効だろう。中国が北朝鮮に厳重注意することになるのではないか」と話し、「安倍首相の方針は支持できる」と話した。
ただ、佐々氏は「民主党政権の3年3カ月で、日本の危機管理は20年遅れた。それがマイナス20点だ」といい、続けた。
「警察や内閣官房、外務省などにあった裏の情報機関が壊滅した。アルジェリア人質事件では、詳細かつ迅速に情報が取れなかった。外交・安全保障政策の司令塔である『国家安全保障会議』(日本版NSC)と、情報機関の創設は急務だ。加えて、危機管理のスペシャリストといえる政治家も育ってほしい」
暴走を続ける近隣諸国への対策を、怠ってはならない。