特集ワイド:カムバック「安倍政権」を読む 対談 山崎拓・自民党元副総裁/加藤紘一・自民党元幹事長

毎日新聞 2013年01月16日 東京夕刊

 加藤 日本は明治時代に「脱亜入欧」という言葉でグローバリズムを導入しましたが、90年代以降、国民は限界を感じ始め、いまだに答えが出ていません。アジアに回帰して欧米と仲良くする、今はその転換の過程にあるのではないか。約30年前からそう考えていたのが大平正芳元首相だ。だから民主党内に宏池会研究グループをつくりたいという動きがある。日本維新の会の橋下徹代表代行とは面識がありませんが、彼も迷いに迷っている感じです。一方、石原慎太郎さんは古いグローバリズムの典型だ。

 −−選挙制度にも混乱の原因はある?

 山崎 小選挙区では自民党は今回、4割の得票で8割の議席を得た。民主党の前政権も同様です。前政権は数におごり、消費増税をした。今度は自民党が同じ失敗をする可能性がある。こういう大きな弊害があるので、穏当な結果が出る中選挙区制に戻すのがよいと思います。また小選挙区制は党で人を選ぶ選挙になります。この方法では自力で有権者の支持を得て、たくましく当選する政治家が出てきません。

 −−最後に政界に語り置きたいことを。加藤さんには00年11月の野党による森喜朗内閣不信任案提出に同調する動きを見せて、森内閣を揺さぶった「加藤の乱」の真相も聞きたい。次期首相の最有力候補と当時は言われていた。

 加藤 自民党に対する世論は厳しかった。そこに気づかなきゃいけないと問題提起したつもりが、あれだけの大騒ぎになりました。やはり自分の感覚は正しかったというのと、党内政治的には幼かったというのと複雑な気持ちでした。自民党への国民からの批判は今も続いていると思います。

 山崎 その経緯は私の方が客観的に分かる。今は人騒がせなことは言いたくないが、いずれ明らかにします。

 私自身は幹事長として関わった北朝鮮との国交正常化問題が印象深い。02年の日朝平壌宣言は対話の成果で拉致被害者5人、その後家族も帰国を果たした。問題の解決は圧力一辺倒では果たせません。

 加藤 政治家は地域社会に根を下ろし、丁寧な政治をしてほしいと思います。

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 ■人物略歴

 ◇やまさき・たく

 中国・大連生まれ。戦後は福岡市で育つ。衆院議員12期。防衛庁長官、建設相、自民党幹事長、副総裁などを歴任。自民党総合政策研究所長。

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 ■人物略歴

 ◇かとう・こういち

 山形県鶴岡市で育つ。外務省を経て、衆院議員13期。防衛庁長官、官房長官、自民党幹事長などを歴任。日中友好協会会長。

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t.yukan@mainichi.co.jp

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