特集ワイド:カムバック「安倍政権」を読む 対談 山崎拓・自民党元副総裁/加藤紘一・自民党元幹事長

毎日新聞 2013年01月16日 東京夕刊

 山崎 中曽根康弘元首相は83年、冷戦を背景に日本を不沈空母とする発言をしたとして物議を醸しました。あれから30年、旧ソ連に代わって中国との第2次冷戦構造が生まれる可能性がある。第1次安倍内閣は、民主主義などの価値を共有する国家との関係を強化する「価値観外交」を基本方針とし、中国封じ込めの考えにも見えた。そのスタッフがまた新内閣に入り、焼き直しの外交をやろうとしている。だが、同じことが通用するのか。6年前と今では、中国の力が違う。中国の海外進出は国内矛盾を克服するためなのです。日中協商の方向で説得する必要があります。

 加藤 日中で戦争をするわけにはいきません。

 −−安倍政権は憲法改正を目指しています。

 山崎 安倍政権は憲法解釈の変更、いわゆる解釈改憲によって集団的自衛権の行使を可能にしようとしているが、うまくいくのか。集団的自衛権は有しているが憲法上行使は認められないという現行の解釈は、歴代の自民党首相が是認し積み重ねてきたもの。自由に変えられるとなると、内閣法制局の存在意義にかかわるので法律上の措置が必要でしょう。さらに安倍政権の安保政策を象徴するのが自衛隊の「国防軍」化です。9条2項に「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とあり、憲法を改正せずに解釈改憲では、いくらなんでも国防軍とはいきません。

 加藤 環境権や私学助成などの問題があり、基本的に憲法改正には賛成です。だが、9条には手をつけるなと言いたい。9条は戦後のわが国の平和外交宣言のようなものです。まだ戦争の傷は癒えていない。北朝鮮のミサイルが米国を狙うという時、知らん顔をするのかという集団的自衛権の問題は、解釈改憲で対処すべきです。

 −−右傾化に歯止めをかける自民党内の勢力は著しく弱くなっていませんか。

 加藤 そうですが、国全体では必ずしもそうではない。ネット右翼はにぎやかだけれど、ネット上だけ。それに政治家が踊らされていることが危ないのです。

 −−環太平洋パートナーシップ協定(TPP)参加問題では、自民党内は二分されています。

 加藤 昔は党内合意を得るために徹底的に議論しましたが、最近は首相になったら何でもできると思う政治家が増えた。TPPでは自民党分裂の恐れがあります。

 山崎 安倍首相は出たとこ勝負でいこうとしています。計算を間違うと党が割れ、参院選でしっぺ返しに遭う。最初の日米首脳会談が天下分け目じゃないですか。

 −−国政の混乱の根本的原因はどこにありますか。

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