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六十七話 そして俺は灰をかぶる 10
side セーラー戦士

「なんかごめんね……勝手に盛り上がっちゃって」

「ううん。むしろお礼を言わなきゃ。私も今回のことで諦めがつきましたから。
やっぱりあの人と私は住む世界が違うんです」

 時間制限の事を教えに行くと、なんとも気まずい空気になってしまった。

 それはそうだろう、そもそも乗り気ではなかったシンデレラはすでにあきらめムードを漂わせていたんだから。

 しかし本当に王子様は彼女の事を気にしていないのだろうか?

 実際に他の招待客への対応と似たようではあったが、話し終えた後、王子様はすぐに席を立っていた。

 まったく気にしていないという事はないと思うのだけど……区切りがよかった事も確かで、実際ただの休憩だったら本当に、目も当てられない事になるだろう。

「ところで、時間の事を教えてくれたってことは、やっぱりあの魔法使いさんはあなたと知り合いだったんでしょ?」

 いたずらっぽく言うシンデレラに、私は高速で首を振った。

「い、いや、あの後すぐまた彼が現れてね。伝言を伝え忘れたから、君が伝えに行ってくれって、こんな格好にされちゃって。まったくいい加減だよね!」

「まぁ、そうなの?」

「と、とにかく! まだパーティーは終わっていないんだし、チャンスはあるよ!」

「フフフ、そうね。あの人もひょっとしたら顔くらい思い出してくれるかもしれないわ」

 そんな風に言う彼女は笑っていたが、表情通りの気分なわけはない。

 その場で別れた彼女の後姿を見ていると、留めていようと思ってもため息が漏れてしまった。

「太郎、どこに行ったんだろう……」

 そしていつの間にかどこかに消えていた太郎を探すが、どこを探しても見当たらない。

 もう魔法はちゃんとかけてくれたのだろうか?

 どうにもそんなそぶりは見えなかったのだけれど、もう伝言は伝えたし、すでにかなり余分に魔法を使ってもらっているだけに、探し出すのも躊躇われた。

 気軽に呼んでしまったが、すでに負担をかけているのも間違いないだろう。

「私がやるしかないんだろうけど……」

 会えば全部うまく行くと思っていただけに、ここから先はどうしたらいいかなんて、私にはさっぱりわからない。

 恋愛小説の引用じゃ……まずいよね?

 その上、さっきからものすごく視線が自分に集まっているのをひしひしと感じているのだ。

 これは迂闊に動けないな……。

 ああもう! うまくいかないなぁ!

 思わず自分の頭を掻き毟りたくなったが、何の解決にもならないのが恨めしい。



 私が恋愛という複雑奇怪な難問に挑戦していたそんな時、急に部屋の照明が消え、城内は騒然となった。

「……どうしたんだろう?」

 演出かとも思ったが、今それをするのはタイミングが微妙すぎる。

 何より戦士の勘みたいなものが、何か嫌な警鐘をならしていて、私はその勘にしたがっていつでも動けるように身構えた。

 目はまだ慣れていないが、夜目は効くほうだ。もう少し時間があれば動けるだろう。

 パーティーの出席者達も突然の暗闇に声は出せても対応は出来ないだろうから、逃げるにしても、遅れをとるようなことはないと思う。

 しばらく参加者のどよめきが続き、波が引くように静寂が戻ってきていたそんな時、事態は動いた。

 突然、ガラスの割れるけたたましい音とともに、何かがダンスホールへと飛び込んできたのだ。

「きゃぁ!!」

 絹を裂くような、女性の悲鳴が上がる。

 だんだんと目が暗闇に慣れてくると、飛び込んできたのは人であるとわかった。

「あれは……カルカノの守護神?」

 一瞬見間違いだと思ったが、そうじゃない。

 飛び込んできた人影はあのカルカノの守護神その人だったのだ。

 しかし彼は、ここがパーティー会場だという事にも気が付いていないかのように、自分の割ったガラス窓から目を離さず、鋭い視線を送り続けていた。

 何かと戦っている?

 だとしたら、こんなパーティーの真ん中に彼を叩き込むほどの何かということになるが、それでは少なくても、あの時覗き見た魔獣以上の何かと言う事になってしまう。

 少しだけ頭の隅に、ある可能性が過ぎったが、その思いつきは積極的に頭の隅に追いやることにしておいた。

 とにかく最悪、シンデレラだけでも助けられるように動かないと。

 彼女の位置を確認しながら、私は様子を伺っていると。

「……!」

 それは突然現れた。

 消えたシャンデリアに青白い炎が灯り、ぬっと何かがゆっくり窓から入ってきたのである。

 黒い闇をそのまま丸く固めたような、不思議な球体。

 その球体は音もなくダンスホールの真ん中に進み出ると、突然弾けて、中から何かが飛び出したのだ。

 黒い飛沫を撒き散らし、現れたそれは真っ黒いマントを羽織っている。

 そしてそのままゆっくりと降りてくると、不気味な黒い霧の様な物をその体に纏いながら、正体を現した。

 だけど……ものすごく満面の笑みのその顔と、ぺろりと出したお茶目な舌には……とても見覚えがあったのだ。

「……なんでベコちゃん人形なんだ」

 思わず頭を抱えてしまう。

 それは某お菓子を売る店のマスコットキャラクターに酷似していたのである。

 この時点で、九分九厘正体は割れた。だがその目的までははっきりわからなかった。

「何やってるんだよ……」

 どことなく気が抜けてしまったが、本気で意味がわからずに呟くと、ちょうど人形が何か言うようだった。

「ふははははは! 他愛ない! この国最強の騎士とやらがこの程度とは期待はずれもいいところだな! この国を、我がおやつで埋め尽くし、クリーム漬けにする日もそう遠くはないようだ!」

 ……多少言葉を聴けば目的がわかると思った私が馬鹿だったようだ。

 ただ、馬鹿な野望だろうがなんだろうが、その発言をした物体が謎の力を使い、最強の使い手を圧倒しているという事実は揺るがない。

 青白く浮かび上がった騎士の姿は体中から血を流し、満身創痍だったのだから。

「貴様の企みなどはどうでもよい! ……お逃げください。こやつ、ふざけた格好はしておりますが、只者ではありません!」

 騎士が王子に向かって叫ぶと、兵士が数人王子の前に進み出る。

 だが宙に浮かんだ人形はのっぺりとした顔のまま、騎士に向かって鼻を鳴らしていた。

「ふん、王子を逃がすか。ご立派なことだね」

「黙れ下郎! この私がいる以上! ここから先、一歩たりとも進めると思うな!」

 彼が動くと、とたんに会場の空気が戦場のそれに変わる。

 たった一歩の踏み込みで、敵を構えた槍の射程に収め。

 刹那の瞬間、切っ先が大気を打つ。

 だが槍は人形の手前で止められると、その中心から空気に亀裂が走ったのだ。

 それがありえない状況だけに、すぐに魔法障壁だと気が付いたが、今の攻撃をヒビ程度でしのげる障壁の強度は並の魔法では考えられないだろう。

 だけど、恐るべき一撃に驚いているのはなにも私達だけではないようだった。

「うお! マジか! 割れるか普通! 力任せに割れるような代物じゃないぞ!」

 受け止めた本人も亀裂が入るとは思っていなかったらしい。

 人形の癖にわざわざリアクション付きで戦慄いているし、ついでにちょっとかすっていたらしく、顔にはヒビが入っていた。

「……じゃなかった。ふん、他愛もない、こ、この程度では虫も殺せんぞ?」

 無理やり余裕を取り繕うが、顔面に入ったヒビでやっぱりすべて台無しである。

 もっとも会場にいるこの国の人達の驚きは、すべて台無しなんてことはないみたいではあったが。

 それどころか、彼の突きを耐えた事は、それだけで彼らの理解を飛び越えてしまったらしい。

 特に会場にいた兵士達には効果絶大だったようで、誰もが目に見えて腰が引けていた。

「今度はこちらの番だな!」

「……!」

 そして人形の放った見えない一撃であっさりと騎士が壁に打ち付けられ、壁ごと崩れ落ちると、多少の違和感はチャラになってしまった。

 もう誰が最初だったかわからないが、参加者のいくらかは我先にと逃げ出してゆく。

 無理もないだろう。

「大丈夫!?」

「……ええ、ありがとう」

 私も飛んできたいくつかの小さな破片を、隠し持っていた短剣で打ち落とし、シンデレラを庇ったが、こんな物、巻き込まれていたら命がいくらあっても足りない。

 ……なんだか頭に血が上ってきた。

 私は深い息を吐き出すと、ツカツカとその人形に歩み寄る。

 そしてこちらに気が付いたらしい人形に短剣を突きつけると、人形にしか聞こえないくらいの小声で言った。

「……どういうつもりだい? 返答次第じゃ容赦はしないよ?」

「……別に。イケメン王子なんてみんな爆発してしまえばいいかなって?」

「本当に爆発させてどうするの! っていうかここにきてそればっかりじゃない!?」

 わたわたと不意を突かれて慌てた人形は、しかしとたんに面倒くさそうな空気になると、ぼそりと呟く。

「ええい面倒くさいな……」

「え?」

 人形がそう口にしたのが聞こえた気がした。

 だけどいきなり体中に電気が走ったみたいな感覚に襲われて、それどころではなくなったのだ。

 体がまったく言うことをきかない。

 私は未知の感覚に、その場に硬直するだけである。

 何をするんだと目だけで訴えてみると、人形は相変わらず笑顔のままで私を見ていたようだったが、今度は体を見えない力で持ち上げられて、気が付くと私はそのまま放り投げられていた。

「う!」

 私は受け身も取れずに床に転がる。

 だが不思議とあまり痛くはない。

 そのまま動けない私に、あわてて駆け寄ってきたのはシンデレラだった。

「大丈夫!? 無茶よ、いきなり詰め寄るなんて!」

「私は……大丈夫だから。でもあの魔法使いはなんだか変だ。早く逃げたほうがいい」

「でも……」

 だけど私の忠告にシンデレラの視線が泳ぐ。

 その視線の先は見えなかったが、誰がいるのかは鈍い私にも察することが出来た。

「王子様は兵士の人が守っているから。とにかく君は自分の身を守らないと。
直接君を狙ってこなくても、巻き込まれるかもしれないからね。そうじゃないと王子様も心配する」

「……うん」

 しぶしぶだが頷くシンデレラは、しかしすぐにその動きを止めてしまう。

 何事かと思ったが、その答えはすごく簡単で、私は唇を噛んだ。

「本当に……何を考えてるんだよ太郎」

 人形は私を無視してふわふわとどこかに漂ってゆく。

 向かっている先は、まっすぐに険しい顔つきの王子様の方だった。



side 太郎

「これはごきげんよう、王子様。いやぁ実にすばらしいパーティーだ」

 俺の―――正確には俺の写し身である所の人形の目の前には、金髪の美形が厳しい表情で立っていた。

 若いながらもすでに威風のようなもの纏い始めている王子様は、確かにかなりの迫力は備えていたが、今この場は俺のものである。

 それなりにテンションの上がっていた俺には、その程度耐える事など造作もない。

 だが王子様は厳しい目つきこそしているものの、取り乱した様子も見せずに話しかけてくるのだから大した物だった。

「貴様、何の目的でこのような真似をする? まさかさっき叫んでいた妄言が真実と言うわけではないだろう?」

「だめですかね? 昔から年中甘いものを食べられたら幸せだろうなぁと思っていたんですが。
だけど……目的? 貴方の立場を考えれば、狙われる理由などいくらでもあるでしょう? 
もっとも、そんな事はすぐに気にする必要は無くなるでしょうけどね」

「そういうわけにもいかないな。 理由もはっきりせずに殺されるというのは、私としても納得出来ないのでね」

「いやはや、さすが王子様、肝が据わっていらっしゃる。しかし気にする必要などないと申し上げた。
では早速……」

 俺は言葉通り、速やかにわかりやすくゆっくりと手を掲げ、手の中に雷を集約させていた。

 甲高い音を立てて、青白い塊となったエネルギーは、俺の手の中で徐々に大きくなってギチギチと虫のひしめくような音を立て始める。

 薄暗いホールの中で、その光は何より光り輝いていることだろう。

「……させん!」

「おっと、危ない」

「!!」

 槍の人が最後の悪あがきとばかりに瓦礫を吹き飛ばして突進してくるが、これは予定通りである。

 すぐさま矛先を変え、俺は出来た光弾を槍の人に向けたのだ。

 光が破裂して派手に吹き飛んでゆく槍の人を確認して、俺は残念そうに雷の散ってしまった自分の手のひらを見た。

「****! まさかお前までも!」

 それを目にした王子様の悲痛な叫び声が聞こえてきたが、気にするには値しないだろう。

「あーせっかく作ったのに。でも確かにあれは趣が足りなかったか。反省反省」

 俺はどこか楽しげにそんなことを口にしながら、今度はポケットから鈍く光る片手剣を取り出す。

 そしてそれをふわりと宙に浮かべると、切っ先を王子様に向けたのだ。

「さぁ、王子様。やはり高貴なお方の最後としては、こういう演出が大事だと思わないかな? 
まったく、魔法で消し炭なんて、私とした事が。
やはりこういう事は皆様方にお別れの挨拶を言う暇くらい与えてさしあげる、そういう余裕が必要だと思うでしょう?」

 俺がとても良い思いつきをした風に言うと、王子様は逃げるそぶりも見せずに、静かに首を振っていた。

「……くだらない事だな。どのような死に様であろうとも、何も変わらないさ。
我が騎士が倒れた今、お前に勝てる者はいないだろう。しかし必ずや私の無念を晴らす者が現れる、この国の民の中からだ」

 逃げないのは、逃げられないとわかっているからか。

 死を覚悟してもなお、この態度を貫けるというのはさすがに極まりすぎじゃないだろうか?

 このイケメン、中身までハイスペックだというのだから、惚れてしまいそうである。

 まぁ俺が女ならだが。

 しかし王子様には悪いが、彼の言葉通りになるとはとても思えない状況だった。

「……どうだろうね。この状況で助けにも入ってくれない家臣だろう? とてもそうは……」

 俺がそう言いながら周囲を見回すと、青い顔をして立ちすくむ残りのパーティーの参加者達と、兵士達が目に入る。

 参加者はともかく、兵士達もこれとは少々情けないと思うのだがどうだろうか?

 だが俺が言い終わる前に、ただ一人だけ短剣の前に飛び出してきた者がいたのだ。

 その女性が見覚えのあるドレスを着ていた事で、俺はいっそう笑みを深くした。

「……っとそうでもなかったみたいね」

「やめてください! どうか!」

 両手を広げて、王子様を庇うように立つ女の子は、小刻みに震えながらそれでもはっきりとそう言ったのだ。

「君は私が魔法を掛けた娘かな? 君のおかげで易々と会場に入り込めたよ」

 もちろん嘘だが、口からでまかせでも真偽のほどなどわからない。

 シンデレラは、俺の言葉を聴くと、わかりやすく顔を青ざめさせていた。

「あ、あなたは、あの娘のお友達なんでしょう? 何でこんな事を……」

 おいおいセーラー戦士よ、まさかうっかりしゃべっちまったりはしてないだろうね?

 正直動揺してしまったのは確かだが、この身体が人形で助かった。

 そのまま目の前にいる彼女に人形が近づく。

 そしてなぶる様に低い声で、はっきりと彼女に警告をした。

「知らんね。あれは君を見つけた時にただ居ただけさ。そこをどけ……そうすれば命くらいは助けてやるよ。
君にはなんの力もないんだろう? 
私の魔法がなければ、ここに来る事さえ出来なかった位なんだから。……ほら十二時の鐘が鳴る」

 時間はまさにドンぴしゃりである。

 物語の加護はまだあったらしく、これ以上ない効果的なタイミングで、その時はやってきた。

「……あっ」

 シンデレラの声が漏れると、彼女のドレスは淡い燐光に包まれて、その形を変えていった。

 豪華なドレスも、ガラスの靴もすべては光と一緒に幻のように消えてゆき。

 後に残されたのは、元の薄汚れた服と彼女自身だけだった。

 シンデレラの震えが大きくなったのは気のせいではないだろう。

「それがお前の本当の姿だよ……。何にも出来ない、哀れな女の子。私が力を貸さないと恋する男の前にも出られない」

 大仰に、ミュージカルのように事実を告げる俺は、実に嫌な奴に違いない。

 シンデレラの顔が真っ赤に染まるが、でもシンデレラはその場から一歩も動こうとはしなかった。

 恐怖もあるだろうが、そのせいで動けないわけじゃない。

 広げた両腕と、俺を見つめる強い瞳が、ただ事実を雄弁に語っていた。

 だが少女の健気な勇気を、悪い魔法使いは鼻で笑って嘲るのだ。

「まったく、素直に引けばいい物を。ほら、王子もよく見るといい。
この娘の姿をどう思う?
君に比べてひどいものだろう?
実に哀れだと思わないか?」

 俺の言葉でシンデレラの視線が大きく揺れる。

 だがそれ以上に……。

「哀れなどであるものか! ***は誰よりも美しい!」

 激しい感情に任せるままに叫ぶ声は、今までに発したどの言葉よりも激しく、まるで炎のようだった。

 目の前の女の子の前に進み出て力強く言い切る王子は、恐怖も覚悟も忘れて怒りに燃えていたのだ。

 シンデレラは対照的に目を見開いて唖然としていたが、それは俺も同じである。

 ぞっこんじゃないですか、この人。

 俺も言葉を失うが、今は呆けている場合ではない。

 なるべく邪悪な空気を心がけると、人形からはうっかり消えかけていた黒いオーラが一層大量に漏れ出していた。

「ふ、ふん、ならその美しい娘に看取られて死ぬがいい!」

 実際シンデレラを庇うように前に出た王子様はいい的である。

 剣は一度だけ小さく震えると、その刃はまっすぐ標的の胸を射止めるべく弾き出された。

「……! ****!」

 しかし、刃は王子の胸を射抜くことはなかった。

 ゆっくりと、代わりに刺し貫いたモノが力をなくして倒れてゆく。

 何が起こったのかわからずに、倒れこむその体を支える王子は、ただそばにいたから反射的に抱き抱えたにすぎなかったのだろう。

 しかし、その重みを直に感じた事で、王子の表情に理解の色が広がってゆく。

 同時に彼の胸を支配したのは、濃い悲しみと、深い絶望だった。

 シンデレラの胸に突き立った剣は深々と彼女の心臓を貫いていたのである。

「ああ……***。君は……」

「……大丈夫? 怪我はない?」

 それでもシンデレラは力なく手を伸ばすと、王子は今にも壊れてしまいそうなその手を、震える手で握り締めた。

「俺のことなんてどうでもいい! それより、君が!」

「私は……平気よ」

 呟くシンデレラだったが、うろたえた王子様には意味がない様だった。

 俺の前に出た時ですら、眉一つ動かさずに堂々としていた彼の姿はどこにもない。

 そこにはただ力なくうろたえ、震える姿があるだけである。

「平気な物か! そんな……剣が、こんなことにならないように、するはずだったのに。
この思いはずっと胸にとどめておくつもりだった……」

「……****? どうしたの?」

 そっとシンデレラが伸ばした手が王子様の頬に触れると、彼はびくりと震えていた。

 そして堪えきれずに零れる涙と一緒に、彼は自分の心も零す。

「聞いてくれるかい? こんな状況にならないと、俺は本当の気持ちすら伝えられないんだ。……君のことが好きだよ。どうしようもないくらいに……君のことが好きなんだ」

 怖がる子供のように、王子様は震える声でそう言った。



「っちリア充爆発し……いや、なかなかに美しいモノだな、人の愛という物は」

 思わず声に出してしまった俺は、はっきり言って空気が読めてないと思います。

 でもまさか勢いで告白まで言ってしまうなんて思わなかったんだもの。

 王子様はシンデレラの手を強く握り締めたまま、これ以上ないほど怒りに震えているようだった。

「……お前は!」

 しかし声を荒げている彼には悪いが、そろそろよく見てもらわねばならないのだ。

「大丈夫だよ王子様。この演目は、予想以上の大成功のようだから」

「……なんだと?」

「どれほど強い思いがあろうと、確かめるすべがないんじゃ、それは幻にも劣るって事さ。
今回はその手段が他人の手のひらの上だったというだけの話だよ。
剣、さっさと取ってあげるといいよ。怪我をしないと言っても、自分の胸から剣が生えてるなんて気分がいいもんじゃないだろうからさ」

「え?」

「傷がない」

 とんとんと人形が胸の辺りを指し示しながら言ってやると。

 王子様はこれ以上ないほど目を丸くして、間抜けな顔をしていた。



「さてどうでしょうか? 王子様の真意、見事に聞き出せたのではないかと?」

 人形が仰々しく、大きく頭を下げた先にいたのは本日の仕掛け人である。

 会場中の視線が一斉に集まるのを、その仕掛け人はいかにも人の悪そうな、しかし見る人が見れば威厳のある笑いを浮かべて、壇上に姿を現した。

 その思いがけない人物に、一番驚いたのは王子様のようだった。

「うむ、確かにその通りのようだな、魔法使いよ」

「父上!」

 そうこの人は、この国の現領主様。つまり王子様のお父さんその人だったのだ。

「ふむ****よ。まずはお前には謝らねばなるまいな。此度のことは私の用意した謀にほかならぬ」

「どういうことですか父上!」

 ひとまず領主様は王子のことは無視して、この場にいる全員に聞こえる大きな声で謝罪を口にした。

「まずこの場に集まった者達にはすまぬことをした。このたびの宴、我が息子の花嫁を探すという噂を流し、皆を集めたのもこの私だ」

 なんだと?

 その噂の大元もこいつかよ。

 俺も知らなかった事だけに驚きだったが、やっぱり我慢出来なくなったのか、声を上げたのは王子様だった。

「なぜこのようなことを? 無茶にもほどがあります!」

「まぁ確かに、そこの魔法使い殿の協力が得られ、必要以上に大掛かりになってしまったが、私はこれでよかったと思っておるよ」

 しかし領主様は特に悪びれた様子もなく、笑っていたのだ。

「……なぜですか?」

 不服そうな王子様は一見すると落ち着いているようだったが、明らかに怒りを押し殺している。

 気づいているくせに領主様はさらりとその怒りを流して、あっさりとした口調で続けた。

「ふむ、なぜ……か。まぁ理由は多々あるが、特に重要なのは昨今で魔獣どもが騒ぎ出し、新たな魔王が生まれたと噂になっておる。その噂が真実であれ、偽りであれ、人の世は大きく乱れることになるだろう。
そんな時こそ、我らの結束は試されるのだろうが、相手が魔王となると今までとは何もかもが違うという事を皆に知ってほしかった」

「……どういうことです? 父上」

「今までの我らが相対していたのは良くも悪くも人だったということだよ。
だが魔王が復活したとなればその根底は覆る。
根本的に価値観の異なる相手と生存を賭けて争うのだ。それは今まで以上の覚悟と犠牲が伴うことになるだろう。
事実、過去魔王が復活し、魔獣や魔族達と争うことになった戦はどれも凄惨だった。
だがそんな状況で、我らは一つの大きな力に頼り過ぎておる。
心当たりのある者もおろう? この現状がそれを物語っておる」

「……」

 続いて視線を集めたのは、いつの間にか壁から脱出して平気な顔をしていた槍の人である。

 確かに、彼の存在は大きいのだろう。

 彼がやられたというそれだけで、兵士達の士気は折れ、貴族達は張るべき威信も何もなかったのだから。

 ある物は視線を下げ、ある物は顔をゆがめる。

 それほどの醜態がこの会場の中にあった。

「ゆえに皆には改めて確認して欲しかったのだ。危機に立ち向かう時、定めた自分の立ち位置や、進むべき方向性を。
その一つの指針となるのが領主というものだが。我が息子は、それにふさわしく成長してくれている様で、父としてはうれしい限りである」

 少し聞けばいい話のように聞こえなくもないが、残念ながら王子様は騙されない。

 案の定剣呑な雰囲気で王子様は領主様に食って掛かっていた。

「……父上、それで? なぜ彼女を巻き込む必要があったのですか? 返答しだいでは私にも考えがありますが?」

「……ふむ。おっかない息子がそろそろ我慢の限界のようなので相手をせねばならんようだ。
それはだな、お前があまりにも頭が固いからと言ったところかな?」

「……意味がわかりかねます」

 そう王子様が言うと領主様はピクリと片眉をあげていた。

「では、言わせて貰うが、お前は自分は領主の息子であるから、そのすべてをこの土地に捧げねばならないと考えてはいないか?」

「当然です。私のすべてはこの土地の民草、ひいては国民すべてのためにあるべきだ。そう教えたのはあなたではないですか、父上!」

 王子様がはっきりとそう口にすると、領主様は満足げに深く頷く。

 王子様はそれが当然だという顔だし、領主様の方も間違ってはいないとその眼は言っていた。

「確かに。思えばお前は昔からしっかりした奴だった。それに私の子とは思えぬほどに優秀だった。
だから私はお前に甘えていたのかもしれん。私の立場上、お前のその考え方は実に理想的だったからな。だが、私はお前に跡目を譲る。そうなる前に教えておきたいことがあってな」

「どう言うことです?」

 戸惑う王子様に、再び威厳のある声で領主様は告げる。

「人の上に立つ者もまた人であるということだ。理路整然とすべて理詰めで進めては、どこかで必ずほころびが出てくるだろう。例えばお前が、自分の結婚すら望む者ではなく外交の一手段として持っておくべきカードだと考えていたりとかな」

「……それは」

「ないとは言うまいな? 事実その通りだろう? だからこそ好いた娘を遠ざけようとするのだろうが。 自分の周りにいればその身がいくらあっても足りぬだろうと、下手をすれば死ぬ事も十分にありえるなどと考えたのではないか?」

 それは真実だったのか、王子様は初めて言葉を詰まらせた。

 そしてぐっと歯を食いしばると、絞り出すように問いかけていた。

「……ならばどうすればよかったのですか? 俺と共にいれば彼女はきっと後悔することになる。これから戦になるというのならなおさらでしょう!」

 一連の動揺のせいか、感情的になりがちな王子様は苦しげにそう訴えている。

 長年抱えていたわだかまりを吐き出すのはさぞかし苦しい事だろう。

 しかしそんな王子様を見やる領主様の方はやれやれと呆れ顔で、極単純な答えを言ったのだ。

「簡単なことだ、お前が守ればよい」

「は?」

「聞こえなかったか? お前が守れと言ったのだ。お前の手腕は誰もが認めている事だ、今更望まぬ婚姻などする必要もないし。せよとも言わぬ。むしろお前には政治のカードより心を守る鞘のほうが必要だろう。もっとも、守られるのはお前の方かもしれんがな」

 言われて先ほどやらかした事を思い出したのか、王子様の顔が一気に赤くなる。

 だがクスリと笑うシンデレラに気が付くと表情を引き締めて直していた。

「……父上、しかし」

 しかしまだ何か言おうとした王子様の言葉を、領主様はぴしゃりと遮った。

「ええい、面倒だ。好きだと言うなら放すなと言っておる! いい加減未練たらたらなお前は見ておれんのだ! 大切にせよ!」

 言い残して去っていく領主様は、きっと意地の悪いいい顔をしているに違いない。

 そしてせっかく引き締めなおした王子の顔は、やはり湯気が出るほど赤くなったのだった。

 シンデレラは王子の腕の中で終始ぽかんとしていたが、今度は何を思ったか俺の方に声をかけてきた。

「あの……貴方は」

 あーそこで俺に振るのか。

 しかしなんと言ったものだろうか? 

 さっきまで色々と煽りまくっていただけに、普通に話すのすら何だか気まずいのだが。

「あー、まぁ、言ったでしょ? 俺は恋の魔法使いだって。
ちなみにもう一人の恋の仕掛け人は君のよく知ってる女の子さ。友達なら今後も仲良くしてあげてくれよ」

 その肝心の仕掛け人は、やばい……まだ金縛りを解いてなかった。

 芋虫のように転がるセーラー戦士の視線はあまりにも鋭い。

 俺は慌ててセーラー戦士を腕に抱き上げて回収すると、シンデレラと王子様にさっと手を上げて挨拶しておいた。

「それじゃぁお幸せに。さすらいの乙女、セーラー戦士をよろしく!」

「ああ……なにか、まだよくわかっていないんだが。どうやら君に迷惑をかけた事はわかったよ」

「ありがとう? でいいのかしら? ……私もまだ頭が混乱してて」

 二人の声に俺は返事を返さずに、用意していた最後の魔法を発動させる。

 俺が指を鳴らしたとたん、シンデレラは再び美しいドレス姿に姿を変え、荒れたパーティー会場はすべて元の姿に戻って、会場中の人々を驚かせた。

 そこには逃げ出したはずの人達の姿さえあったのだから、全員自分の目が信じられなかった事だろう。

「こ、これは?」

「ふっ……いつから現実だと錯覚していた?」

 まさかこの台詞を素で使う日が来るとはおもわなんだ。

 俺の姿も人形から元の俺に戻っている。

 しかし演出はそれだけでは終わらない。

 空から色とりどりの花吹雪が舞い散り、地面に落ちると光の粒になって消えてゆく幻想的な贈り物とセットである。

 セーラー戦士が俺の手の中で顔を真っ赤にして暴れていたが、このお姫様抱っこ的な抱きかかえ方が恥ずかしいのだろうか? それとも自分の扱いが不服なのだろうか?

 怒りか羞恥か、金縛りを解けばすべてははっきりするんだろうけど、怖いのでしません。

 やる事をやった俺達は、槍の人にもにこりと視線を送って、後腐れなく、この場から逃げ出したのだった。



『君がパーティーに来てくれるとは思っていなかったんだ。もう君には嫌われていると思っていたからね』

『……ごめんなさい。でも一目あなた様にお会いしたく』

『何を謝ることがあるものか! 君と……こうして再び会うことを私がどれほど待ちわびていたかわかるかい? ずっと、君に会いたかった。どんなに月日が流れても、君の姿はいつまでも色鮮やかで色あせることはなかったよ』

『……私もです、****様の事は一度だって忘れた事なんて』

『ああ、そんな様付で呼ぶなんてやめてくれ。昔と同じように****と呼んでほしい』

『そんな、私のようなものがそんなこと……』

『大丈夫だよ。この胸の鼓動を聞いてくれ、こんなにも私は君を愛おしく思っているんだ。
そんな君から他人行儀な呼ばれ方をするなんて、そちらの方がよほど胸が締め付けられる』

『****……』

『***……俺は』

『……』

『おっとごめん。……そうだ、今はダンスパーティーだったな。お嬢さん、私と……踊っていただけますか?』

『はい!……』

 頬を赤らめる男と女。

 観衆の大半は二人のやり取りに溜息をこぼし、また半分は落胆の溜息を吐く。

 領主様は満足げに頷いているし。

 すべてはうまくいきそうである。

 俺はもう耐えられずにがくがくと走り抜ける寒気と戦いながら身もだえしていた。

 さて、俺には甘すぎる会話も、ここらで聞くのをやめるとしよう。

 様子を見るためにかけておいた魔法を俺は解く。

 俺達がさっさと逃亡してきた先は、案外近くで城の屋根の上だったりするのだが。

 横ではセーラー戦士が解放されていたが、今は赤い顔のまま頭を抱えているようである。

「あんな人前でお姫様抱っこって……」

「すごいだろ? 人一人抱えあげるのって結構力が要るんだぞ? 俺もそろそろもやしは返上かもしれないとか思ってみたり!」

「……スポットを当てる場所がどう考えても違うだろう」

 そして、うううと悔しげなセーラー戦士はやはり俺に向ける言葉尻に棘がある。

 無理もないか、俺だってあの扱いは怒る。

 なにせ最後など、まるでいい所無しだったのだから、仕掛け人としては不服もいい所だと思う。

「あー、でもよかったんでない? 実際あの二人は絵になっている」

 俺は無難な言葉をセーラー戦士にかけるが、正直慰めにもなっていない事だろう。

 だが俺はといえば心地いい疲労感に包まれていた。

 いや……立場としては悪役そのものだったのだが、終わりよければという奴である。

「ちかれた……今日の俺はアカデミー賞ものだよホント」

「……お疲れ様。感心したよ……でもいつの間にあんな事企んでたの?」

 落ち込み気味だったセーラー戦士にねぎらいの言葉をいただいたので、そろそろネタばれもいいだろう。

 とは言っても、大した話でもないのだが。

「俺の案じゃなくて、領主様達の企みに乗せられちゃっただけですけどね。声をかけてきたのはおやぶんだし」

「だれだよおやぶんって……」

「あの槍の人。密かにニックネームをつけてみた。
なんか結構王子様の気持ちなんて言うのは、丸わかりだったみたいでさ。もどかしさ爆発だったらしいよ。
そこで今回の催しだったわけだけど、そこに俺が紛れ込んだもんだから大混乱ってわけ。
実はすごい警戒してたんだってさ。
人間には難しいって言っても、魔力を感じ取れる奴はいるからって怒られちゃったよ。
しかも俺達が気にしてるのが、王子様の意中の人だったもんだから、思い切って謀に勧誘されたわけ」

 それで声をかけようと思う事がまずとんでもないが、そこはおやぶんである。

 使える物は何でも使えとばかりに利用してくるのだから、実際どれだけ逃げ出そうかと思った事か。

 しかし目的は一致していたし、面白そうだから手を貸す事にした俺も大概である。

 ただ、話し合いの時のおやぶんの目は絶対に忘れないだろう。

 あの目は、もしあの時俺がちょっとでも変な動きをしていたら、きっと勝てるとか勝てないとかそんなの関係無しに襲って来たに違い。

「最後に『貴殿と敵にならなかった事は幸いだった。もしそうなら私は命を懸けねばならなかっただろう』とか言ってたし。あの目はマジだったよ」

 思い出してブルリと震える俺に、セーラー戦士も苦笑気味だった。

「へぇ……じゃぁあの剣は? さすがに突き刺した時はあせったよ」

「これ?」

 そう言って再び取り出したのは俺の愛剣である。

 しかしこれにはある魔法がかかっているからとっても安全なのだ。

「今はただの棒って所かな? 何にも斬れないし、怪我もしない魔法がかかってる。
実は斬られるとみんな笑顔になる魔法ってのにするはずだったんだけど、カワズさんに却下された」

「……だろうね」

「もっとも、結果的に笑顔には出来た見たいですけど……ね!」

 俺は会心のドヤ顔で言ったら、セーラー戦士はより疲れた顔をしていた。

「……かもね」

 だがしかし、今回の一連の恋愛騒動は俺にある真理を教えてくれた。

「しかし実際さ、リアルに足りないのは王子様でもお姫様でもなくって、無償で手助けしてくれる俺みたいな優しい魔法使いだと思うわ」

「……そうかも」

 勤めて明るく振舞っていた俺だったが、まだセーラー戦士の機嫌は直らないようで、膝を抱えて浮かない表情のままである。

 怒っているの? へこんでいるの?

 その辺はっきりしてくれると、もう少し適切な対応も出来そうなんですが……。

 さすがにおどおどし始めた俺に、セーラー戦士は突然顔を上げると、今度はいきなり俺に向かって頭を下げてきた。

 しかし俺には理解不能の行動である。

 てっきり謝罪を要求されるかと思ったのだが、そんな事もないらしい。

「な、なに?」

「えっと……なんか大事になっちゃって本当にごめんね?」

 なにを言い出すかと思えば、何を言うんだという話だった。

 しかしそれは見当はずれってものだろう。

 何を言われるかと恐々していた俺は、その瞬間思わず笑ってしまっていた。

「はっはっは! おいおい、セーラー戦士、謝るなって。俺は今回大盤振るまいだったろ? こんな所まで駆けつけて、シンデレラの真似事までやった。普段使わない魔法もバンバン使っただろう? 不思議だと思わないか?」

「う、うん。そうだね……」

 一言一言、区切るようにそう言うと、セーラー戦士は色々と考えているようだったが、すぐに何かに気が付いたようにはっとして、今度はなぜか落ち着きが無くなっていた。

 そわそわと、膝の上で組み合わせた指をせわしなく動かし、咳払いをし始める。

 だが俺はそんなセーラー戦士を見つめたまま、淡々と、自分がやった事をセーラー戦士に聞かせてやった。

「その上、ガチ戦闘の上、人間の国なんて厄介のものにもポリシーをまげて首を突っ込んだ。……何でこんなことまでしたかわかるだろう?」

「え? えーっと……な、何でだろうな?」

 なぜか声が裏返り、セーラー戦士は顔を赤らめて、戸惑った顔でちらちらとこっちを見ている。

 そんなことは決まっているじゃないか。

「超楽しかったからに決まってるじゃん!」

 あんまり趣味がいいとはいえませんがね!

 しかし、そこは俺だって男の子だ、人様の恋愛に興味津々だったりしますとも!

 そう言ってカラカラ笑うと、セーラー戦士はさっきとは打って変わって、今度はひどく疲れたように項垂れている。

 うむ、浮き沈みの激しい年頃なのだろうか? この年頃の女の子は箸が転がってもおかしいと言うし、そんなにおかしな事でもないだろう。

 そして長いため息を吐いているのだが、どうやら俺には人を慰める才能はないようである。

「……だよね、うん、そうだと思った」

「だろー? でもカワズさん辺りには相当馬鹿にされるなぁ。それだけが気がかりだ」

「……だろうね」

「ところで、何でそんなに不機嫌そうなんですか?」

「……別にそんなことないけど」

口ではそう言うものの、明らかに不機嫌そうなセーラー戦士はしばらく仏頂面で口を聞いてくれなかった。
とりあえず終了です。
お疲れ様でした。
今回はなんか、すごい苦戦してしまいました。
さぞかし文章もひどい事になっていると思いますw
お話もたまってきたのでそろそろまた整理しようかと思います^^;


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