四十八話 余計なお世話 1
『必ず元の世界に戻る方法を見つけて見せるから』
そんな言葉を残してセーラー戦士はエルフの里のお使いが終わると、さっそく元の世界に帰還する方法を探しに旅立ってしまったわけだが、俺はと言えば、そんなあるのかないのかもよくわからない物を探すつもりもさらさらない。
同じ異世界トリッパーとして情けない?
いやいや、しかしなにがいい結果を産むかなんていうのは……やっぱりやってみなくちゃわからないだろう?
というわけで、以上いいわけでした。
そんなことより、俺にはやらなきゃならないことがあるのだ。
「『構わない。エルフはそもそも妖精だ。彼らから派遣されたのなら拒む理由もない』とさっそく女王様から投げやりな許可をもらったので。ナイトさんとクマ衛門の家を建てたいと思いますー」
ぱちぱちと適当な拍手が返ってきて、俺はそれに手を上げて応えた。
エルフの国からやってきたナイトさんとクマ衛門の二人組は、自分で家を建てると言って聞かないので、無理矢理便乗させてもらったのである。
実際、家が完成するまで野宿しそうな勢いだったものだから、当然阻止だ。
そういうわけでナイト&クマ衛門ハウスの建設こそ、急務と言えるのではあるまいか?
「ですから、そのような事にお手を煩わせるわけにはいきません。自分達でどうにかしますから……」
しかし頑なに手伝いを遠慮するナイトさんにも困ったものである。
「え?……手伝い、いらないの?」
「ええ、来て早々ご迷惑をかけるわけにはいきませんし……」
きっぱり言われて、俺は力なく身体から力を抜くと、空を仰ぎ見た。
「……そっか、そうだよね。ははっ、なに舞い上がってたんだろう。馬鹿だな俺……。うん、二人だったら簡単に家くらい……建てちゃうよね」
俺は足元にあった石ころを蹴っ飛ばす。
あ、ちゃんと当たった。
虫けらみたいな俺でも、石を蹴っ飛ばすこと位なら出来るんだな。
「あーあ、ナイトさん、タロ拗ねちゃったよ」
「こうなるとものすごく面倒くさいんじゃよ?」
トンボとカワズさんの援護射撃が入り、ナイトさんがたじろぐ。
そして根負けしたのか、彼女は慌てて言った。
「……! い、いえ! そういえば手が回らない所も沢山ありました! ぜひお願いします!」
「んん! それじゃあ張り切っていってみようか! まずはどんぐりを撒く所から!」
「なんだか急に元気になったような気がしたんですが……えっとどんぐり?」
もちろんすべてはフリである。
こんな面白そうなこと放っておけるわけないじゃないですか!
さっそく二人が家を建てようとしていた建設予定地に出向くと、そこは地面こそ平たいが、とにかく日当たりが悪い場所だった。
それどころか藪も多く、なんだかすごく見つけづらい。
とてもじゃないが、いい場所とはいいがたいだろう。
「この辺りに小屋を建てようかと思っていまして、身も隠せますし」
あーそうか、採用基準がもうすでに違うのか。
俺は何とも武骨なナイトさん達に、俺の価値観を押し付けていいものかと、ちょっとだけ悩んだが。
しかしそのすぐ後ろ、クマ衛門の表情が心なしか落ち着かないことに気が付いて、にやりと笑う。
どうやら赤貧生活はナイトさんのみの希望らしい。
だとしたら、……躊躇う理由は何もなかった。
「小屋って、あのエルフの里にあったような奴?」
「はい。アレも私達が自分で建てたものです」
ナイトさんはごく当たり前のことのようにそう言うが、まさか手作りの小屋とは。
アレにまた住むつもりだったのか……。
記憶の中にあるそれは、一見すると、とても狭い倉庫のような小屋だったように思う。
二人で手作りするとなれば、そんなに大きなものも建てられまい。
悪いとは言わないが、俺達がいるというのにアレで妥協されては魔法使いの名折れというものではあるまいか?。
「だが、そんな小屋に彼らを住まわせていいものか! 否! いいわけがない!」
「いえー! まったくその通りだね!」
「もちろんじゃとも! 論外じゃな!」
「なんだかずいぶん楽しそうですね……」
俺達のテンションについていけないのか、ナイトさんもクマ衛門も戸惑い気味だった。
その気持ちはわかる。
カワズさんも最初はそうだった。
「いや実際、タローと家を建てるのはなかなか楽しいんじゃよ? これが」
カワズさんもこう言っていることだし、期待に応えるためにもここは一つ、気合いを入れていくとしよう。
「そこで俺が今回提案する家は……これだ!」
さっそくババンと昨日から寝ずに描いていた物を全員に見える様に張り出したのだが。
「ええっと……これはなんでしょうか?」
しかし模造紙いっぱいに描かれた家に対する反応はいまいち悪い。
ナイトさんもわかっていない風なので俺はあえて言った。
「ツリーハウスだ!」
そうツリーハウス。
そのままズバリ、木の上に建てられた素敵なお家である。
だがみなさん感じたことはないだろうか?
数あるツリーハウスを見て、あれ? なんだか少しイメージと違う……と。
ちなみに俺のイメージだと、巨大な樹木のてっぺん付近に普通に寝泊まり出来るくらいの家がある感じなのだが、現実はそう甘くないだろう。
そんなでっかい木がそもそもなかなかないし、家が丸々一軒乗っかるような強度の枝も存在しないのだから。
だがここはファンタジー、夢とロマンの世界である。
そこはファンタジーらしく魔法ですべて解決してやろうとそういうわけだ。
「では手始めに木を育てます!」
「台詞だけ抜粋したらめちゃくちゃ言うとるな」
カワズさんも俺の台詞の奇抜さに噴き出していたが、そんなことは俺もわかっている。
「それで、クマ衛門もナイトさんも高い所は大丈夫だよね?」
「ええまぁ。見張りにも都合がいいですが、いくらなんでもそんなに待てないというか……」
ナイトさんも俺が一から木を育てるつもりだと思っているらしく、消極的にお断りしようと試みているようですが。
当然一から育てますとも。
まぁ普通にではないですがね。
「まぁまぁ、ここは俺を信じて。じゃあ他に希望はあるかな?」
「希望ですか? 雨風がしのげれば問題ないです」
「はい失格! 希望が低すぎます!」
「失格ですか……」
シュンとするナイトさん。
続いて、俺はクマ衛門を指してみた。
「君は何かない?」
「がうがふがふ!」
「なになに? タタミが欲しいでござる? ふむふむ、君の方が適応力があるね! っていうかこっちにもタタミあるんだ……。ならばそれ以外は俺の好きにしていいというわけだね?」
思いのほかいい反応が返って来たので、そこは加味させていただくとしよう。
「さすが先生! ひどい話です!」
「よせやい! 照れるじゃないか!」
トンボのテンションもいい具合に上がって来たらしく、俺達はさっそくプランを煮詰めていくことにした。
「とりあえず、風呂と台所とトイレはいるだろ? 寝室と、リビング、ダイニング、見張るって言うならベランダは多い方がいいかな?」
「必須な所は抑えるとして、水はどうするの? 毎回魔法で出す?」
「いや、木の方を品種改良して、地下水を汲み上げてもらおうかなと。逆に生活で出たゴミはそのまま根元で発酵させて、肥料にしてしまえるように、共生っぽく出来たらいいなと」
「……それって品種改良っていうのかな?」
流石に半信半疑のトンボは疑わしげだったが、しかし当方に勝算ありだ。
「カエルを二足歩行に改造した俺に不可能はない!」
「わしの事かの!」
前例が素早く反応してくれた所でさっそく俺達は作業に取り掛かったのだった。
まず植物を操作して場所を開けてもらうと、地面を整地。
手始めに俺は、用意していた植物の種を建設予定地の中心に撒いた。
ちなみにこれはどんぐりではない。
そしてついにこいつの出番である。
むしろこれのために、ツリーハウスなんてものを提案したと言ってしまってもいいだろう。
「はい、これ持って」
俺はわくわくと胸を躍らせながら、もってきていた例の装備を、最適と思われる二人に手渡した。
「がう?」
「ああ、またアレやるんだ」
「おうとも! 期待しているぞ?」
トンボは覚えていたようで、俺は彼女達にぐっと親指を立てて見せた。
「でもタロが魔法でやった方が早いんじゃない?」
そんなトンボの言葉に俺は手でバッテンを作って、大きく左右に首を振ったのだった。
不思議そうなトンボだが、この場面でこれを使わないなど論外だと思うのですよ。
「そこはやらなきゃウソでしょう? 二本しかないから代表してトンボちゃんとクマ衛門にやってもらいたいと思います」
せっかくなのでトンボに指導を託すと、しかたないとトンボは渋ったが、ニヤニヤしながら気合いを入れてそれを構えていた。
もったいぶっていた割に結構ノリノリのトンボちゃんだ。
「よし! いくよ! さぁクマ衛門! わたしに続くの!」
「がう!」
バッと勢いよく装備が開く。
それは大小の傘だ。
「まずまわって!」
「がう?」
くるくる回る。
二人は回る。
「気合いを溜めてー……」
「が、がう?」
回転を止めると、今度は傘に念を籠め始めた。
そして溜まりに溜まったその念を、だいたい大雑把で適当なタイミングで解き放つ!
「放て!」
「がう!」
勢いよく傘を突き上げた二人。
意味も分からず見ていたナイトさんだけが、首をかしげていた。
「あの……これはいったい?」
「くる!」
その時、変化の兆しを感じて俺が注意を促すと。
「?」
ポコリと沢山の双葉が地面から顔を出したのだ。
「よし!」
「え?」
そして次の瞬間……あっという間に双葉は地面を割ってにょろにょろと成長し始めたのである。
その成長速度は、常識をはるかに超えていた。
「祈って! 一心不乱に伸び縮みするの! たまにジャンプも効果的!」
「がう!」
妖精が跳ねる、跳ねる。
それに堪えるように空に向かって聳え立ったのは巨大な大樹だ。
だが少し様子がおかしく、雄々しく成長してくれた大樹はなんだか神々しい気を放ちながら力強く大地に根を下ろしたのだった。
「……何の種をまいったんじゃおぬし? ものすごくひれ伏したくなるオーラが見える気がするんじゃが?」
それに気が付いたカワズさんの反応が少しおかしいが。確かに言われてみれば立派すぎる木ではあった。
「えっとね、エルフの里のお土産なんだけど? 世界樹って言うんだってさ。葉っぱは薬になるらしいいんだけど……」
「……! 知らん! わしは何にも聞かんかった!」
世界樹と口にした辺りでカワズさんの顔が青くなったが、なんとなく見なかったことにしておいた。
「そう?……ひょっとして俺も何も知らなかったってことにしといた方がいいかな?」
「そうしとけ! 悪いことは言わんからそうしとけ!」
なんだかまた俺はやらかしてしまったのかもしれない。
幸い、木のオーラなんてモノは、よほど魔法に長けてないとわからないらしいので、気が付くとしてもカワズさんか女王様くらいのものだろう……たぶん。
しかし巨木は伸びに伸び、目的を達成するには十分すぎるほどの成長を見せてくれたので俺的には何の問題もなかった。
「……あ、ああ」
首が痛くなりそうなくらい上を見上げたまま、口を開けているナイトさんには悪いが、まだまだこれからが本番である。
「ふぅ……こんなもんかな!」
ナイトさんとは対照的に満足げなトンボと、意外にも楽しそうに踊っていたクマ衛門はハイタッチをしていた。
何気に適応力高いなクマ衛門。
いい仕事をしてくれた二人には感謝せねばならないだろう。
しかしカワズさん共々、その大樹を眺めていると、こちらに来たばかりの時に育てた大きな木を思い出した。
「でかい木は一回育てたことあったけど、今回はベストな大きさじゃない?」
「そうじゃのぅ、あの時の奴は雲まで届いておったからなぁ」
「だなぁ、あの木の上には何があったんだろうな? ひょっとしたら神様でもいたのかもなぁ」
「さぁなぁ……雲があることだけは間違いないんじゃがなぁ」
「当たり前だろ? カワズさん、はっはっは」
「そうじゃのぅ。ほっほっほ」
「和まないでください! 何ですかこの非常識な道具は!」
正気に戻ったナイトさんが傘を指差しながら騒いでいたけど、俺達の作った道具の中じゃ、まだこれは常識的な方である。
「え? いや、あんまり意味はないんだけど。めっちゃ育ったでしょ?」
「ええそれはもう、呆れるほどに……」
「でしょ? それじゃあ次いってみようか!」
「説明それで終わりですか!」
ナイトさん、今日の夕方までに終わらせたいんだから変なこと言わないでください。
俺は育ったばかりの巨木に手を添えると、さっそく木を改良すべく魔法発動させた。
魔法陣から魔力が木に伝わって、思い描いた通りの形にその構造を変化させてゆく。
作業が終わると、俺の目の前にぽっかりと大きなトンネルが口を開けていた。
「よし、じゃあどんどん行こうか」
明かりを灯して中に入ると、木の中は自分でやっておいてなんだが、驚きの構造だった。
分厚い木の壁の中には、とても広い空洞が広がっていて、その中心を貫くように、大きな柱が聳え立っている。
柱はこの木の生命力をそのまま表現するように、水の流れる音を俺達の耳に届けてくれていた。
その上、柱には延々と螺旋状の階段がくっついていて、暗さと相当の高さがあるせいでよく確認は出来ないが、さっき外から目星をつけた大きな木の枝辺りに続いているはずである。
「さっそく上がろうかって……ついてきてるのトンボだけ?」
「うん。みんな外で待ってるって」
ふむ、確かに真っ暗だし、外で待っていてくれる方がいいかもしれない。
俺とトンボは結局二人で階段で木を登り始めた。
途中、足元が危ないので照明を用意しながらゆっくりと登ってゆくわけだが、これがなかなか楽しくて、ちょっとした冒険気分である。
ランプは木を痛めないよう、魔法で熱の籠らない不思議な光を発っするものを用意する。
その時、事細かに指示を出してくるのはトンボで、結果なかなか凝ったデザインになった。
しかし最初こそスキップ交じりで登っていた俺だったが、残念ながらそう長くは続かなかったのだ。
「ぜぇ……はぁ……ぜぇ……はぁ……、駄目、何か大切なものが口から出そう」
……螺旋階段は長すぎだ。
足は重く、呼吸は荒い、俺の脆弱な体力ではあまりにもしんどい。
いっそエレベーターにすればよかった……。
そして俺はこんななのに、ついてきていたトンボは羽でパタパタと飛びながら、なんとも余裕そうなのが釈然としない。
「情けないよタロ……ほら! あと一個そこに照明つけて!」
「……ちょっと待って。心の力が溜まるまで」
「はーやーく! まだ肝心の家だって建ててないのに!」
「……そうだった」
トンボに尻をけ飛ばされながら、やっとのことで頂上の枝に到着すると、俺はさらに疲れることになる。
そこにはすでにカワズさん達三人の姿があったからだ。
「よう、遅かったな」
「……なんでいるんだよ」
声をかけてきたカワズさんに、若干うんざりした視線を向けると、カワズさんはカエルだけにケロッとした顔で言った。
「なんでって、外から風の魔法で飛んできたんじゃよ? ひょいっと」
そしてすまなさそうにしているナイトさんとクマ衛門も一緒である。
侮りがたし魔法。
俺が言うのもなんなんだけど、これなら階段とかいらないじゃないか。
折角頑張って作って来たのに。
軽く打ちひしがれた俺だったが、そんなことをしている場合じゃなかった。
「いいや……疲れた。さっさと家、建てちゃおう」
むしろここからが本番なのだ、めげている暇はない。
俺はいよいよ肝心の建物のイメージを固めようとしたのだが、予想外に今度はナイトさんの方から要望が入って、作業を止める。
俺としても彼女の要望ならぜひ叶えたいので、遠慮しないで言って貰いたい。
「すいません、少し目立たないようにしてもらえるでしょうか? 丸見えというのも落ち着きませんから」
どうやらナイトさんは予想以上の見晴らしに不安を感じたようである。
しかし理由はどうあれ、せっかく彼女が乗り気になってきたのだから、俺としてはその注文はなんとしても取り入れたい所だった。
「そう? 目立たないようにねぇ……」
それならどうしようか?
今までのプランは幹をぐるりと囲むように家を作る予定だったが、それではたしかに相当目立つ。
ならば一見すると、遠目からではただの木にしか見えないようにすればいいか?
そこで俺は、今上って来たばかりの螺旋階段を思い出して、考えを変えることにした。
中は相当な広さがあった。
なら、わざわざ小屋をくっつけなくてもスペースは確保出来そうじゃないだろうか?
ごく身近に、木をそのまま城にしている妖精に心当たりもあるし、出来ないこともないだろう。
「ちょっと面白い事思いついた」
「お? 今度は何をするつもりかのぅ?」
カワズさんも興味津々のようなので、俺は不敵に笑って、思いつきを形にするべく再び魔法を準備する。
「ふふん、まぁ見ておくといい」
意識を集中して魔法を掛けると、今度は一見すると大した変化は見られなかった。
しかし、内部はそうではないのだ。
最後に取っ手のついた入り口をつけて、完成である。
「何をしたんじゃ?」
このすごさを今一わかっていないカワズさんに、俺はすばらしい思い付きを披露する事にした。
「幹の中に部屋を作ったんだよ、ちなみに三階建て」
俺の新発想、木にしか見えないツリーハウスの出来上がりである。
いや、これも夢のツリーハウスの形だと思うのだけど、どうだろうか?
「ほう、ええんではないかな、妖精の女王の所もそんな風だったしなぁ」
「まぁそういうことだね。さっそく入ってみよう、俺もちゃんと出来たか不安だし」
しかしまぁ、妖精の城の規模と比べては見劣りしてしまうだろうが、これはこれでなかなかいい出来だと思う。
全員を引き連れて中に入ると、出来上がった部屋はまるで実物大のドールハウスの様だった。
しかし、削りだしたのではなく、木そのものがこういう形のせいか、濃い緑の匂いがする。
後は窓でもつけて、水回りを整備すれば、十分すぎるほど人が住めるようになるだろう。
「風呂場は大きい方がいいだろうなぁ……そうだ! せっかくだから露天にするって言うのもいいかも!」
木の上の天空露天風呂とは、最高すぎる。
しかし完成間近の我が家を見たせいか、狼狽えているのはナイトさんだ。
「あ、あの! そこまでしていただかなくても!」
今更怖くなってきたのか、遠慮がちに言うのだが、ここまで来て俺の方に自重する気など欠片もないわけで。
「え? ナイトさんお風呂入らないの?」
「いえ、あの、私達は蒸し風呂のようなものが一般的でして、後は水浴びとか……ってそういう事ではなくてですね!」
ふむ、彼女の言うスタイルも聞いた事がないわけではないが、やっぱりお湯に入ってゆっくり出来た方がいいに決まっている。
カワズさんにもトンボにも大好評だったのだ。いけないということもあるまい。
それにお湯にしっかり浸かって血行をよくしてこそ、疲れが取れるというものだろう。
ここは独断と偏見で、ジャパニーズスタイルをごり押ししていこうと思う。
「それはダメだ! ぜひともお風呂に入りなさい! お風呂は身も心も癒してくれる。カワズさん! 彼女用のシャンプー&リンスの調合頼む!」
「おうとも! まかされたわい!」
「トンボちゃん! 風呂場のデザイン考えるぞ!」
「ねぇねぇ! 私達サイズの浴槽も作っちゃわない?」
「いいね! というわけで、露天風呂は決定ということで! 反論は許しません!」
「は、はぁ……」
その日、日が暮れる頃には俺達の希望もふんだんに取り入れた立派なツリーハウス?が完成していたのだった。
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