初めまして&お久しぶりです、くずもちです。
ファンタジーもの始めました。
オリジナル物書こうとしたら、頭の中こんがらがってきますね。
つたない文章でまったりと行きたいと思いますのでよければどうかよろしくお願いします。
暇つぶしにでもなれば幸いです^^
プロローグ
しとしとと雨の降りしきる空。
力のない瞳で老人が一人、自室の窓から静かに雨粒を見上げていた。
ひんやりとした空気は、彼から体温を少しずつ奪ってゆく。
同時にそれは、魂が抜け落ちていくような錯覚を彼に覚えさせていた。
「もうすぐ終わりだのう……」
そして彼は、その感覚に身をゆだねながら呟くのである。
髪は白く草臥れ、蓄えた自慢の髭にもすでに艶はない。
顔色からは生気がまったく感じられないことだろう。
彼の命は今まさに、この辺境の小さな小屋で終わりを迎えようとしていた。
雨音をどこか遠くで聞きながら、振り返ってみれば、長くも短い生涯だったと物思いに耽る。
幸い、その時間だけは十分にあった。
彼はさる王国に仕える魔法使いだった。
高い魔法の素養のあった彼は、幼い時から魔法を学び、さらなる高みを目指して世界を廻る旅をした。
その旅の途中、ある国に属することになった彼は、さっそくその才能を国中に轟かせることになる。
魔法を探求していくにつれ高まってゆく名声は広く知れ渡り、いつしか彼は高い魔力故に生きた数百年という長きに渡り、魔導の道を邁進し続けた。
結果的に優れた魔力は、国を栄えさせるために大きく貢献した事は間違いないだろう。
その過程で、いくつもの魔法を研究し、彼の英知は神にさえ届いたのではと噂された。
すべては……魔道をたどる旅路のごく一部に過ぎないのかもしれない。
しかし後進達の指導をし、国を導く守り手も育てることが出来たと自負している。
やれることはやった。
人生に悔いなどない……とは言い切れないが、満足出来る基準は満たしていると、床に伏した今なら割り切れもする。
思えば魔法一筋の人生だった。
そして魔道の探求も、彼自身納得のゆく所まで達する事が出来たと、うぬぼれではあるかもしれないが、満足もしているのだ。
ただ……このままではあっけない幕切れであるとは彼自身も強く感じていた。
まだもう少しはあると思われた寿命は、戦争で受けた他愛ない古傷によって、肉体的な死を迎えつつある。
となれば、とるべき道など限られるだろう。
こうなれば、残り少ない人生を捨ててでも、己が生涯を懸けた魔導にこの命すら捧げてみせよう。
決心するまでに、そう時間はかからなかった。
それから彼は国の者達に別れを告げ、この人里はなれた山奥にやってきた。
目的は一つ、彼の最後の研究を成し遂げるためである。
そして、その成果が今まさに形を成そうとしている。
間に合った。
万感の思いを込めて、彼はただゆっくりと瞳を閉じた。
「魔法陣の動作確認……同時展開。……世界の番人よ、その門を開け。我が願いを聞き届けろ。
究極にして至高、我が生涯すらも飲み干す魔法を今ここに……」
床に伏したまま、彼は祈る。
ただ切に、魔法の完成を。
この魔法は彼のすべての命を吸い上げ、燃やし尽くすだろう。
しかし、その事に一辺の悔いも残すつもりなどなかった。
凡百の人間がいくら集まろうが、到底なしえないであろう至高の魔法を持って、この身に宿るすべての魔力を解き放つ。
老魔法使いを中心に、大地に刻み込まれた魔法陣が数キロに渡って光を灯し、天すら埋め尽くす記号の群れとなって、光を空へと運んでゆく。
光は空を割り、扉を開くだろう。
こうして老魔法使いの。
彼の生涯は幕を閉じた。
そうして魔法は完成する。
彼の願いと共に……。
というわけで始めて見ました。
二次創作で書いてみたことはあるんですが、今回はオリジナルです。
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