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ダニ媒介の感染症 新たに2人死亡
2月13日 10時8分

ダニ媒介の感染症 新たに2人死亡
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先月、国内で初めて確認されたダニが媒介するウイルスによる新たな感染症で、去年の秋、愛媛県と宮崎県の成人の男性合わせて2人が死亡していたことが、国立感染症研究所の検査で新たに分かりました。2人は、死亡する前、海外に行っていなかったということで、厚生労働省は国内でダニにかまれて感染したとみて詳しく調べています。

厚生労働省などによりますと、新たに感染が確認されたのは、愛媛県と宮崎県の成人の男性合わせて2人です。
2人は、去年秋、発熱や下痢などの症状を訴えて入院し、10日から16日後に死亡したということで、国立感染症研究所が血液を調べたところ、SFTS=「重症熱性血小板減少症候群」を引き起こすウイルスが検出されたということです。
このウイルスはおととし中国で新たに特定され、致死率は10%を超えるとされていて、国内では、去年秋、山口県の女性1人が感染し死亡したことが、先月、初めて確認されています。
2人は、死亡する前、海外に行っていなかったほか、検出されたウイルスは、山口県のものとほぼ同じだということで、厚生労働省は国内でダニにかまれて感染したとみて詳しく調べています。
国立感染症研究所には、このほか5人の患者についてこの感染症が疑われるとして血液が送られており、検査しているということです。
厚生労働省は、この感染症の広がりを調べるため全国の医療機関に対して、同じような症状の患者を診察した場合、報告するよう求めるとともに、患者が確認された地域のマダニについて、ウイルスを保有しているかどうか調査することにしています。
ウイルスを媒介するダニは、日本の屋外にも全国的に分布するマダニで、衣類や寝具など家の中に生息するダニとは種類が異なります。マダニは春から秋にかけて活動が活発になるということで、厚生労働省は、草むらなどマダニが多く生息する場所では長袖、長ズボンを着用し、マダニにかまれないよう注意を呼びかけています。

SFTSは新しい感染症

SFTSは新しい感染症

SFTS=重症熱性血小板減少症候群は、おととし、中国で原因となるウイルスが特定された新しい感染症です。
中国では、これまで少なくとも数百人の患者が報告され、致死率は10%を超えるとされています。
SFTSのウイルスは、「クリミア・コンゴ出血熱」のウイルスなどと同じブニヤウイルス科に属し、マダニが感染を媒介するとされています。
感染すると、発熱やせき、おう吐や下痢など、かぜのような症状が現れ、重症の場合は、血液中の血小板が減少して出血が止まらなくなったり、腎臓の機能が低下したりして死亡することもあるとされています。
感染してから発症するまでの潜伏期は6日から2週間とされ、血液などを介して人から人に感染することもあるとみられています。
国内では、去年秋、山口県内で死亡した女性がこのウイルスに感染していたことが、先月、明らかになりました。この女性には渡航歴がなく、検出されたウイルスの遺伝子の配列が中国で見つかったウイルスと異なっていたことから、SFTSのウイルスは、以前から日本国内にも存在していたと考えられています。
国立感染症研究所ウイルス第1部の西條政幸部長は「ウイルスを媒介するマダニは国内に広く生息するので、草むらなどに入る場合は長袖・長ズボンに加えて手袋やマスクを着用し、ダニにかまれないよう注意してほしい」と話しています。

専門家“肌の露出は少なく”

ダニの研究が専門で、日本衛生動物学会西日本支部の事務局長を務める福井大学の矢野泰弘助教によりますと、中国でSFTSのウイルスが検出されたというダニは、「フタトゲチマダニ」というマダニの仲間で、日本国内にも広く生息しているということです。しかし、これまで国内でダニ自体からこのウイルスが見つかったという報告はなく、早急に調査を進める必要があるとしています。
そのうえで、矢野助教は「このダニは、山や草むらに出かけたり、河川敷や裏山で犬を散歩させたりしたときに付いてくることがある。ダニにかまれたからといって、すべての人が発症するわけではないので、それほど怖がる必要はないが、とくに春以降は、ダニの活動が活発になるので、肌の露出を少なくするなど注意した方がよい」と話しています。

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