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魂の売れ残り このページをアンテナに追加 RSSフィード

2006-12-22 九百九十九本目の生娘

我ながら良くもまぁ続けられるモンだと感慨ひとしおの私ですが、皆さんいかがお過ごしですか。


上のタイトルは、ホントは『九十九本目の生娘』の感想をココで持ってくるつもりだったのに、ドコ行けば観られるんだか見当が付かないので断念した名残なので、あまり気にしない方向で。

[] 06/12/7 249(999) 『美しき冒険旅行 (DVD題〜『WALKABOUT 美しき冒険旅行』)』 (DVD/71年英/ニコラス・ローグ監督)  06/12/7 249(999) 『美しき冒険旅行 (DVD題〜『WALKABOUT 美しき冒険旅行』)』 (DVD/71年英/ニコラス・ローグ監督)を含むブックマーク

《解説》

『地球に落ちてきた男』『マリリンとアインシュタイン』などを監督し、『華氏451』などの撮影監督としても有名なニコラス・ローグによる、監督業としての初期作品。

世間では名作扱いされているようなのですが…

原題『WALKABOUT』。


オーストラリアのどこか。

父[〜ジョン・メイロン]に連れられて、車で砂漠寸前の荒野へと向かった少女(設定はローティーンだろうが実際は二十歳前)[〜ジェニー・アガター]とその幼い弟(6.7歳)[〜リュシアン・ジョン]はそこでピクニックをおっぱじめるのだが、父親が唐突に姉弟に向けてガンガン発砲。


殺る気マンマンの父親から逃げて姉弟は身を隠し、父親は子供らを捜索。

しかし数分で諦めた父親は、車に火を放つと躊躇ナシに拳銃自殺を遂げる(どうも無理心中を企画していたらしい)。

父親の自殺を見届けるハメになった少女は、父親に何が起こったのかイマイチ理解していない弟を連れ、どういう理屈かは不明だが来た道とは逆方向に歩き出す。


そして当然ながら道に迷うハメになり、食料も水も乏しい姉弟は早々と体力の限界に達してしまう。

あの世が垣間見える窮地に突入し始めた頃、幸運にも小さなオアシスを見つけた姉弟は、そこで水分と食料(変なくだもの)を補給して息を吹き返す。

だが、翌日になると突然水が枯れてしまい、姉弟は途方に暮れるコトとなる。


水の再出現を待ってその場から動けないまま何日かが過ぎたある日、部族の掟に従って放浪の旅を続けていたアボリジニの少年[〜デヴィッド・ガルピリル]と出会う。

言葉は通じないながらも、少年の“黙って俺についてこい”的な雰囲気を感じ取った姉弟は行動を共にするコトにし、旅や狩りに長けた少年に助けられながら(と言うか全面的に頼り切って)人里を目指すのだが…


《感想》

作り手の目指しているモノは想像が付くのですが、そこに辿り着くかなり手前でオカシなコトになっている難儀な作品でしたよ。

そもそも、導入部がヘンにも程があるので、全くと言ってイイ位に物語に入り込めません。


父親が主人公である少女に対し、目線をやけに乳・尻・ふとももへと飛ばす辺りから、娘への近親相姦願望を制御できなくなってきたオッサンが、人の道を外れる前に何とかしようと頭を捻った結果、冒頭の無理心中未遂に辿り着いた、との穿った見方も不可能ではないですが、もしそんなんならばココまで分かりづらい演出にする意味が無いですし。


そして、父の死を目の当たりにした姉弟が、来た道を戻らずに砂漠に向かって突進するのはどう考えても頭が悪過ぎて、その後にどんな窮地に陥ろうが「自業自得じゃボケ」としか思えず、画面上で展開される珍道中から猛スピードで興味が薄れます。


更に、都合よく現れたアボリジニの少年が何故か善意の塊で、言葉も通じない見ず知らずの姉弟がどうしたいのかをほぼ完璧に察知する、妖怪(サトリ)じみた洞察力を発揮して冒険旅行をガッチリとサポートするのは、最早ファンタジーへと片足を突っ込んでいる御座なり加減で、この映画自体を興味の埒外に置くコトに躊躇いが一切生じないレベルに。


何となく“文明と自然”“許容と拒絶”“男と女”といった対比の数々を話の核に据えようとしている気配も感じられるのですけど、その見せ方が良く言えばダイナミック、有体に言えば稚拙なので、作り手が意図しているであろう効果には程遠いモノが晒されるコトに。

どんな具合か“文明と自然”辺りで例を挙げると、アボリジニの少年が槍を使っての狩りを行なうシーンに、肉屋で捌かれるアニモーの映像をカブせる、なんていうコントレベルの単純さです。


終盤、アボリジニの少年が“ある感情”を伝える目的の行為を行い、少女がその意味に気付きながらも徹底して無視するというシークエンスがあるのですが、ココからの流れが非常に不快。

ラストシーンに繋げる上で必要不可欠な要素を含んでいるとは言え、こんなに悲惨にする必要性はねぇだろって位の鬱展開が用意されており、もう感動もへったくれも無くなるどころか、映画そっちのけで「“へったくれ”って何?」とか悩み始めてしまう勢いですよ。


コレを褒める方は、自然まみれな風景の数々や主人公である少女の全裸水浴シーン等、カメラマン出身監督ならではの“映像美”を評価しているようですが、前者はディスカバリーチャンネルorわくわく動物ランドでも見とけって話ですし、後者は意味合いとして“文明を捨て自然を受け容れる”的な心情の変化に対応しているとかなら兎に角、ドコにも繋がっていない無駄エピソード或いは単なるサービスカットにしか思えないというか、このご時世にこういうモノを褒めるとペド野郎認定が待ち構えているから気を付けろというか、実際には19か20だから大丈夫っちゃあ大丈夫だけどある意味ダメなのかも知れないというか、とにかくそんな。

…どんな?【-4】

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