【記者手帳】旧正月の朝に殺人鬼の番組とは

 「旧正月から何というひどい場面だ。早くチャンネルを変えなさい」

 旧正月の朝を迎えた10日午前10時40分。敬虔(けいけん)な気持ちで先祖を祭る新年の行事を終え、新年のあいさつを交わした多くの家族は、何気なくつけたテレビの残酷な場面にひどく驚いた。1970年代の米国の連続殺人犯、テッド・バンディが女性たちを相次いで殺害する場面が映し出されたためだ。このシーンが放送されたのはMBCの番組『神秘のテレビサプライズ』だった。同番組は、世界的な事件の裏側を再現ドラマで紹介するという内容で、日曜日の午前に放送され、主に青少年層の関心を集めてきた。制作陣はインターネットのホームページで「ミステリーとして残っている歴史的な事件とベールに隠された真実を暴き、視聴者に新たな情報と興味を与える」と番組の趣旨を説明している。

 しかし、この日の放送は「情報と興味」ではなく「衝撃と恐怖」を与えた。テッド・バンディが女性の首を絞めて殺した後、狂ったように笑う場面が2回にわたり約1分30秒間、画面を埋め尽くした。「自分を捨てた初恋の相手ステファニーに対する復讐(ふくしゅう)心から起きた殺人だった」というナレーションまで加わった。ある視聴者は「正月の朝から地上波の放送でどうしてこのような残酷な内容を放映できるのだろうか。いくら過去に海外で起きた事件とはいえ、たまらなく不快だ」と話した。

 さらに深刻なのは、テッド・バンディの連続殺人行脚をまるで「美化」するような印象を与える後半部分の内容だった。ナレーターは刑務所に収監されたテッド・バンディに熱狂する人々の姿を再現する場面で「一部ではテッド・バンディを擁護する人たちが現れ始めた。刑務所に多くのファンレターやプレゼントが積み上げられ、法廷の前では彼の減刑を求めるプラカードデモが行われ、大勢の人が集まった」と語った。さらに「ある人たちはテッド・バンディが起こした殺人を、犯罪ではなく心の病気が悪化して起きた症状だと見るべきだと主張した」と語るシーンもあった。

 テッド・バンディの残酷な犯罪を正当化するような印象まで与える内容だった。この番組を見た人の中に殺人事件で家族を失った人がいたならば、どんな気持ちになるだろうか。何よりも理解し難いのは、深夜の時間帯でも放送がはばかられるような連続殺人鬼の話を旧正月の朝から放映したMBCの無神経さだ。

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