大韓帝国の皇帝・高宗のひ孫に当たる李源(イ・ウォン)大韓皇室文化院総裁(50)=写真=は5日、東京国立博物館を訪れ、目録や写真でしか伝えられていなかった朝鮮王室の遺物を初めて確認した。李総裁は、朝鮮の国王が使ったといわれるかぶとやよろい、翼善冠(政務の際に国王が着用した冠)を見学した。
これらの遺物は、日本による植民地時代に事業家の小倉武之助氏が韓半島(朝鮮半島)で収集した「小倉コレクション」の一部。約1000点に上る小倉コレクションは、本人の死後、1982年に東京国立博物館に寄贈された。小倉氏が朝鮮国王の遺物をどのように入手したのかについては分かっていない。東京国立博物館は、これらの遺品をこれまで公開せず、倉庫に保管していた。
東京国立博物館はこれまで遺物の公開を拒否していたが、李総裁や市民団体「文化財を取り戻す運動」の慧門(ヘムン)僧侶などが、3年にわたり粘り強く公開を要求し続けた結果、5日に特別見学が実現した。日本共産党の笠井亮・衆議院議員なども物心両面で支援した。
李源総裁は、子どもがいなかった大韓帝国最後の皇太孫・李玖(イ・グ)=1931-2005=の養子で、2005年に養子縁組を結び、高宗の祭祀(さいし)を主管している。李総裁は「韓日関係を正常な状態にするためにも、朝鮮王室の遺品は韓国に戻すべき。今後、流出の経緯などを徹底して調査し、韓国に戻せるようにしたい」と語った。