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入学編
入学編エピローグ
「お~い。カズにぃ学校に行こう」
もう当たり前になったナギサとの登校。
和也はたまに小学生だったときのことを思い出す。
あの頃もナギサが迎えに来ていたなと思う日がある。
あの襲撃事件からもう二週間近く経っておりもう五月になっていた。
和也が魔法科学校に入学して一ヶ月経った。
「うん。分かった今行くよ」
和也はすぐに家からでた。
「そういえば今日だね」
ナギサが突然そんな話を振ってきた。
和也はそれをすぐに理解した。
「美樹先輩の退院の日だね」
あの事件で受けた肉体的の怪我と精神的を受けた。
前者のほうは一週間くらい前に直っていたが、今ようやく心の怪我が治った。
例え、どんなに魔法や医学が発展しても人の心だけは自分でしか治せないだなと思う和也であった。
日常。
和也はそれがいかに大切なものかが理解出来たものでもあった。
あの時、とったハンドガンは今も和也の懐に隠されている。
学校の風景、それはいつもの光景だった。
クラスでは飛一郎、姫華、衣瑠香、と話をすること。
授業を受けること、その全てが儚くて脆いものであると和也は思った。
放課後。
和也は今日、生徒会を休むことを、衣沙羅に伝えた。
和也とナギサは都内にある大学病院に向かった。
桜乃はすでに病院の玄関にいた。
そこには桜乃の両親と思われる人物と、姫華と謙吾がいた。
姫華はあの事件以来、ほとんど、毎日のようにお見舞いに行っていたらしい。
今じゃ、名前で呼び合う仲になったらしい。
和也として一番驚いたのが謙吾が桜乃のことが好きだったことだ。
今では恋仲というのを和也は姫華と桜乃から和也は聞いていた。
「美樹先輩。退院おめでとうございます」
「ありがとう。沢渡君」
和也はとりあえず桜乃に労いの言葉を掛けた。
「あのあとどうなったの」
和也はそのあとどうなったのかを桜乃に話した。
間宮司はあのあと退学処分をくらった。
しかし彼自身も心の弱さに漬け込まれ、桜乃と同じ状態だったが、彼自身が今回の責任を取るために自分から退学処分を要請した。
あとの生徒は全員、二週間の謹慎だった。
そのことを和也は桜乃に隠すことなく伝えた。
「そう。ありがとうね。沢渡君」
「それはそうと、聞きましたよ。先輩。おめでとうございます。おっとこの場合は木原先輩にも言わなきゃいけませんね」
それを言うと桜乃は顔を真っ赤にさせた。
そして同じくらい顔を赤く染めた謙吾が和也に噛み付いた。
「おい。そのこと誰から聞いた」
和也は何の迷いもなく姫華がいるほうに指をさした。
「三代川。お前」
「いいじゃないですか。先輩。どうせ時間が過ぎればばれちゃうですし」
「それもそうだが」
二人はそのまま言い合いを始めた。
それを微笑ましく見ていた和也の肩に突然手が触れられた。
「沢渡君だったよね」
その人物は美樹桜乃の父親だった。
「はい」
「このたびは娘を救ってくれてありがとうございます」
「いえいえ、当たり前のことをしたまでです。ですからお顔を上げてください」
和也がそういうと桜乃の父親は顔を上げた。
「それでは私達はそろそろ失礼します。桜乃行くぞ」
「あ、はい。それじゃね。姫華、謙吾君」
美樹一家は去っていた。
「それじゃ、僕たちも帰ろうか」
和也のその言葉を合図に解散となった。
無論、和也とナギサは一緒に帰宅となる。
「カズにぃ」
「うん、なに」
「これからは楽しい学校生活になるかな~と思って」
「そうだね」
和也はこのとき切に思った。
本当に楽しいものであってほしい。
だけどそれは出来ない。和也は異能者。
それは日常からかなりかけ離れているもの。
和也はまだなにもしらない。
これからさき起きることに。
次回はSSを一話はさんで、新章です。


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