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入学編
入学編Ⅸ話
放課後の生徒会の雰囲気はかなり重たいものだった。
誰一人としてなにか話そうとしなかった。
全員が揃って三十分過ぎたがまだ誰も一言たりとも声を発していない。
その理由は今日昼休みに起きたことであるのが誰でも想像が出来た。
和也は隣にいるナギサにアイコンタクトをとった(席順は和也からみた場合、隣にナギサ。向かい側の席に衣沙羅、麻耶、梓、颯はいつも通り衣沙羅の隣で立っている。
(どうする。ナギちゃん。)
(そんなのわたしにきかれても。)
アイコンタクトでここまで会話が成立するのもすごいなと和也は関心していた。
ナギサはお手上げの状況下の中和也はある行動にでた。
「会長。すいませんが、部活の部費に関する資料と部員の資料を貸してくれませんか。」
和也はこの言葉を言うのにはかなりの覚悟があった。
「和也君言っておくけど部費に関してはその部活が挙げた成果によって生徒会が話合った上であがるものなのよ。これに関しては私も確認したから間違いはないわ。」
衣沙羅が若干イラだった感じに言った。
それでも和也は負けじと言葉をかえした。
「いいですから貸してください。」
その後衣沙羅は嫌々ながら和也に資料を貸した。
資料の主流は電子データである。
和也にはすでにいくつかの推測が出来ていた。
和也はこの生徒会で一番機能がいいパソコンを起動させた。
資料をグラフで表そうと作業をしていた和也は開始五分で自分が最初に考えた推測が当たっていた。
それによって頬のニヤケを必死に抑える和也であった。
そしてこのグラフが完成したのはその三十分後だった。

「はっはっはっはっは。」
未だに静かだった生徒会に和也の笑い声が響き渡る。
和也が笑っているその理由は自分が推測していたことがまさかのドンピシャだったからだ。
どうしたという感じで残りの五人が和也が集計したグラフを見た。
これをみた五人は和也ほどではなかったが笑った。
「会長。僕はあなたのことを信用しているんですよ。
 そんなあなたが部費ぐらいで一等生に優遇しようと思うわけないじゃないですか。
 僕は初めからこうなることを予想していたんですよ。」
「でも確かにこれだったら誤解もされますね。」
グラフを見た梓が感想を漏らした。
「確かにね。有名な部活は全部たまたま一等生が全員レギュラーでしかもそれなりに成果もあげてるし。
 それによって部費も上がる。かといって二等生が主流の部活でも成果を挙げてるけどそこまで有名な部てわけでもないから。
 たしかにこれだったら一等生と二等生の間に差別しているといわれても仕方がないね。」
衣沙羅がグラフを見て梓とは違い具体的に解説をしていた。
「どうしますか会長。」
「どうするもなにも。このことを公表するしかないでしょう。
 でもただ公表するんじゃ意味がないは。
 だから集会でこのことを発表します。」
衣沙羅は宣言した。
「麻耶。冷菓と部活連合長をいますぐ呼んで。」
麻耶は分かりきっていたようでもう携帯を開き連絡をとっていた。
冷菓と部活連合長が来るまで十分かかった。

「お待たせ。衣沙羅。」
まるで友達と待ち合わせしているかのように冷菓は来た。
それに続いて、熊のようにでかい男が入ってきた。
和也は条件反射で戦闘準備に入っていた。
「部活連合長、六道春樹ろくどうはるきただいま来ました。」
その言葉を聞き和也は慌てて戦闘準備をやめたが、春樹はそれに気づいていたようだった。
六道春樹、数字付ナンバーズきの六道家時期当主。3-C組在籍。体格は和也とは真逆である。
「それはそうと、衣沙羅ちょっと悪いんだけど。今委員会の定期会議の途中でね、生徒会から誰か私の代わりをだせない。別にたいしたことをしない。ただこの私の指示通り会議を進めてほしいだけだから。」
衣沙羅は少し考えてから最高の案を出した。
「和也君、今日の執行部としてのお仕事は風紀委員長代理ね。場所はここの二階だからよろしくね。」
和也は「嘘だろ。」と言いたげな表情だったがすぐにいつもの表情に戻した。
「分かりました。」
と生徒会室から出て行った。
生徒会室からでてすぐにメールがきた。
送り主は鈴木冷菓となっていた。
和也はなんで自分の情報が思ったが、どうせあの会長のせいだと思いその感情を殺した。 
(それにしても執行部て基本あの手の会議に参加しないよなそもそも普通の集まりでも僕は執行部の仕事優先で戻ってきたら基本もう会議は終わっていてあとは遊ぶだけて感じだけど。)
そうこうしている内に和也は風紀委員の部屋の前に着いた。
(さて、どうしたものか。)
和也は悩んでいた。
どんな感じに入ればいいか分からないでいた。
一分ぐらいじっくり考え行動した。
ドアに手を掛け、静かにドアを開けた。
「失礼します。」
和也はそう言った直後に風紀委員の激励げきれいを受けた。
いきなり囲まれたのである。
(えーーー。どうすればいいのこの状況。)
和也はこの瞬間自分が執行部に入ったことを心の奥底で後悔した。
「お、なんだ和也か。お前ら警戒しなくていいぞ。」
慎がそう言うと他の風紀委員が各々の席に戻った。
「で、どうして和也が風紀委員の部屋にいるんだ。」
和也はそこで自我を取り戻した。
「執行部の仕事で今回は風紀委員長代理を務めさせてさせていただきます。」
和也のその言葉に誰も疑うことなく会議が始まった。

「議題はこれで今ので最後です。みなさんお疲れ様でした。」
和也の会議終了の言葉で風紀委員のほとんどが部屋から出ていた。
「なあ、和也。衣沙羅たちは今何を話しているんだ。」
「たしか集会を開くとかでしたけど。」
和也の言葉に慎は納得した。
「でも、なんでしょうかね。今回の件で部活連合長は分かりますけど、なんで風紀委員長まで召集されたんでしょうか。」
慎は和也のその疑問にすぐに答えた。
「実は昔な、これと似たようなことがあったんだが、その時は当時の生徒会長と部活連合長で話を進めていたんだがな。
 集会の日に侵入者が現れたんだよしかも武装した。体育館に、そのときは話によるとなんとかなったらしがな。
 それ以降のこの手の集会には風紀委員が当日の体育館の警備を行うことになった。そうなると必然的に風紀委員長も会議に参加しなければいけなくなったかだと思う。」
「ありがとうございます。」
魔法科学校でも襲撃をしかける人がいるなんて、和也はそれに驚かされた。

生徒会室に戻ると既に会議は終わっていた。
春樹は会議が終わると出て行った。冷菓は例のごとくでここにいる。
「沢渡君。お疲れ。」
その後、他の面々からもお疲れ等の言葉をもらった和也は自分の席に着いた。
さすがの和也も本が読める状態ではなかった。
「ナギちゃん。会議はどうなったの。」
和也は隣にいる。ナギサに声をかけた。
「うん。会議は今週の金曜の自習時間のところを集会に切り替えて、風紀委員が会場である体育館、周辺及び館内の警備にあたり、部活連合が有志同盟の警戒、わたし達生徒会は会長は人前での演説。わたしたちは裏方で警戒にあたれだよ。」
和也はナギサに礼を言い、一人考え込んだ。
九割は入学当初、人前では昔の呼び方を避けようと提案したがいつの間にかお互い人前で平気で呼び合っている自分について考えていた。
残り一割はもし集会に襲撃者がいた場合のシュミレーションしていた。

「今日も疲れた。(主に精神的である)」
和也は自分の家に着くなり今日一日のストレス発散も兼ねて少し大きなな声で言った。
それが済むといつもどおり、寝室兼自室に戻り、制服を脱ぎそれを整えてからハンガーにかけ、私服に着替えた。
その後は基本家事である。
朝のうちに洗濯して干していた服を取り入れて、それをたたんでタンスの中に入れた。
その作業が終わると和也は暇になった。室内にはほこりが一つもない。
掃除は済んでいる。
晩御飯を作るのにしてもまだ時間があるといった感じだった。
「よし。ナギちゃんのところにも遊びに行くかついでに相談したいこともあるし。いつも向こうから来てるし、たまには僕のほうから。」
思いついたら、即行動、それは和也のモットーの一つでもあった。
早速隣の家のドアの前まで来た和也はインターホンを押した。
しかし、三回押したが、誰もでなかった。
和也はどっかに行ったのかなと思いながた、ドアノブに手を掛けた。そしたら、鍵は掛けてなく、ドアが開いた。
和也はこれにかなり混乱したがすぐに落ち着きを取り戻し仮に今この家に誰もいないなら、自分がいたほうがいいだろうと思った。家の中に入る直前は、やっぱり入らないほうがいいじゃないかと思ったが、入ってしまったら関係なかった。
玄関で待つのもどうかと思い。「お邪魔します。」と今自分が出せる限りの声で和也は言った。もちろんながら返事はなかった。
(それにしても、鍵も掛けずにどこか出かけるなんてナギちゃんも無防備だよな。これはあとで注意したほうがいいのかな。)
と少しお節介かなと思いながらも注意するのがやっぱいいだろうと思った和也であった。
とりあえず、リビングで待たせてもらおう考えた和也は抵抗がありながらも前に進んだ。しかし、リビングに向かう途中である部屋で和也は気配を感じた。
その部屋は和也のところだと風呂場の場所であった。
慎重にドアの前に近づけた、そこから物音がした。
和也は一度、静かに深呼吸をし、意を決死ドアを開けた。
そしてそれを後悔するのは一秒後だった。
「動くな。」
和也の目の前にはバスタタオル一枚で他は一糸纏っていない状態のナギサがいた。しかも驚きのあまりに手からバスタオルが取れてしまい、本当に一糸纏わぬ姿になってしまった。
「え、ふぇ、ふぁ。きゃーーー。」
そのショックで和也はナギサに殴られた。
和也は思いっきり殴られた。
その反動で和也は風呂場から追い出された。
ドアが勢いよく閉められた。
和也は今さっき自分が見たものを脳内でリピートしてしまった。
しかもバスタオルが落ちる瞬間だけが異様にスローモーションだった。
(ナギちゃんて、着せ痩せするタイプだったんだ。)
和也は現実逃避地味たことを思った。
ナギサが出てくるまでそう時間はかからなかった。
和也はナギサが出てきたきた瞬間、日本では古来から有名な謝り方、2000年という年が半世紀以上過ぎても未だに残っている謝り方。
DO☆GE☆ZEこと土下座である。
「ナギちゃん。すいませんでした。」
「ふ~。まずはどうして無断でわたしの家に入ってきたか話してもらいましょうか。」
その後和也はナギサに自分がここに入るまでの経緯を話した。
「まあ。そうゆう訳なら許してあげるか。」
ナギサの言葉に和也は思わず。
「ありがとうございます。」
と言ってしまった。
「ただし。条件付ね。わたしのその・・・・・・裸みたんだから責任をとってもらうからね。」
最後のところは声が小さ過ぎて和也には聞こえなかったが前半の部分は十分に聞こえていた。
「その、条件は。」
「今度、わたしをどっかに遊びに連れて行くよ。あと今日の晩御飯はよろしく。」
和也は約束通り晩御飯を作った。
その晩御飯を食べたナギサの感想は、
「わたしのに勝るとも劣らない味だ。」
だった。
それを言われた和也はというと。
「いや、いや。ナギちゃんのご飯の方が絶対においしいから。」
とナギサの意見を否定した。
「それは、そうとわたしに相談したいことてなに?」
ナギサのその問いで自分がなんでここに来たのかを思い出した。
「それは・・・・・・。」
和也は自分と桜乃に関することを話した。

「うん。結論から言うね。カズにぃはいつからそんな女垂らしになったのかな。」
話を聞き終えたナギサが和也に最初に言ったことがこれだった。
「女垂らしていつ僕がそんな不純なことをしたていうのはさ。」
「まあ。そっちは冗談として、それは辛いねカズにぃ。」
和也はナギサから同情の視線を感じた。
「僕の方は別にどうでもいい。なんで美樹先輩がそんなものに入ってたかだよ。そんな印象全くなかったのに。」
「カズにぃ。それはわたしにもカズにぃにも分からないよ。その本人さんしか分からないよ。だからカズにぃは気にしないほうがいいよ。」
「うん。分かったよ。」
あまり納得出来なかったが和也はそういうしかなかった。
その日の和也はいつもより早く寝た。
まるでなにかを忘れたいかのように。

昨日早く寝たのもあり、今日は朝の修錬が出来た和也は学校の昼休みまでは平凡な時を送っていた。
それは放課後に入った直後だった。和也はいつものごとく生徒会室に向かおうとしていたら、
「沢渡君。今空いてる。」
和也に問いをかけたのは桜乃だった。
「ええ。」
和也はそう返した。
場所はこの前と同じところだった。
「いやー。驚きましたよ。美樹先輩。」
最初に口を開いたのは和也だった。
「かっこわるい所みられたはね。」
桜乃が薄い笑みを浮かべながら言った。
「美樹先輩はどうして有志同盟に参加されたんですか。」
「私が有志同盟に入った理由。一等生と二等生の区別をなくすためよ。そして私自身のためでもあるの。
沢渡君の知っての通り私は剣道部に入っているの、中学時代では全国大会にもでていつも一位の成績を残してきた。
去年の春、私が魔法科学校に入ってきた時、私は迷わず剣道部に入ったわ。
入部してすぐに私はある人と戦ったの、その人にこう言われたの
二等生なんかに私の相手が出来るかて言われたの。」
和也はなにも言えなかった。
「沢渡君も有志同盟に入らない。高周波ブレードを素手で止められるのに二等生なんておかしいよ。」
和也が異能者であることを知っているのは生徒会の人間と風紀委員おまけに飛一郎たちだけであるため、彼の使う異能は一般生徒からみれば魔法力は低いが強い魔法が出せると思われている。
「せっかくのお誘いですが、剣道部のとき同様にお断りさせていただきます。
 衣沙羅会長は一等生と二等生の差別問題について真剣に考えています。
 それでは失礼します。」
和也はそう言い残しその場を去った。

「遅れてすいませんでした。」
和也は少し遅れて生徒会室に来たため謝りながら室内に入った。
そして和也の予想通りあとは和也だけであった。
「大丈夫よ。和也君それと集会の日時が決まったは。金曜日の自主学習の時間を使うことになったは。」


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