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入学編
入学編Ⅱ
「じゃ、和也、あとはがんばれよ。」
そう言い、まことは去っていった。なにをがんばればいいんだよと和也は心のなかで思った。
この学校の集会などは講堂で行われる。しかも基本、席は自由席。
だけど、席は二つのグループに分かれていた。
前方の席にはエンブレムがあるもの後方にはエンブレムがないものと別れていた。
和也は当然後者。そしてこのことは慎から特に聞いていたかっが、和也は特に迷うことなく後ろの席に向かった。
和也が座った席はあまり目立たないであろう、一番後ろの隅っこの席。
和也はこの戦果(?)に満足していた。
講堂では携帯端末をいじるのはマナーとして良くないので、和也は思い出したかのようにズボンのポケットから読みかけの本を取り出しさっきまで読んでいたいたページを開いて読書を始めた、式の開始時間まで時間を潰そうと思ったが、突然とつぜん声をかけられた。
「あの、そこの隣の席いいですか。」
声のトーンから和也は女子生徒と推測した。和也は何の躊躇いもなく返事を返した。
「ええ、いいですよ。」
和也はこの時点で隣に座るのは彼女だけかと思っていたが、予想外のことが起きた。
なんと彼女の後ろにあと二人の生徒がいたのだ。一人は男子、もう一人後ろに女子がいた。
つまり和也の隣に座るのは三人ということになる。
和也は内心残念だと思った。
三人はそのあとすぐに和也の隣の席に座った。
和也の隣に最初に話しかけた女子生徒。その隣にもう一人の女子生徒、最後に男子生徒の順に座った。
「アタシの名前は三代川姫華(さよがわひめか、こっちのメガネの西園寺衣瑠香さいおんじいるかであっちの冴えない男子が島嵜飛一郎しまさきひいちろう。よろしくね。」
「おい、冴えない男って誰だよ。」
飛一郎が姫華にツッコミを入れた。
客観的に見ても飛一郎は冴えないというよりかっこいいほうと思う和也であった。
そして和也は自分も自己紹介をした。
「沢渡和也です。こちらもよろしくお願いします。」
お互い自己紹介も終わり話が途切れたところで和也が一つ話題を降下させた。
「そういえば、三人は元からの知り合いなのんですか。」
これの答えたのは姫華だった。
「ううん。今日会ったばかりだよ。」
和也はこれになんとなく納得いった。姫華の性格からフレンドリーさを感じていた。
その後適当に雑談をしていると入学式が始まった。
和也は頬杖ほおづえをつきながら、校長の挨拶を聞いていた。
しかしその途中で和也の意識が突然なくなった。
次に和也の意識が戻ったのは入学式がちょうど終わった時だった。
姫華と衣瑠香曰く和也の寝顔は可愛かったらしい。

「いやーそれにしても入学式早々に寝るやつがいるとはな。なぁ沢渡。」
「ほっとけ。」
飛一郎が嫌味っぽく和也に聞いてきた。
「それにしても可愛かったなぁ、沢渡君の寝顔。ね、衣瑠香。」
「ええ。」
「ねぇ、沢渡君教室に着いたらもう一回寝てよ。」
「誰が寝るか。」
和也は自分が決して学校ではいや姫華の前でだけは寝たりしないと心の底から決意をした。
その後和也ご一行は自分の教室に着くまで大変騒がしかった。

「は~なぜだ。」
和也が自分の席に着き初めに言った言葉だ。その理由は・・・・・・。
「よろしくね。沢渡君。」
「俺のほうもよろしくな。」
「あのよろしくお願いします。」
あの三人がまさかの和也の席の近く。具体的な配置は和也の隣に衣瑠華。和也の前に飛一郎。その隣に姫華。
「それにしても衣瑠香はいいよね。可愛い沢渡君の隣で。」
そこで一度姫華は飛一郎の方に目を向けると
「それに比べて私はこんな冴えない男の隣だし。」
「おい待て。お前。それはどおいう意味だ。」
飛一郎はやはりというべきか反論してきた。
「あら、そのままの意味ですけど。」
そのまま口喧嘩げんかを始める二人。それを止めに入ろうとする衣瑠香。
和也は自分の席に着いたまま一言呟いた。
「なんだこれ。幸なのか不幸かどっちか分からないよ。」
と和也は三人に聞き取れないくらいの音量で呟いた。
その後IDカードを配りに来た先生が来るまで二人の口喧嘩は続いた。

和也の前の席にはお互いをにらみあう二人がいた。
それをみた和也はこれから一年いや一ヶ月もつのかなと考えていた。
IDカードをもらった和也は学校で支給された3Dノートパソコンを立ち上げた。
この学校での授業はほとんどが魔法関係の授業。だけどここも一応は高校つまり普通の高校の授業も行わなければならない。しかしここには魔法のために雇われた先生しかいない。よって普通の授業を行う方法は学校から3Dノートパソコンを支給しそこに高校の授業をプリントにしたものをメールで送り、一ヶ月に一回そのプリントデータが自動的に教員のパソコンに送られる。
それを自動的に行うために必要なのがこのIDカードだ。
まずパソコンを立ち上げるとそこにある専用のアプリを起動させるとそこにIDカードに書かれている数字を入力すると自分のページにとぶ。
和也はこの行動を戸惑うことなく出来た。
入学早々なのか特にプリントの配布がなく、ただ暇潰しをかねて明日以降の予定を確認していた。
明日は午前午後使った自由学校見学。
基本自由行動で一人で見学してもよし、何人かのグループで見学するもよし、どこを見学するもよし本当に自由な学校見学なのだ。
和也は今日出会った三人を誘おうと声をかけようとするよりも早く姫華が動いた。
「ねぇねぇ。明日の学校見学。この四人で行かない。」
これには和也を含めほかの二人も次々に返事を返した。
もちろんOKの返事を。
一年生にとっては入学式。二年生、三年生にとっては始業式である今日はどの学年も午前の授業でおしまいでどの学年も下校を開始していた。無論和也のクラスも下校を開始していた。
和也は今日は早いなと思ったが実際は入学式に二時間かかっているが眠っていたからその感覚が全くない。
和也も家に帰ろうと席から立ち上がろうとしたその時
「おい沢渡。暇なら俺と飯食って帰らないか。」
「別に構わないけど突然どうした。」
「いやなんだ。これから一年一緒のクラスなんだし、仲を深めるのもかねてさ。」
「だったら私たちも入れてよ。」
そこには飛一郎にとっては犬猿けんえんの仲になった姫華が二人の会話を聞いていたらしい。
「別に僕の方は二人が来てもかまわいないけど。島嵜の方は・・・・・・。」
と和也が言いかけたが姫華が
「別にいいよね島嵜君。」
姫華は今までにないくらいの笑顔で飛一郎に聞いてきた。
飛一郎はバツの悪そうな感じに答えた。
「俺は構わない。」
これにより四人は一緒に食事を取ることになった。
教室にでた和也達は教室を後にした。
姫華は一人で四階から一階まで一気に駆け降りた。
残った三人はそれに続かずに自分たちのペースで降りていった。
この学校には上履きというものがなくいちいち靴を履き替えなくてすむので、一階につく三人はそのまま校門にでた。
「おーい三人とも遅いよ。」
先に行っていた(一人で駆け出した)姫華がこちらにむかって手を振りながら叫んでいた。
「あいつ一人で勝手に行っておいてなに言っているんだ。」
「まあ、そう言うなよ。」
「そうですよ。」
和也と衣瑠香がフォロー入れた。
「おーい。」
そんなことを知らない姫華がまた大声でこちらに向かって叫んでいた。
衣瑠香と飛一郎が駆け出し和也も駆け出そうとした時。
「和也君ーーー。」
と後ろから聞こえると同時に腰あたりになにか柔らかいものがあたっていた。その衝撃に耐えられなかった和也が尻から倒れこんだ。
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