2011年10月16日
警察官の階級【図解編�掘曠�ャリアとノンキャリア（続）
キャリアとノンキャリア：昇級の図
下の図は、神一行『警察官僚』（角川文庫2000年）P.187「図�� 警察官の採用別昇進の比較」をもとに作成しました。「改革中」を加えたり、目安の年齢を一部変更しています。
キャリアの場合は、おおむね年齢でランク付け可能です。現在「改革進行中」らしく、それ以前とも比較してみました。「警視まで」が少し長くなっています。
ノンキャリアの場合は【図解編�供曚砲△襪茲Δ法⊂最せ邯海帽膤覆靴覆韻譴个覆蕕覆い里如�年齢＝ランク付けとなりません。50歳代で巡査の警察官もいます。図の年齢は、昇級の早いノンキャリアも中にはいるという程度のもので、いわゆる「推薦組」（30歳前後で警部補になっており、組織だった思考・行動ができると上に判断された者）クラスの場合と考えてください。
キャリア警察官とは
国家公務員�擬鏤邯街膤兵�で、警察庁に採用されたものをさします。霞が関の高級官僚になる資格を持った「有資格者」のこと。警察官の場合は、毎年10〜20人程度採用され、全体で約500人。全警察官の0.2％。
警察庁入庁と同時に「警部補」に任ぜられ、警察大学校での研修や都道府県警察での見習い勤務、警察庁勤務や海外留学・大使館勤務、そして警察署長や本部捜査2課長など、幹部としての都道府県警への出向を繰り返して、トントン拍子に階級も部署も上がっていく仕組みになっています。
2000年以降の改革により、警視昇格のペースはややダウン（【年】で示す）しましたが、以前は、22歳（入庁時）警部補→（1年2ヶ月後、23-4歳）警部【2年〜】→（4年後、26歳）警視【7-8年】→（10年後〜、32-6歳）警視正→（20年後〜、42-3歳）警視長→（30年後〜、50代前半）警視監→（50代後半）警視総監・警察庁長官というコースでした。最後は2人なので、同期のキャリアは40代後半から50代半ばにかけて天下り、政治家への転向などいろいろあるようです。なお、この出世ペースダウンの一方で、その期間内に海外留学や、一線署課長代理や本部係長などの優遇措置を盛り込んだのは、さすが官僚のバランス感覚と申せましょうか。
ノンキャリアとは
地方公務員として採用される警察官。以前は半数ほどが「巡査」でした（【図解編�機杙仮函法�
巡査から巡査部長、警部補、警部と上がって行くにはそれぞれの段階で昇任試験をパスしなければなりません（【図解編�供杙仮函法Ｂ臑瓦塙眤瓦任皀薀鵐�アップのペースは違います。受験資格も勤務歴と関係しているおり、いちばん早くて（カッコ内は年齢。警部補までは大卒）で、巡査（22）→巡査部長（24）→警部補（27-28）→警部（33）→警視（40代初め）→警視正（50）→警視長（55）と言われています。30歳前後で警部補になっている場合、「推薦組」（ノンキャリアの星？）として図のような出世街道を歩みます。なお、準キャリアは、キャリアよりも推薦組に近い位置にあるようです。
ごくごく少数ですが、警視長にまで出世した人のなかには、退職時【任警視監】となる人もいるようです。また、ノンキャリアの警視長ポストも、以前に比べると増えているようです。
【任警視監】とは
警察の人事異動で【任警視総監】【任警視監】【任警視長】【任警視正】【任警視】【任警部】【任警部補】【任巡査部長】などということばがでてきます。階級についての任命と、部署についての任命とがそれぞれ同時に、あるいは別々になされる警察官ならではの表記のようです（自衛官なども同様かもね）。
官報（縦書き、2008/8/26）には、たとえば次のように記載されています。
（警察庁長官官房付）警視長 神山 憲一
警視監に任命する
愛知県警察本部長を命ずる
（京都府警察本部長）警視監 青木 五郎
警視庁公安部長を命ずる
（警察庁長官官房付）警視長 植田 孝視
警視監に任命する
辞職を承認する
これをみると、階級と同時に役職を任命する場合に「【任警視監】愛知県警察本部長（警察庁長官官房付）神山憲一」などと一般新聞に記載されるようです。すでに警視監に任ぜられている場合は「【警視監】警視庁公安部長（京都府警察本部長）青木五郎」と、「任」を付けない。
また、【任○○】と辞職承認とが同時の場合（辞職【任警視監】（警察庁長官官房付）植田孝視」）は「功労に報いる」──元警視監と元警視長とでは社会的地位や退職金が違うし、再就職先や叙位叙勲だって違ってくる──ということでしょう。