社説:北朝鮮またも核実験 深刻な脅威を直視せよ
毎日新聞 2013年02月13日 02時30分
3度目の核実験で北朝鮮の脅威がますます高まった以上、中国は安保理で厳しい姿勢を明確にし、国際社会を納得させるべきである。
安保理の仕組みに不十分な側面があるにしても、その決議は守り、尊重するのが国際社会の当然のルールである。そのルールを平然と無視し、むしろ悪罵の限りを尽くしている北朝鮮の態度を、なんとしても改めさせねばならない。
中国外務省は北朝鮮の北京駐在大使を複数回呼び、核実験に反対する考えを伝えたというが、それだけでは十分ではあるまい。
◇中国の姿勢に問題
一方、私たちがしばしば求めてきた「日米韓の結束」にも、弱点があったのではないか。1990年代にさかのぼって見れば、米国は「北朝鮮は遠からず崩壊する」という甘い見通しに依拠したり、核開発であれミサイル実験であれ、米本土への脅威ではないという視点で対策を決めたりする傾向が目立った。
オバマ政権の対北朝鮮政策も、少なくとも1期目はあまりにも微温的だった。日本国民の目で見れば、北朝鮮の脅威に関する限り、米国の方針には頼もしさが不足していた。
今回の北朝鮮の暴挙で明白になったのは、核の脅威だけではない。
「3代世襲」で最高指導者の地位についた若い金正恩(キム・ジョンウン)第1書記に対しては、暴挙の繰り返しを改め、それなりに合理的な政権運営を期待する向きもあった。
しかし、12月の長距離弾道ミサイルについては「技術的欠陥が見つかった」と発表して間もなく発射に踏み切った。核実験は周辺国の懸念を「早合点」だとからかった後で実施した。
日米韓を出し抜き、あざ笑うことを好んだ金正日(キム・ジョンイル)総書記時代と同様の「劇場国家」が続いていると見るほかはない。
北朝鮮が続けてきたことは文字通り国際社会に対する挑戦である。これを放置すれば北朝鮮と同じことをしようとする国やテロ集団が続出しかねない。そんな世界を受け入れるわけにはいかない。
私たちは北朝鮮の脅威を食い止められるか、それとも彼らのおどしにおびえ続けねばならないかの瀬戸際に立っていると考えるべきだろう。