ネット越しの「いますぐ死ね」で脅迫罪は成立するか?
■[その他]経済学者の池田信夫様よりメールを頂戴致しました (今日も得る物なし 2011-03-18)
経済学者の池田信夫様(ikedanob@gmail.com)より抗議のメールを頂戴致しました。私について「今すぐ死ね」と書いた記事は脅迫だ。
京都府警に通報し、きょう「受理した」と返事があった。お前のメールアドレス
も通知したので、そのうち警察の捜査があるだろう。
はてなにも通知して、お前の発信者情報の開示を要求した。きのう近藤淳也氏か
ら「調査中」との返事があった。
私についての記事をすべて削除して謝罪しろ。人間のクズ。
池田信夫
ということなので関連記事を取り下げさせていただきました。
誠に申し訳ございませんでした。
追記
http://twitter.com/#!/ikedanob/status/48601843839942656こういう状況だから情報は不確実で、ツイッターで出した情報を後になって修正するのは当たり前。その揚げ足を取って情報提供を嘲笑している奴は、自分でいっている通り人間のクズだ。返す言葉もございません。
あいにくわたしは、池田先生(有名人?)というかたを良く存じあげず、また、直接のトラブルの原因も良くわかりません。
池田先生の最近のtwitterタイムラインを見ていると、多少、東京電力寄りですが、それほど変な発言もされていないように見受けましたが・・・(経済学者なのに、なぜ原子力?)
ま、池田先生も
>私についての記事をすべて削除して謝罪しろ。人間のクズ。
とメールしているくらいなので、
建設的なやり取りではなかったのだろうと、想像できます(笑
前置きはここまで。
>私について「今すぐ死ね」と書いた記事は脅迫だ。
>京都府警に通報し、きょう「受理した」と返事があった。
とありますが、「死ね」で脅迫罪が成立するの?と疑問に思いましたので、調べてみました。
まずは法律の引用から
第32章 脅迫の罪 (刑法)
(脅迫)
第222条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
(強要)
第223条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前2項の罪の未遂は、罰する。
脅迫の定義は
>害を加える旨を告知して人を脅迫
となっています。
wikipediaには、脅迫の具体例がありました。
脅迫罪 (wikipedia)
「一般人が畏怖するに足りる」ものであればよい。「殺す」という言葉のほかに、「刺す」「しばく」「どつく」「殴る」「埋める」なども該当し、「何をするかわからない」などと暗に加害行為をすることを告げる場合でも成立する。
必ずしも犯罪行為に限られないというのが判例である。正当な行為を告知して脅迫になるのはおかしいという学説もある。
「お前の不正を告発するぞ」と言った場合、真実の追究が目的ではなく、単に畏怖させる目的であれば脅迫罪は成立する(大判大正3年12月1日刑録20輯2303頁)。
害悪は、告知者が関与できる、と一般的に感じられるものでなければならない(ただし、害悪の告知時に実際に関与できている必要はない)。害悪をもたらす人間が告知者以外の第三者であってもよい(間接脅迫)。
「君には厳烈な審判が下されるであろう」と告げるのは、害悪の告知に当たらない(名古屋高判昭和45年10月28日刑月2巻10号1030頁)。
「人民政府ができた暁には人民裁判によって断頭台上に裁かれる。人民政府ができるのは近い将来である」と告げるのは、脅迫罪に当たらない(害悪が被告人自身または被告人の左右し得る他人を通じて可能ならしめられるものとして通告されたのではないため。広島高松支判昭和25年7月3日高刑3巻2号247頁)。
「俺の仲間は沢山いて、君をやっつけようと皆意気込んでいる」と告げるのは、害悪の告知に当たる(最判昭和27年7月25日刑集6巻7号921頁)。
「殺す」であれば、表意者の能動的な行為なので、脅迫罪が成立しそうですが、
「死ね」の場合、相手が自発的に死ぬことを求めているわけで、表意者による「害を加える」という要件を欠いています。
というわけで、「死ね」の場合、脅迫罪は成立しないと思われます。
(「疑い」で立件できても起訴は無理でしょう)
ちなみに、「死ね」だけでは、強要の条件も満たしていませんね。
とはいえ、ネットを調べてみると「死ね」で逮捕に至ったケースはあるようです。
漫画家尾田さんに「死ね」メール 脅迫容疑で27歳女逮捕 (47news)ネットで検索する限り、不起訴(起訴猶予?)になっているようです。
警視庁武蔵野署は9日までに、人気漫画「ONE PIECE」の作者尾田栄一郎さんに「死ね11 件」などと書いたメール約100通を送り付けたとして、脅迫11 件の疑いで、東京都町田市の無職福重智子容疑者(27)を逮捕した。
逮捕容疑は、2007年9-12月、携帯電話で「死ね、死ね、死ね」などと書いたメール約100通を尾田さんに送り付けた疑い。武蔵野署によると、福重容疑者の夫が以前、尾田さんの事務所で働いていたが解雇され、逆恨みしたという。
尾田さんは「週刊少年ジャンプ」(集英社)で海賊を主人公にした漫画「ONE PIECE」を連載している。
ミクシィで高校時代の同級生を脅迫 警視庁が逮捕 (iza)
インターネットの会員制サイト「mixi(ミクシィ)」を使い、高校時代の同級生に脅迫メッセージを送りつけたとして、警視庁本富士署は脅迫の疑いで農林中央金庫職員、平松佑一容疑者(23)を逮捕した。
同署によると、「疎外感を感じていて腹が立っていた。反省している」と容疑を認めている。
逮捕容疑は昨年9月以降、約10回にわたってミクシィを使い、高校時代の同級生だった埼玉県内の男子大学生(23)に「お前何のこのこ生きてんの」「自分で死ぬか」とメッセージを送ったとしている。
起訴されたかどうかはわかりませんでした。
メールで同級生脅迫容疑、女子高生を書類送検 (どっと2ちゃんねる)
同級生に「殺してほしくなかったら、早く死ね」などというメールを携帯電話で送って脅したとして、
山形県警が昨年12月、庄内地方の女子高校生1人を脅迫の疑いで
山形地検に書類送検していたことが分かった。
県警によると、高校生が携帯電話のメールで相手を中傷したケースを
脅迫事件として立件するのは、極めて珍しいという。
専門家は「このような事案は、より悪質な嫌がらせに発展してしまう可能性もあって危険だ」と指摘している。
捜査関係者などによると、女子高校生は昨年、自分の携帯電話を使って、
「マジで死んでくんないかな。このメールを嘘だと思わないほうが良いぜ」などというメールを2通送り、
同級生の女子生徒を脅迫した疑い。女子高校生は容疑を認めており、反省しているという。
この2人は顔見知りで、女子高校生はメールを匿名などにせず、
自分の名前を明記して送信していた。2人の間に、このメール以外のいじめや
嫌がらせなどは確認されていないという。メールにおびえた被害者の女子生徒が親と一緒に県警に相談して発覚した。
(2011年2月5日17時26分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110204-OYT1T01165.htm
上記のほかにも数件の逮捕例があるようです。
うーん。以外とありますね。
とはいえ、逮捕例はいずれも、顔見知りで、脅迫(死ね発言)が複数回繰り返されたケースばかりのようです。
今回のように、ブログにちょっと死ねとかかれたくらいで被害届はやりすぎでしょう。
今後、この手の被害届の濫立を防ぐためにも、京都府警はちゃんと調査して、今後指針を示すべきだと思います。
とりあえず、京都府で事情聴取といったところでしょうか (笑
ところでtwitterを見ていたら
名称:池田信夫となっていました。
自己紹介:私は原子炉工学の専門家でも放射線の専門家でもないので、私の情報をもとにした行動によっていかなる損害が生じても、私は責任を持ちません
うちのブログのdisclaimer(免責条項)と似てるなぁ。
うちも脅迫されないように気をつけないと。と思ったfocuslightsでした。
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