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マイクロソフト株式会社 Internet Explorer サポートチームのブログです。

IE でファイルのダウンロードができないときのトラブルシューティング

IE でファイルのダウンロードができないときのトラブルシューティング

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こんにちは。マイクロソフト Internet Explorer サポートチームの村岡です。

 

IE でよくお問い合わせいただく問題の一つに「ファイルがダウンロードできない」というトラブルがあります。

ファイルのダウンロードに失敗する原因には、ネットワーク回線やサーバー側の問題、セキュリティソフトの影響等、色々な要因がありますが、IE 側でもファイルを正常にダウンロードできない要因となる設定や制限値があります。

今回はファイルがダウンロードできないときに、お試しいただきたい内容や既知の問題などをご案内します。

 

- 目次 -

1. 「現在のセキュリティ設定では、このファイルをダウンロードできません」が表示される

2.  ダウンロードしたファイル名が途切れてしまう

3.  SSL (HTTPS) のサイトでダウンロード時にエラーメッセージが表示される

4.  セキュリティの情報バーをクリックしてもダウンロードが始まらない

5.  ダウンロードが完了しない

 


1. 「現在のセキュリティ設定では、このファイルをダウンロードできません」が表示される

 

 

 

IE のインターネットオプションでは、セキュリティゾーンごとにファイルのダウンロードを許可する設定があります。

デフォルトでは [制限付きサイト] 以外ではダウンロードは「有効にする」になっているので、あまり目にする機会はないのですが、「無効にする」の場合はダイアログが表示されダウンロードが行われません。

 

この設定は次の場所で確認することができます。

[インターネット オプション] > [セキュリティ] タブ – “対象のゾーン” > [レベルのカスタマイズ] ボタン > [セキュリティ設定] ダイアログの「ファイルのダウンロード」

 

 



(参考) ダウンロードするときのキャッシュ動作

 

IE Web ページを表示するときだけでなく、ファイルのダウンロード時にも、インターネット一時フォルダにキャッシュを作成します。

作成されたキャッシュは、ダウンロードのダイアログで [保存] であれば保存先のフォルダーにコピーされたり、[開く] ならアプリケーションに渡されたりします。

このキャッシュファイルが要因となってダウンロードに失敗したり、ファイル名が短くなる現象が発生することがあります。

 

KB896219 : キャッシュファイルが作成できない場合はファイルのダウンロードに失敗する

 


2. ダウンロードしたファイル名が途切れてしまう

 

この現象の多くは、IE が扱うことのできるキャッシュのパスの最大値 257 文字を超えてしまうことが原因です。

特にファイル名に日本語の文字が含まれるときには、文字がエンコードされることで作成されるキャッシュファイル名が長くなり、制限に達しやすくなります。

 

UTF-8 URL エンコードされた場合

「あいうえお.dat」→「%e3%81%82%e3%81%84%e3%81%86%e3%81%88%e3%81%8a.dat

 

デフォルトでインターネット一時フォルダのパスだけでも結構な長さを占めているので、エンコードされた日本語と合わせると 257 文字を超える状況が発生しやすくなります。

 

2000/XP/2003 のインターネット一時フォルダのパス

C:\Documents and Settings\Administrator\Local Settings\Temporary Internet Files\Content.IE5\oooooooo\

 

Vista のインターネット一時フォルダのパス

C:\Users\Administrator\AppData\Local\Microsoft\Windows\Temporary Internet Files\Content.IE5\oooooooo\ (保護モードが無効の場合)

C:\Users\Administrator\AppData\Local\Microsoft\Windows\Temporary Internet Files\Low\Content.IE5\oooooooo\ (保護モードが有効の場合)

 

※ユーザー名が Administrator の場合の例となります。

※パス末尾の “oooooooo” は実際にはランダムな英数字 8 byte です。

 

この場合、仮に UTF-8 で日本語 1 文字が 9 byte にエンコードされる条件では、扱える日本語ファイル名の最大値は約 17 文字程度までになります。

この最大値を超えるファイル名は、途中で切り詰められたり、日本語の文字に正しくデコードされない現象が発生します。

 

キャッシュの 257 文字 のパスの最大値は変更できませんので、対策としてはファイル名のエンコード方式を UTF-8 から Shift_JISに変更する、ファイル名に ASCII 文字以外を使用しない、短いファイル名にするなど、サーバー側での変更が必要となります。

また、インターネット一時フォルダの場所を 「c:\temp」 のように短いパスに変更することで、より長いファイル名を扱えるように工夫できます。

 

フォルダの場所は次の箇所から設定することができます。 

[インターネットオプション] > [全般] タブ > 閲覧の履歴の [設定] ボタン > インターネット一時ファイルと閲覧の履歴の設定 [フォルダの移動] ボタン

 

  

※フォルダの移動後はユーザーの再ログインが必要になります

 


3. SSL (HTTPS) のサイトでダウンロード時にエラーメッセージが表示される

 

SSL (HTTPS) のページからファイルのダウンロードをすると、次のエラーメッセージが表示されてダウンロードに失敗することがあります。

 

   

 

HTTP の場合は問題なくダウンロードできるのに、HTTPS 接続だけダウンロードに失敗するような場合は、次の点をご確認ください。

 

[暗号化されたページをディスクに保存しない] のチェックを外す

[インターネットオプション] > [詳細設定] タブ > [暗号化されたページをディスクに保存しない] のチェックをオフにします。

この設定のチェックが有効になっていると、SSL サイトで取得したキャッシュファイルを参照することができずに、ダウンロードに失敗することがあります。

 

 

 

 

◇レジストリを設定する

上記の設定以外にも、サーバーのレスポンスに「Cache-Control: no-cache」等のヘッダーが付いている場合はキャッシュを参照できなくなり、同様の問題が発生することがあります。

これはサーバー側のレスポンスヘッダーを変更することで対策できますが、サーバー側の変更ができないときには、クライアント側でレジストリキーを設定することでも対策可能です。

レジストリを設定する前に、Strace ツール等でサーバーからのレスポンスヘッダーを確認し、この問題に該当することをご確認することをお勧めします。

 

ユーザー単位で設定する場合

HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Internet Settings

"BypassSSLNoCacheCheck"=Dword:00000001

 

コンピュータ単位で設定する場合

HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Internet Settings

"BypassSSLNoCacheCheck"=Dword:00000001

 

※誤ったレジストリの操作はシステムに重大な影響を与える可能性がありますので、ご注意ください。

 

KB323308 : Internet Explorer SSL 経由によるファイルのダウンロードで "No-Cache" ヘッダーを処理できない

 


4. セキュリティの情報バーをクリックしてもダウンロードが始まらない

 

ダウンロードしようとすると次のメッセージが表示され、「ここをクリックしてください」から「ファイルのダウンロード」を選択してもダウンロードが開始されない問題があります。

 

 

 

Windows Vista IE7 IE8 では、保護モードが異なるサイトからのダウンロードが行えない問題が報告されています。

例えば、デフォルトで保護モード無効の「信頼済みサイト」のページ上から、保護モード有効の「インターネットゾーン」のダウンロードリンクを選択した場合に、この現象が発生します。

 

対策として、ダウンロード先のサイトをダウンロード元サイトと同じゾーンに登録する方法があります。

ダウンロード先の URL はリンク上で右クリック > プロパティ > アドレス(URL) で確認できます。

 

KB971585 : Windows Vista 上の Internet Explorer 7、または Internet Explorer 8 で信頼済みサイトに登録したサイトから、他のゾーンのサイトにあるファイルのダウンロードが実行されない

 


5. ダウンロードが完了しない

 

Windows XP SP2 で「ファイルのダウンロード」を表示したままプログレスバーが進まない症状の場合、IME の「詳細なテキストサービス」が原因の可能性があります。

 

 


この現象が発生する場合は、次の手順で IME の「詳細なテキストサービス」を無効にすることをお試しください。

 

1.     [スタート] > [ファイル名を指定して実行] > control international と入力して OK を押す

2.     [言語] タブ > [詳細] ボタン

3.     [詳細設定] タブ > [詳細なテキスト サービスをオフにする] チェック ボックスをオンにする

 

 


この問題に対する修正プログラムは XPSP3 に含まれていますが、XPSP2 用の修正プログラムも公開されています。

Windows XP 用の更新プログラム (KB932823)

 

KB932823 : Windows Server 2003 または Windows XP を実行しているコンピュータで、Windows Internet Explorer を使用してファイルをダウンロードできないことがある

 


 

コミュニティにおけるマイクロソフト社員による発言やコメントは、マイクロソフトの正式な見解またはコメントではありません。