特集ワイド:安倍首相の「後ろ向き」教育改革
毎日新聞 2013年02月12日 東京夕刊
本田さんは「国の役に立つ次世代を育てるため、まず親を何とかしようというのでしょう。しかし家庭の経済基盤が脆弱(ぜいじゃく)になっている今、むしろ必要なのは家庭を支えることです。『早寝早起き朝ごはん』などとスローガンを掲げたところで、子供にしてあげたくてもできない家庭が増えている。政策の不備を個人や家族の自己責任論にすりかえてはいけない」と強調する。また、安倍首相は、衆院選の公約に幼児教育の無償化を掲げる一方、女性の労働力の活性化も口にする。「『3歳児神話』を堅持し、3歳になるまでは家できちんと育てろ、その後は面倒みてやるといっても、3年間も退いては仕事になりません。矛盾していますよ」
寺脇さんは「親を変えることは行政の仕事ではない」とばっさり。「親を何とかしよう、ではなく、親に恵まれない子供が不利益を被らないよう、子供の学びを支援するのが教育でしょう」
教育改革でこの国を「取り戻」そうとする安倍首相。「『取り戻す』という言葉自体が後ろ向きですよね。バブルに踊った世代は共感するのでしょうが、本来、教育とは未来を生きる力を育むもの。30年後、50年後の日本がどんな社会になっていくのかを予測し、変化に応じて教育を変えていく。それが国の仕事なんです。過去を志向してどうするんですか」(寺脇さん)
取り戻す、で本当にいいのか。
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