おはよう日本「首都圏」

2月5日放送
病気のわが子 どこに預ければ?

問い合わせ先

「子どもが突然発熱し、保育所に預けられなくて困った」。こんな経験をした方は多いのではないでしょうか。
そんな時に子どもを預かってくれるのが、病児保育というサービスです。
共働きの家庭が増え、ニーズが高まる病児保育。
ただ、こうした施設はまだまだ少なく、さまざまな模索が始まっています。

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山梨県甲府市の病児保育施設。
出勤前の保護者が、子どもたちを預けにやってきます。
多いときには1日30人以上。
0歳からおおむね10歳までが対象です。

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国の基準に基づいて、看護師と保育士が常駐。
子どもの体温は1時間ごとに測り、体調をこまめに管理しています。
症状が急変した際には、医師と連携を取って、迅速に処置を行います。

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自治体からの補助金があるため、利用料は1日あたり2000円程度。
多くの保護者から支持を集めています。

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保護者は、
「看護師さんもいるし、個室でも保育士さんが見てくれるので安心」「ここが無ければ自分の仕事をやめることを真っ先に考えたと思うので、本当に良かったと思います」と言います。

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しかしいま、施設は不足しています。
全国で保育所に通う子どもは212万人。
それに対し、病児保育施設の受け入れ可能数は3400人に過ぎません。
さらに、感染症の子どもを1人でも預かると、同じ部屋に他の子どもを受け入れることが出来ないため、稼働率が激減。
簡単に赤字になってしまうのです。

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学習院大学 鈴木亘教授は、
「最近の調査では7割から8割くらいの施設が赤字であるということなので、採算が合わないのでなかなか広がらない。自治体としては、同じ補助金を払うのであれば、保育所を作るのが先だということになって、なかなか病児保育にお金が回らない。こういう構造になっている」と言います。

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病児保育施設がなかなか増えない中、保護者の切実な声から生まれたサービスがあります。
施設で預かるのではなく、家庭を訪問して預かるというNPO法人のサービスです。

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利用者は月々の会費と1時間あたり2100円を払います。
自治体からの補助がないため若干高めですが、サービス開始から6年で、利用者は20倍と急増しています。

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この日、子どもが風邪気味だという保護者から依頼がありました。
このNPO法人では、54人の訪問スタッフを抱え、当日午前8時までの予約にはすべて対応しています。
保護者は、
「病児保育施設は予約でいっぱいで、なかなか入れない。2回に1回は断られますね。本当に助かってます」と言います。

派遣されるのは、看護師や保育士のほか、子育て歴12年以上の主婦もいます。

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専門の資格がない場合でも、研修で病児保育の知識やスキルを磨いています。
研修では、専門知識を持った職員が講義を実施しています。
これ以外にも、スタッフ同士が現場の経験を共有し、ノウハウを蓄積していきます。

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NPO代表理事の駒崎弘樹さんは、
「子育てしながら働くというのが、当たり前の社会になっていかなくてはいけない。訪問型の病児保育というのが増えていって欲しい。増えていかなくていけないと思う」と言います。

自治体が支援する病児保育施設が増えない中で、ニーズが高まっているNPO法人の取り組み。
病気になった子どもを抱える保護者をどう支えるのか、模索が続いています。

ご紹介したNPO法人が中心となって作られた「日本病児保育協会」では、このほど、「認定病児保育スペシャリスト」という資格を設けました。
看護と保育の知識を身につけてもらい、スタッフの質を上げていきたいと話しています。

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問い合わせ先

◇山梨県甲府市の病児保育施設
 病児保育施設「バンビ」(医療法人聖愛会 ハッピークリニック内に併設)
 山梨県甲府市上阿原487-1
 電話:055−242−6868
 休園:土曜・日曜・祝日・年末年始

◇訪問型の病児保育サービスを行っていた団体
「NPO法人フローレンス」
 東京都千代田区飯田橋4-8-4 第二プレシーザビル502号室
 ホームページ:http://www.florence.or.jp/

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