おはよう日本「首都圏」

2月12日放送
“研究をあきらめないで”女性の力を生かせ

問い合わせ先

大学などの研究機関に所属する、女性研究者の数が伸び悩んでいます。
欧米の先進国の女性研究者は、3人から4人にひとり。
これに対し、日本では7人に1人しかいません。
こうした中、出産や子育て、介護などと研究を両立できる環境を整え、優秀な女性研究者を確保しようとする取り組みが始まっています。

写真

3歳の女の子を育てる、大槻曜生(あき)さん。
運動生理学の研究者です。
出産後、博士号を取得し、本格的に研究を再開しようとしましたが、子育てと両立できる職場が見つからず、諦めかけていました。

写真

そんなとき知ったのが、お茶の水女子大学の「特別研究員制度」。
博士号を持つ女性を対象に、週にわずか2時間の時短勤務で、仕事への復帰を後押しするものです。
大槻さんは、
「フルタイムで仕事を得る以前の段階として、自分の仕事と子育てのバランスを取っていく、トレーニング期間にぴったり」だと言います。

写真

およそ4年ぶりに研究に復帰した、大槻さん。
給与は週2時間分のみですが、研究施設は、勤務時間外も自由に使うことができます。
子育てとも徐々に両立できるようになったため、大槻さんは現在週4日、実験に通っています。
制度を利用できるのは2年と短いものの、大学の研究員という職歴があることで、次の就職も格段に有利になります。

大槻さんは、
「肩書きがあって、頑張って業績を積んで、次の就職につなげることができるので、本当に助かっている」と言います。

写真

お茶の水女子大学 鷹野景子副学長は、
「研究を中断せざるを得なかった学位を持った女性研究者に、諦めないで研究を復活させることを目指してほしい」と言います。

写真

こうした取り組みの背景にあるのが、日本の女性研究者の少なさです。
昨年度、日本で大学などの研究機関に所属した女性研究者は、全体の14%。
他の先進国を大きく下回る数字です。

写真

そんな中、フルタイムで働く女性研究者への支援も始まっています。
微生物を研究する、山梨大学ワイン科学研究センター助教 乙黒美彩さん。
子育てをしながら、第一線で研究を続けています。

そんな乙黒さんを支えるのが、「研究サポーター制度」。
子育てや介護中の女性研究者を、同じ専門分野の学生が、マンツーマンで支える仕組みです。
保育園への迎えの時間が来ても、安心して実験を引き継ぐことができます。

写真

サポーターの、生命工学専攻 修士課程1年 上田真由さん。
慣れた手つきで作業をこなします。
乙黒さんは、
「サポーターの上田さんが微生物を扱ったことがあるのは、非常にありがたい」と言います。

写真

一方、研究者を目指す上田さんにとって、乙黒さんは身近な人生の先輩。
子育てと研究をどう両立させているのか、聞けるメリットがあります。
乙黒さん「家に帰ってきて、お風呂に入れて 準備して 寝かせて・・・」
上田さん「大変そうですね」
乙黒さん「帰ってからが勝負」

写真

サポーターの上田さんは
「子育てと両立されているということで、将来のことについても勉強になるし、技術を教えてもらうことでスキルアップにもつながるのではないか」と言います。

写真

山梨大学女性研究者支援室 風間ふたば室長は、
「肩を張って頑張るというイメージではなく、多くの研究者が、もっとずっとしなやかに、女性らしくのびのびとやっている。そういうところも若い方々に見ていただいて、自分の将来を考えてもらえれば」と言います。

最初にご紹介したお茶の水女子大学の「特別研究員制度」は、今年度から導入されて、すでに次の職場が決まった人もいて、成果が出始めているということです。

ページ上部へ

問い合わせ先

◇特別研究員制度について
「お茶の水女子大学」
 広報チーム 男女共同参画推進係
 電話:03−5978−5336

◇研究サポーター制度について
「山梨大学」
 女性研究者支援室
 電話:055−220−8350

◇先進国と比較して日本の女性研究者は14%というデータの出典
 総務省:男女共同参画白書 H24年版

ページ上部へ

これまでの放送内容

“日本で起業を”増える留学生
2月8日放送
いま、日本にやってくる留学生はアジアを中心に増え続け、13万人を超えています。留学生には、…
→続きはこちら
“日本で起業を”増える留学生
“創作鍋”を まちの新名物に
2月7日放送
伝統の料理や地元の特産品などを使った、B級グルメによる町おこしが、全国各地に広がっています…
→続きはこちら
“創作鍋”を まちの新名物に
再生可能エネルギーへ 町工場の挑戦
2月6日放送
ものづくりの新たな挑戦についてです。原子力発電所関連の下請け会社などが集まる茨城県では、…
→続きはこちら
再生可能エネルギーへ 町工場の挑戦
病気のわが子 どこに預ければ?
2月5日放送
「子どもが突然発熱し、保育所に預けられなくて困った」。こんな経験をした方は多いのではないで…
→続きはこちら
病気のわが子 どこに預ければ?
冬に花咲く 麦わら帽子
2月4日放送
4日は立春。暦の上では春ですが、まだまだ真冬の寒さです。そんなこの時期に、麦わら帽子作りが…
→続きはこちら
冬に花咲く 麦わら帽子
寒仕込み真っ最中!“甲州みそ”づくり
2月2日放送
1年で一番冷え込みの厳しいこの時期、みその仕込みが各地で盛んになる中、140年以上の伝統を…
→続きはこちら
寒仕込み真っ最中!“甲州みそ”づくり
冬の日光 氷が生み出す輝き−栃木 日光−
2月2日放送
土曜すてき旅。きょうは、栃木県日光市です。今回旅した日光市は、2月の平均気温がおよそ氷点下…
→続きはこちら
冬の日光 氷が生み出す輝き−栃木 日光−
プロジェクト2030 私たちの街を守れ(3)“職住近接”で働き盛りを呼び込め
2月1日放送
少子高齢化がハイペースで進んでいます。すでに今、子どもたちがいなくなって、学校が次々と廃校に…
→続きはこちら
プロジェクト2030 私たちの街を守れ(3) “職住近接”で働き盛りを呼び込め
プロジェクト2030 私たちの街を守れ(2) 人口移動を“子育て”が決める
1月31日放送
17年後の2030年、日本は世界でも類を見ない「超・少子高齢社会」を迎えます。そのとき、私…
→続きはこちら
プロジェクト2030 私たちの街を守れ(2) 人口移動を子育てが決める
プロジェクト2030 私たちの街を守れ(1) 学校が消える
1月30日放送
17年後の2030年、日本では、15歳未満のこどもの割合がほぼ10人に1人になる一方で、…
→続きはこちら
プロジェクト2030 私たちの街を守れ(1) 学校が消える
福島の子どもに“第二のわが家”を
1月29日放送
原発事故などの影響で、屋外で自由に遊ぶことが出来ない子どもたちのために、新潟県佐渡市では、…
→続きはこちら
福島の子どもに“第二のわが家”を
節分奉納 “こども歌舞伎”−東京 銀座より中継−
1月28日放送
2月3日の節分の日、東京 中央区の神社では、歌舞伎が奉納されることになっていて、稽古が熱を…
→続きはこちら
節分奉納 “こども歌舞伎”−東京 銀座より中継−
“こま回し”で競う町工場の技−群馬県太田市から中継−
1月26日放送
回っているのは、金属のこま。今、ものづくりの世界では、このこまで、アイデアと技術を競う競技が…
→続きはこちら
“こま回し”で競う町工場の技−群馬県太田市から中継−
ミナト横浜で1日世界1周!−横浜 新港地区−
1月26日放送
土曜すてき旅。きょうは、横浜市の「新港(しんこう)地区」です。横浜市の新港地区は、…
→続きはこちら
ミナト横浜で1日世界1周!−横浜 新港地区−
“市民農園に泊まりにおいで”
1月25日放送
東京都奥多摩町では、泊まりがけで野菜作りが出来る市民農園が注目を集めています。…
→続きはこちら
“市民農園に泊まりにおいで”
効果的な除染が出来ない!?
1月24日放送
東京電力福島第1原子力発電所の事故で放出された、放射性物質の除染についてです。こちらの地図の…
→続きはこちら
効果的な除染が出来ない!?
“最後の祭り”に託す願い
1月23日放送
群馬県で計画されている八ッ場ダムの地元 川原湯温泉では、400年の歴史がある「湯かけ祭り」が…
→続きはこちら
“最後の祭り”に託す願い
“子育ても五輪も” 挑戦・ママさんアスリート 岡崎朋美選手
1月22日放送
スピードスケートの長野オリンピック銅メダリスト、岡崎朋美選手。41歳で、母親とトップ選手の…
→続きはこちら
“子育ても五輪も” 挑戦・ママさんアスリート 岡崎朋美選手
「受(うけ)いれる」 現代人へのメッセージ
1月21日放送
90歳の詩人、加島祥造さん。6年前に発表した詩集「求めない」は、40万部を超えるベストセラー…
→続きはこちら
「受(うけ)いれる」 現代人へのメッセージ
“干し芋日本一”競う品評会
1月19日放送
茨城県ひたちなか市とその周辺の地域は、日本一の干し芋の産地。干し芋は、太平洋に面した…
→続きはこちら
“干し芋日本一”競う品評会
故郷の風景に出会える遊歩道−東京 小平市 狭山・境緑道−
1月19日放送
土曜すてき旅。きょうは、東京 小平市です。小平市は、江戸時代に農村として開発され、現在は、…
→続きはこちら
“干し芋日本一”競う品評会
「漂流する高齢者(2)」認知症 なぜ路上生活に
1月18日放送
老後の居場所を持てない高齢者の現状について、シリーズでお伝えしています。きょうは、身寄りの…
→続きはこちら
「漂流する高齢者(2)」認知症 なぜ路上生活に
「漂流する高齢者(1)」急増 精神科病院に認知症高齢者
1月17日放送
高齢化が急速に進む中、自分の意思で住む場所を決められないお年寄りが増えています。きょうとあす…
→続きはこちら
「漂流する高齢者(1)」急増 精神科病院に認知症高齢者
「挑戦2013 (7)」 影絵作家・藤城清治 影絵で描く“原発”
1月16日放送
色鮮やかな、こちらの影絵。影絵創作の第一人者、藤城清治さんの作品です。「みんなのうた」や…
→続きはこちら
「挑戦2013 (7)」 影絵作家・藤城清治 影絵で描く“原発”