爆弾低気圧が去ると、すっかり春爛漫という気候になってきました。外務省前の桜も、満開に近く咲き誇っています。陽気に誘われて、どこか遠くに旅に出たくなるきょうこの頃であります。それこそ銀河鉄道にでも乗ってどこまでも。
年々歳々花相似たり 歳々年々人同じからず、ですね。人の世の無常を、毎年変わらず咲く花は慰めてくれているように感じます。
さて、昨日の参院予算委委員会で、自民党の西田昌司氏が民主党のマニフェストとAIJ投資顧問の事件をうまく引っかけた鋭い質問をしていました。それについては、酒井充記者がMSN産経ニュースに、以下のような記事をアップしています。
《首相「AIJと一緒にするな!」 マニフェスト違反指摘で自民・西田氏に激高 野田佳彦首相が4日の参院予算委員会で、民主党のマニフェスト(政権公約)とAIJ投資顧問による年金資産消失問題を同列に扱った質問に対し、「まったく一緒でないということを明確にしておきます!」と激高する一幕があった。
自民党の西田昌司氏はAIJの浅川和彦社長が「だますつもりはなかった」と説明していることを挙げ、「彼がもう一度投資信託をやったら、お金を預けるか」と尋ねた。首相が「預けない」と答えると、西田氏はすかさず「民主党も同じだ。だますつもりはなかったというが、国民はもう一度民主党にやってくださいとは言わない」と切り捨てた。
西田氏は衆院解散を求めて質問を終えたが、首相は発言を求め、「勝手に断罪していたが、AIJと民主党は全く別だ」と反論。緊迫した空気が漂う中、石井一委員長が「西田劇場は終了!」と宣言すると、一転して笑いに包まれた。》
……上の記事のやりとりは以下のようなものでした。石井氏がいみじくも「西田劇場」と言ったように、西田氏の質問はすでに参院の名物になっている観がありますね。厳しい質問にもにできるだけ平静を保とうと努めている野田首相も、西田首相の質問については周囲に「ムカつく」と漏らしているように、つい感情的になるようです。
西田氏 AIJ事件で、社長はだますつもりはなかったといっているが、総理、もし、彼がもう一度投資信託をやったら、あの人にお金を預けるか
野田首相 預けません
西田氏 当然だ。民主党と同じことだ。マニフェストも同じことだ。「だますつもりはなかった。財源が出てこなかっただけだ」と。浅川さんと同じことを言っている。国民はもう一度民主党にやってくださいと言いますか? 言いませんよ。それがこの問題の本質だ。
野田首相 AIJと民主党は全く別の物でございます。勝手にいま断罪されましたが、まったく一緒でないということを明確にしておきます!
石井氏 以上で、西田劇場、西田昌司君の質疑は終了しました!
……ただ、この民主党とAIJの類似点の指摘は、西田氏の質問に先駆けて2日付の東京新聞にも載っていました。「私説 論説室から」というコラムで、豊田洋一記者は次のように書いています。
《国民に約束したことをやらない、約束していないことをやる。政権与党がそんなことを繰り返すから、政治が信頼を失うのだろう。
そんな民主党とAIJ投資顧問が重なって見えるのは私だけだろうか。
AIJの社長は自ら指示した虚偽の高利回りで企業年金の資金運用を勧誘し、それを信じた年金基金は貴重な資金を託す。もちろん高利回りは虚偽だから資金は目減りするばかりか、ほとんどが返ってこない。そして社長は国会でこう言い放つ。「最初からだます気は全くありません」と。
民主党も最初から国民をだますつもりはなかったのだろうが、政治は結果責任だ。今になって増税理由をいくら言い繕っても、契約破りの事実は消えない。
国会ではその民主党議員がAIJの社長を詰問していた。これは悲劇、いや喜劇である。》
……引用が長くなりましたが、上手い例えだなあと記事を切り抜いてスクラップしていたものです。ただ、私としては「民主党も最初から国民をだますつもりはなかったのだろうが」という部分には、必ずしも同意できません。
あんな「心眼でつくった」(江田五月元法相)ようないいかげんなマニフェストをつくっておきながら、だますつもりがなかったとしたら、随分と世の中をなめた話です。少なくとも当時の執行部は最初から、「実現できない」可能性を織り込みつつ、「やってみなきゃ分からないし、できればめっけもの」程度の意識でいたのではないかと思います。それこそ、AIJもそうだろうし。
そして東京新聞の多くの記者も、こんな「契約」など守れるはずもないと分かりつつ、その穴には半分目をつむって民主党への希望的観測をふくらませてきたのではないかと。こう書くと、いつも産経も同じだろうとお叱りを受けるのですが、いくら当時の記事を読み返しても、弊紙が民主党を持ち上げたり、期待感を煽ったり、というものはなかなか見つけられません。
ともあれ、奇しくも今朝の朝日新聞は1面トップで、「民主党政権 失敗の本質」という連載をスタートさせました。ようやく民主党政権が「失敗」だったとの総括に至ったのでしょうか。第一回の見出しは「『脱官僚』の裏で握手 政権交代前 財務省幹部と密会」というものでしたが、民主党が裏で財務省と握っていることなんか、当時から明々白々でしたし、事業仕分けにしても何にしても、財務省とだけは上手くやろうとしていたことは周知のことですね。
連載筆者の村松真次記者は「野党時代から民主党を見てきた記者として、反省を踏まえながら考えたい」と書いていましたが、どのような「反省」を示してくれるのか、この連載をきちんと読んでみようと思います。
※なぜか第一段落がゴチックになってしまい、元に戻せません。イザでもう6年近くブログを書いているのに、いまだに操作がよく分かっていない情けない状態が続いています。
by psycholo
国会同意人事と輿石氏の主張と…