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アラブの安定へ国造りを粘り強く支えよ

2013/2/11付
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 あれを春と呼んでよかったのか。民主化要求デモが長期独裁政権を相次いで倒した「アラブの春」から2年、アラブ諸国は安定にはほど遠い困難に直面している。

 民主化の歩みを止めてはならない。国際社会が新たな国造りを粘り強く支えていくことが必要だ。地域の混乱に乗じたテロや武器の拡散を防ぎ、安定を取り戻さなければならない。

 エジプトでは国民間の亀裂が広がっている。ムバラク前大統領の退陣後、イスラム組織出身のモルシ大統領が選挙で選ばれ、新憲法も承認された。しかし、大統領の手法に反発する世俗勢力などと治安部隊の衝突が続き、多数の死傷者が出ている。

 問題は国民が民主化の成果を実感できていないことだ。失業率は依然高く、通貨価値は急落している。経済危機打開のかぎを握る国際通貨基金(IMF)の支援も合意が遅れている。政治的な安定を欠くために、経済回復も遠のく悪循環に陥っている。

 一連の民主化運動のきっかけとなったチュニジアでも野党指導者の暗殺事件を受けて全土で抗議デモが発生した。暫定政権を主導するイスラム勢力と野党支持者の間で緊張が高まっている。

 混乱から抜け出すには、民主的な統治の枠組みをできるだけ早く整えることだ。国際社会は法制度や統治機構の整備に協力を続ける必要がある。雇用の創出や産業の育成につながる経済支援も欠かせない。日本も支える輪に積極的に加わらねばならない。

 気がかりなのはシリアの内戦の行方だ。6万人もの死者を出しながらアサド政権は強硬姿勢を崩さず、国際社会は有効な手を打てずにいる。イスラエルがシリア領内を空爆したとの情報もある。

 内戦が周辺国を巻き込む事態は避けなければならない。国際社会は内戦終結に向けた仲介努力をあきらめてはならない。

 混乱の広がりも心配だ。リビアのカダフィ政権の崩壊に伴い、大量の武器がマリやニジェールなど北・西部アフリカに流出し、これを手にしたイスラム武装勢力の活動が活発化している。

 日本人を含む多数の外国人が犠牲となったアルジェリアの人質事件は、拡散するテロの脅威を見せつけた。国際テロ集団の活動を封じ、武器の流出を阻止するには、国際社会が中東・アフリカ諸国と広く連携する必要がある。

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