二〇一二年 師走 廿四日 月曜日■ 選挙結果と今後の日本 [/links]気がつけば、今月は記事を1本も書いていなかった。今更ながら、16日の衆議院選挙の結果について、考えるところを書いておきたい。 今回の選挙の最大の争点は、原発もさることながら、消費税であったはずだ。前回の衆議院選挙で、民主党は、4年間は消費税を上げないと公約して政権を取った。ところが、民主党は次第に自民党化し、野田政権はほとんど第二自民党であった。そして、民自公の3党で消費税増税を決めた。だから、今回の選挙では、消費税について民意を改めて問わなくてはならないのが道理だ。 その結果はどうなったか。マスコミは「民主大敗・自民圧勝」というが、自民党は、公明党と組んでも、参議院で過半数に満たない。だから、民自公体制はしばらく続かざるを得ない。今回の結果は、民自公体制の圧勝と見るべきだ。民自公体制とは、すなわち官僚主導体制である。本当に勝ったのは、消費税を上げたい財務省であり、原発を動かしたい経産省である。 国民は、消費税増税にイエスといい、原発再稼動にイエスといったことになる。投票率が低いことを考えれば、ノーといわなかったというべきかもしれないが、結果は同じことだ。これが民意とずれていると感じている人は多いようで、中には不正があったと主張する人もいるが、私が見るところ、マスコミがうまく誘導したということだろう。今回の選挙の争点をぼかして、民主対自民対第三極という構図を作ったところで、自民党が第一党になることはほとんど確定していた。 選挙前の調査では、ネットでの世論調査とマスコミの世論調査との間に大きなずれがあった。ネットでの調査は、普段からネットを積極的に見ており、自分から進んで入力する人が回答する。そこでは、未来の党の支持が高かった。一方、マスコミの調査は、固定電話にランダムに電話をかけて調査するから、日中家にいる人が回答する。そこでは、自民党の支持が高かった。これが意味するところは、ネットを主な情報源としている人は今回の選挙の構図を正しくとらえていたのに対し、マスコミを主な情報源としている人はマスコミに誘導されていたということだろう。そして、ネットを主な情報源としている人は、まだ少数派だ。 今回の選挙は、投票率が低く、白票も多かった。1つの理由は、これまで民主党に入っていた労働組合の組織票がごっそり抜けたことだろう。もう1つの理由として、多くの人にとっては、今回の選挙がどんな選挙であるか分からなかったのではないか。それもマスコミの焦点ぼかしの成果だろう。 「第三極」が分裂していたことも、選挙が分かりにくかった要因の1つだろう。消費税増税を阻止し、原発再稼動を阻止するなら、民自公対第二極という構図にしなければならなかった。維新の会とみんなの党と国民の生活が第一とが手を組めば、その可能性もあったが、維新の会がたちあがれ日本とくっついたことで不可能になった。次の参議院選挙までにさらなる政界再編がなければ、自民党が衆参両院で過半数を持つことになるだろう。 いずれにせよ、今回の選挙結果によって、消費税が上がることはほぼ確定した。消費税を導入して以来、税率が上がった年こそ税収は増えるが、全体として税収は右肩下がりで減っている。ただでさえデフレ傾向にあるところに消費税を上げれば、消費がますます冷え込み、経済全体が冷え込む。 海外市場に目を向けようにも、米国経済は金融バブルを膨らませることでなんとか息をつないでいる状況で、頼りになるのは中国市場ぐらいだ。しかし、尖閣諸島に港湾施設を作ると公約した自民党が単独過半数をとったことで、日中関係は悪化するだろう。自民党は金融緩和によって経済を立て直すといっているが、消費税を上げて、日中関係を悪化させれば、金融緩和をしたところでバブルが膨らむだけだ。バブルはいずれはじける。日本のバブルが膨らむ前に、米国のバブルがはじけるかもしれない。そうなれば、米国が没落するとともに日本は沈没するだろう。 |
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