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匿名化ソフト「Tor」 派遣先で遠隔操作か
2013/02/12 09:47更新
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遠隔操作ウイルス事件で、威力業務妨害容疑で逮捕されたIT関連会社社員、片山祐輔(ゆうすけ)容疑者(30)=東京都江東区白河=が勤務先から派遣されていた会社のパソコン(PC)に、書き込みの発信源を特定させない匿名化ソフト「Tor(トーア)」が多数回使用された痕跡があったことが2月11日、捜査関係者への取材で分かった。逮捕容疑となった昨年8月の同人誌イベントでの殺害予告はトーアを使って書き込まれており、警視庁などの合同捜査本部は、片山容疑者が派遣先のPCから書き込んだとみて、家宅捜索で派遣先からPCなど11台を押収して解析を進めている。片山容疑者は11日午後、送検された。
■多数回の使用形跡
捜査関係者によると、殺害予告は昨年8月9日午前10時40分ごろ、トーアを使って愛知県内の会社のPCが遠隔操作されて書き込まれた。片山容疑者の派遣先のPCにも同じ時間帯にトーアが使用された形跡があり、片山容疑者も社内で勤務中だったとみられる。片山容疑者は「(愛知県内の)会社を知らない」と容疑を否認している。
「真犯人」は犯行声明で、同人誌イベントを含む13件の犯行予告を行ったと説明。記録媒体内に残された文書では「全てトーアで書き込んだ」としていた。派遣先のPCには他にも多数回トーアが使用された形跡があり、合同捜査本部は片山容疑者が真犯人で、このPCから一連の犯行予告が書き込まれたとみている。
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記事本文の続き 勤務先のIT関連会社(東京都品川区)によると、片山容疑者は2008年2月に入社。取引先に派遣されてアプリの開発を担当し、昨年3~9月には東京都港区のIT関連会社で勤務していた。真犯人は昨年6~9月、平日の昼間の時間帯を中心に犯行予告を繰り返していた。
■捜査の壁
捜査本部は当初、遠隔操作の通信履歴をたどる地道な捜査を進めていた。しかし、「頓挫したのが実情」(警察庁幹部)で、捜査の壁となり、真犯人捜しを困難にしていたのがトーアだった。捜査の行き詰まりを打破したのは防犯カメラの解析という従来型の捜査であったが、これは、真犯人の“ミス”によって可能となった、いわば僥倖(ぎょうこう)に過ぎなかった。
トーアは元々、米海軍が開発したもので、このソフトを使ってネットに接続すると、複数の海外サーバーを経由し、そのたびにIPアドレスの暗号化などが行われるため、通信記録をたどることが困難になる。一方で通信速度が遅くなり、本来なら瞬時に切り替わるウェブページも、トーアを通すと十数秒かかるという欠点がある。
■急がれる対策強化
主にトーアは、インターネットが規制された国などで利用者の身元特定を防ぐ目的で使われたが、匿名性の高さから犯罪にも悪用されてきた。トーアのTorとは、Theonion router(タマネギみたいなルーター)の略で、暗号化がタマネギの皮のように経由個所ごとに積み重ねられることが名前の由来になっている。
今回は、トーアで消された痕跡を掘り起こす捜査が実を結んだわけではなく、依然としてサイバー犯罪に対処できない捜査の「弱点」は残されたままだ。日本政府全体で対策強化を急がねばならない。
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