長野県飯田市毛賀の住宅で９日、この家に住む鹿島田淳さん（１９）が殺害された事件で、県警飯田署の捜査本部は１１日、飯田市に隣接する同県泰阜（やすおか）村の山中に止まった車の中から見つかった遺体について、鹿島田さんと同居するおばにストーカー行為をしていたとされる元交際相手の男（３０代）と身元を確認した。県警は、元交際相手が殺人事件について事情を知っている可能性が高いとみて行方を追っていた。

　県警によると、１０日午前９時４０分ごろ、同村の林道を通りかかった男性が「不審な車が止まっている」と駐在所に通報。後部座席で元交際相手が死亡していた。車内に練炭の燃えかすがあった。自殺とみられる。

　事件を巡っては９日午後３時ごろ、おばから「元交際相手に子供と一緒に車で連れ回されている」と１１０番があり、間もなく飯田市内のコンビニエンスストア駐車場で、男から逃げてきたおばと子供を署員が保護した。おばは顔などに殴られたような痕があった。手当てを受け、同日午後６時４５分ごろ署員とおばが自宅に戻ると、鹿島田さんが殺されていた。死因は頭部打撲による頭蓋内損傷で、頭には複数の刺されたような傷もあった。

　おばは５日午前４時ごろにも「元交際相手から『自宅に火を付ける』などと脅迫されている」と警察に相談。同署はストーカー規制法に基づき男に電話で警告し、おばの自宅などに署員を張り込ませて警戒に当たった。しかし、おばは鹿島田さんらとともに自宅から避難していたことなどから、約２時間半後に警戒を解除した。【福富智】