PC遠隔操作事件 逮捕の男、勤務中に派遣先PCから犯行か
パソコンの遠隔操作事件で、逮捕された男はパソコンを自作するなど、その素顔が次第に明らかになってきた。一方で、報道機関などに送りつけたメールの添付写真は、日付を偽装する工作をしていたことがわかり、警視庁などの捜査本部は、捜査のかく乱を狙ったものとみて調べている。
片山祐輔容疑者(30)は11日午後、威力業務妨害の疑いで東京地検に身柄を送られた。
他人のパソコンを遠隔操作し、犯行予告などを書き込み、4人が誤認逮捕された一連の事件。
捜査のかく乱を狙った、巧妙な偽装工作が明らかになった。
逮捕前日に訪れた猫カフェでは、「ビール飲みながら、猫と遊んでましたね。猫を抱いたり、割とアクティブに遊んでらっしゃいました」といった声が聞かれた。
逮捕前日にも猫カフェに通うなど、猫に執着していた片山容疑者。
捜査の大きな転機となったのが、ピンクの首輪がつけられた神奈川・江の島の猫。
片山容疑者が初めて、現実空間に残した足跡だった。
片山容疑者が、江の島で猫に首輪をつけたとみられる様子が防犯カメラの映像にとらえられたのは、1月3日午後3時ごろのことだった。
しかし、2日後の5日、真犯人を名乗る人物から報道機関に送られたメールには、1月4日付の神奈川新聞に、江の島の猫と同じようなピンクの首輪が置かれた写真が添付されていた。
片山容疑者は、首輪を2つ用意。
猫に首輪をつけた翌日の新聞を使うことで、江の島に向かった日にちが特定されないよう、偽装工作をしたものとみられている。
中学・高校の同級生は「話せば、普通に明るく話してくれるんですけど、普段は1人で作業することも多いというか。机に向かっているようなことも多かったので」と話した。
片山容疑者は、中学・高校と有名私立校に通い、2005年に理工系の大学を中退したあとは、コンピューターの技術を学ぶため、都内の専門学校に通った。
片山容疑者の自宅から警察が押収したパソコン4台のうち、2台が、片山容疑者が自作したパソコンだったことが新たに判明した。
片山容疑者の勤務先の関係者は「(片山容疑者は)家に帰っても、PCをいじってれば満足みたいな。パソコンと触れたい、四六時中。彼を見ていると、そういう気がします」と話した。
パソコンに精通していたとみられる片山容疑者。
捜査本部は、今回、事件に使われた遠隔操作ウイルスは、片山容疑者が自作したオリジナルのものとみて、裏付けを進めている。
片山容疑者は「全く事実ではありません」と否認している。
警察の取り調べに対し、容疑を否認している片山容疑者。
しかし、片山容疑者が事件当時に派遣されていた都内の会社のパソコンからは、匿名化ソフトに複数回、接続した形跡があることが判明した。
一連の犯行が、平日の日中に集中していることから、警視庁は、片山容疑者が勤務中に犯行に及んだとみて、押収したパソコンの解析を進めている。