ＩＴ関連休職して猫カフェ通い

　遠隔操作ウイルスに感染したパソコンから犯行予告が送られた事件で、警視庁など４都府県警の合同捜査本部は１０日、ネット掲示板に殺人予告を書き込んだとして、威力業務妨害の疑いで東京都江東区、ＩＴ関連会社社員の片山祐輔容疑者（３０）を逮捕した。無類の猫好きである片山容疑者は最近も都内の猫カフェに通っていたことも分かった。

　片山容疑者は無類の猫好きだった。今月７日には、東京・浅草の猫カフェを訪れていた。女性店主（４３）によると、片山容疑者は同日午後３時ごろに１人で来店。カフェラテ１杯を注文し、雑種の猫３匹を約１時間（全９３０円）交代で抱いていたという。

　女性店主は「（同容疑者は）猫を無表情で膝の上に置いていた。他のお客さんとも一切会話をせず、変わった人だなと思っていた」と振り返った。同容疑者は２回以上来店し、毎回バイクで訪れていた。同店は、野良猫などの雑種を１１匹扱っている。

　また前日９日午後には、浅草の別の猫カフェを訪れていた。この店も雑種のみを扱っており、猫にタブレット型端末を示す場面もあった。男性店長は「猫の扱いにも慣れているようだった」と証言した。同日はビール１杯を注文し、１時間で店を出た。秋葉原の家電量販店に行き、夜は昨年１０月ごろから通っているネットカフェを訪れた。

　片山容疑者は０５年１１月、インターネット掲示板に大手レコード会社の発売曲の宣伝に使われていたキャラクター「のまネコ」の使用中止を要求し、社員を殺害予告する書き込みをしたとして強要未遂容疑で逮捕された前科もある。都内の名門私立中高を卒業後、ネットゲームに没頭し、理工系大学を中退。専門学校でパソコンの知識を学んだ。

　現在の勤務先のＩＴ関連会社によると、同容疑者は昨年１２月から病気を理由に休職し、今月１２日から職場復帰する予定だった。社長の目には「パソコン少年」「マニアックで思い込みが強い」と映っていた。

　逮捕されたこの日、同容疑者が住んでいた都内の自宅マンションの近隣住民は「野良猫に餌もあげていたから優しい人だと思った」と証言。事件を知り驚いた様子で話した。【峯岸佑樹】

　［2013年2月11日9時35分　紙面から］