ＰＣ遠隔操作事件　犯行予告は派遣先から「トーア」使用か

送検のため警視庁東京湾岸署から移送される片山祐輔容疑者 Photo By 共同

　男性４人が誤認逮捕されたパソコンの遠隔操作事件で、威力業務妨害容疑で逮捕されたＩＴ関連会社社員、片山祐輔容疑者（３０）が派遣先だった東京都港区の企業のパソコンを使って遠隔操作したとみられることが１１日、分かった。関係者によると、警視庁などの合同捜査本部が片山容疑者の派遣先から押収したパソコンから、書き込みの発信源を特定させない匿名化ソフト「Ｔｏｒ（トーア）」を使った跡があった。トーアは、使用者がサーバーにアクセスする際、通信を暗号化しながら複数のパソコンを経由することで、使用者の特定を不可能にする。

　逮捕容疑となった昨年８月９日のコミケ（同人誌即売イベント）大量殺害予告はトーアを使って書き込まれていた。捜査本部によると、同日午前１０時４０分ごろ、愛知県内の企業のパソコンが遠隔操作されて書き込まれた。片山容疑者の派遣先のパソコンには、同じ時間帯にトーアを使った形跡があったという。

　また神奈川県藤沢市の江の島で猫の首輪から見つかった記録媒体に入っていた真犯人を名乗る文書では、コミケを含む１３件の犯行予告を「すべてトーアで書き込んだ」としていた。一連の犯行予告の書き込みやメール送信は、片山容疑者の勤務時間に当たる平日の日中に集中していることから、捜査本部は、ほかの１２件も片山容疑者が同じパソコンで遠隔操作したとみて裏付けを進める。

　ＩＴ関連会社によると同容疑者は０８年に入社後、１０社前後の取引先に派遣され、港区の企業には昨年夏から秋まで勤務。捜査本部は１１日、片山容疑者を送検した。