東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

どうする核のゴミ<5> オンカロは原発7基分

 核のごみ最終処分施設のオンカロがあるオルキルオト島では、仏アレバ社が開発した最新鋭の原発(EPR)オルキルオト3号機(百六十万キロワット)の完成が近い。欧州では二十年ぶりの増設となる世界最大級の原子炉だ。

 さらに巨大な4号機も、三年前に政府の承認(原則決定)を受け、着工を待っている。

 ヤン・バパーブオリ雇用経済相は「フクシマの事故後も、フィンランドの原発政策は変わりません」と力を込めた。

 緑の党から入閣したビレ・ニーニスト環境相は「現政府では、これ以上の新増設は認めません」と、自然エネルギーへの転換を図っている。だが中部で計画中の別の一基も含め、人口五百万余の国に将来的には原発七基。フィンランドはすでに十分原発立国だ。

 オンカロの容量は九千トン。今運転中の四基を六十年動かすとして、使用済み核燃料はすべて受け入れ可能という。オンカロがあるから新しい原発ができるのか。

 運営するポシバ社幹部は「七基までなら大丈夫」と話していた。

 世界初。その陰の部分を海の向こうのデンマークから見つめ続けて、映画にした人がいる。

 「100、000年後の安全」を監督したマイケル・マドセンさんだ。コペンハーゲン近郊で、マドセンさんの話を聞いた。

 「オンカロの是非は、ちゃんとした議論になりませんでした」と振り返る。フィンランドの上映会で「あれが何かを初めて知った」と憤る地元の人もいた。立地には、政府や電力事業者の意向が強く働いていたと、マドセンさんは感じている。

 七年前に映画のための調査を始め、多くの専門家にインタビューを試みた。

 その中の一人に「オンカロを掘ってはいけない国がありますか」と尋ねると、即座に「日本」と答えたという。地震国だから。

 「議論のない社会は危険です」と、マドセンさんは日本に向かって訴える。 (論説委員・飯尾歩)

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo