ストーキングというものがクローズアップされた数年前、その言葉は非常に不気味に響いたものです。そういった題材をゲームにそのまま取り入れてしまうとは、なんともすごいものがありますが…。かなり怖いパッケージが印象的です。
ストーキングというものがクローズアップされた数年前、その言葉は非常に不気味に響いたものです。そういった題材をゲームにそのまま取り入れてしまうとは、なんともすごいものがありますが…。かなり怖いパッケージが印象的です。
主人公のシンヤ(固定)は、偶然出会った「恵」という女の子に一目惚れする。しかし、告白することも出来ず、ただ彼女の後をつけ回す日々を送る。彼のことを不審に思った恵の友人に詰問されたことをきっかけに、彼の中に潜む別の人格、「タクヤ」と「トウヤ」が目を覚ます。恵と彼とを隔てる邪魔者は、彼の手によって、次々と陵辱され、排除されていく。この狂気の行動の行く末には、どんな結末が待っているのか。
ものすごいシナリオです。何よりも、「自由自在に入れ替え可能な多重人格」。最初は意味不明だったこの設定、ゲームをプレイしてみて、いやもう大笑いさせてもらいました。
さらに、その「人格」支配によって行動が左右される、あるいは自室以外では何があろうと人格が変わらない、など、なんとも御都合主義的なおはなしにも笑えました。
用意されているイベントも、なかなかヒドいものがありますが、基本的には「追いつめて犯す」ゲームなので、こんなもんなのでしょう。それにしても、この程度で女性が目の敵にされては、シャレになりません。
1日24時間の間、町中を移動し、場所・時間・人格が一致した場合にイベントが発生します。マップ内では、主人公と恵のみ所在地が示されていますが、それ以外のお邪魔虫(被害者予備軍ともいう)がどこにいるかは、実際に行ってみないとわかりません。これを1ヶ月間繰り返します。
自由度は事実上ないようなもので、どのキャラがどういうパターンで行動するかをある程度読んでおかないと、時間をどんどん浪費します。また、主人公はかなり軟弱で、すぐに体力が切れますので、イベントが発生しにくい時間帯は素直に自室で休む必要があるなど、かなり制約もきつく、難易度はかなりのものです。
期間に応じたイベントが用意されているので、ある程度テンポに慣れれば、退屈することはありませんでしたが、プレイのコツを掴むまでは、非常にやりにくいゲームと感じました。
インストール時には、ディレクトリ先が固定である点がまずおもしろくありません。またプレイの際も、クライアント領域(640×480)以外の領域は「壁紙」がしきつめられるパターンなので、あまりプレイしやすくないのが嫌なところです。メモを取りながらでないととうていプレイできないゲームだけに、もう少し使いやすくしてほしかったものです。
操作はすべてマウスで行われます。移動、あるいはアイテム使用がゲーム進行の基本なので、まぁ当然でしょう。
セーブ&ロードは、自室でのみ可能ですが、255のセーブが可能というのはすごいものです。そんなに使うことはまずない、というよりも、セーブしても内容を絶対に覚えていられないと思いますが(^^;)
BGMは、MIDIで演奏されます。人格が変わるとBGMも変わるのは、演出として効いているというよりも笑いを誘いました(←万事この調子(^^;)
音声は…数分でオフにした、とだけ言っておきましょう。
佐々木みずき氏の原画担当。どのキャラクターも顔が同じに見えて、髪型と髪の色だけで差別化しているように見えます。実際、マニュアルの顔絵では区別がつきません。それに、立ちCGが1とおりしかなく、初対面でも、脅された後でも、同じ顔で出迎えてくれるのは、正直怖かったです(^^;)
なし。そういうゲームではありませんから。
おどろおどろしい精神異常者の心理を扱ったものかと思いきや、ブラックジョークで押し切っているという感じのゲームです。ストーカー心理をトレースしているのなら笑えませんが、人物の表情変化が皆無であってビジュアル面での緊迫感がないこと、「3つの人格を使い分ける」こと自体が戦略と化していることなど、全体を通じて笑えたのだから仕方がありません。マジに表現されたら、それはそれで嫌なものがあるでしょうし、何よりも社会的にまずいという判断も働くでしょうから、これはこれでいいかと思います。
ゲームとしては、「切り替え可能な三重人格」というものはそれなりに面白かったのですが、タイムスケジュールの管理がやたらとシビアで、タイムテーブルの作成に追われ、「作業」と感じる手順が多かったのが辛いところです。ほぼ同時期に出された『Graffiti』(ぷち)のように、タイムテーブルをマニュアルに書くぐらいのことはしてほしかったですね。
目の付けどころはさておき、料理するにはヤバい素材であっただけに、持て余した挙げ句ハンパものになってしまっている、という感じです。