アール・ブリュットの可能性を熱く語る初代会長の青柳さん(左)と日比野さん=大津市内のホテルで
|
 |
知的障害のある人や美術の専門教育を受けていない人たちの独創的な芸術作品「アール・ブリュット」を考える全国で初めてのネットワークが十日、大津市で設立され、市内のホテルで記念フォーラムが開かれた。
近年、注目が高まるアール・ブリュットだが、作家たちの制作環境や作品を評価する仕組みはまだ手探り状態。ネットワークは、県などが昨年夏から設立準備を進めてきた。作家たちへの支援や作品の発掘、世界への効果的な発信方法などの確立を目指す。手始めに、興味や関心のある人たちに連携の場を提供し、アール・ブリュットの普及を促進する。
事務局は、県「美の滋賀」発信推進室と県社会福祉事業団に置く。年一度のフォーラム開催を始め、全国の会員同士による交流会やメールマガジンの発行などに取り組む。
記念フォーラムでは、全国ネット初代会長に選ばれた国立美術館理事長の青柳正規さんと、アーティストで東京芸大美術学部教授日比野克彦さんの対談もあった。青柳さんは「普段は抑えている人間の五感を、アール・ブリュットは思い出させてくれる」と絶賛。日比野さんも「人はなぜ表現するかを考えさせられる。世の中の価値観を変えるネットワーク」と全国ネットの可能性を展望した。
会員は昨年十二月に募集を始め、二月九日現在、福祉関係者など計三百八件(このうち団体は八十七)の応募がある。会員の問い合わせは、県「美の滋賀」発信推進室=077(528)3333=へ。
(木原育子)
この記事を印刷する