LIBIDO解散について

2005年6月24日、最終作「花々の想ひ…」という作品を最後に、LIBIDOという一つのメーカーが解散したそうです。

レビュー欄他でも少し触れていますが、僕がこのアダルトPCゲームという世界を知る一番最初のきっかけとなったのは、当時住んでいた近くの少しさびれたレンタルビデオ屋でなぜか店頭に中古として並んでいた、LIBIDO作「放課後恋愛クラブ」でした。確か、1996年のことだったと思います。

当時はWindows95がようやく出て、パソコン、インターネットという言葉が流行語のようにもてはやされていたものの、一般への浸透度は今とは比較にならない低いものでした。
僕もパソコンにはほぼ全く興味はなかったのですが、この「恋クラ」に描かれた何とも美しいCG画を見てからというもの、一転パソコンというものを意識するようになりました。
そしてそれから数ヵ月後、自分としては大金をはたいて、NEC製の98シリーズデスクトップパソコンを思い切って買いました。半分はインターネットをしたいというのがありましたが、もう半分は間違いなく「恋クラ」をプレイしたいがためでした。

そして、このゲームは期待を裏切らず、かわいらしい女の子達、ため息の出るような美しいCGの塗り、そして甘酸っぱい恋愛色の強いストーリーに夢中になったものです。
これをきっかけに、まずLIBIDOの作品は優先的に買うようになりました。そしてしばらくすると、徐々にLIBIDO以外のメーカーにも目を向けるようになり、それがいつのまにか、何十本というゲームをプレイしてきた現在に至るわけです。それを思うと、このLIBIDOというメーカーは僕の人生に多大な影響を与えることとなったこのゲーム世界に引き合わせてくれた、運命的な存在と言えます。

当レビュータイトルでも上の「恋クラ」以外に「RHYTHM」「Girl Friends」を掲載していますが、これ以外にも、レビューこそしていないものの、「恋クラ」の裏版であるLIBIDO最大のヒット作「放課後マニア倶楽部」をはじめ、「Fifteen」、「恋愛組曲」等をプレイしました。

というわけで、今回のLIBIDO解散については、個人的にも万感の思いがするわけです。

とは言っても、「恋愛組曲」以降、このメーカーの作品はとんとごぶさたです。
以前からここは内部のゴタゴタが噂されていたのですが、その悪影響が作品のクオリティーに如実に反映されてきたのは、やはり「Girl Friends」あたりからでしょうかね。これ以降は、以前の作品の焼き直し以下でしかないというのがプレイせずともパッケージだけでわかるんじゃないかと思うほどでした。

少し前のイベント(Dream Partyだったかな?)で、ここのブースが今さら「恋クラ」を持ち出してその英語版を紹介しているのを見て、何やってるんだろうなあとあきれたのを思い出します。ちなみに、ブース前は人っ子一人なくガラガラでした。
この時は、もう末期的症状だったわけですね。

多くの人が認める通り、女の子のかわいらしさとCGの塗りは業界でもずば抜けており、なおかつ内容面でも「恋クラ」のような純愛もの、そしてそれと全く同じ素材をダークなサイドから料理し直すという斬新さで受けた「マニア倶楽部」、RPGであり3Dも採り入れた「RHYTHM」、インターネットブラウザを模した実験的作品「Fifteen」など、常に新しいことに挑戦し続けていた姿勢といい、このまま順調に続けてさえすれば、間違いなく業界のトップグループに君臨できるだけの潜在能力を持っていたと思います。それだけに、この結末は大変残念です。

現在僕が主流にプレイしている、KEY等をはじめとするいわゆる「感動系ゲーム」(この呼び方は必ずしも好きではないですが…)は、もちろん好きです。しかしその一方で、18禁の18禁たるゆえんであるエッチシーンがしばしばあまりにもおざなりになっているのではないかという根本的疑問が常にひっかかっているというのも事実。その意味でも、あくまでエロが根底にあるゲーム作りを行っていたLIBIDOは僕の中でまさしく「エロゲー」の本家本流であり、頑張ってほしかったのですが…。

もちろんLIBIDOに限らずとも、エロをメインに追求しているメーカーもたくさんあるでしょう。しかし、これは個人的好みも多分にあるのでしょうが、ここほど女の子の「かわいさ」と「エッチさ」を両立させ、なおかつ純愛物から鬼畜物まで多彩なストーリーを展開できたメーカーはなかったのではないかと思っています。

あれこれとりとめないことを書きましたが、以上です。途中で愛想をつかしたとはいえ、やはりこれだけ思い出を残してくれたメーカーでしたので、何か書きたかったのです。

お情けで、「花々の想ひ…」買ってみようかな、なんて。しかしこれ、最後の最後で原画のタッチが思いっきり変わっちゃってるな…。

(2005/9/17)