2005年12月14日

『相棒IV』の『冤罪』の真実とは?

『相棒IV』の『冤罪』を見終わって、いつもながら、実によくできたストーリーに関心しました。

「これが最後だ」と思った「法廷」での「どんでん返し」の後に、更に杉下右京さんが亀山刑事に語ったことはまさに「大どんでん返し」でした。

「真実はいずれ明らかになるでしょう」という杉下右京の言葉でドラマは終わりました。

右京氏は「弁護士も刑事も『殺人教唆』などしていない可能性がある」と亀山刑事に示唆しました。

つまり篠宮ゆかりを「傷害致死罪」の犯人として「検察」に「送検」した安城刑事も、その弁護を担当していた女性弁護士、室園悦子も、篠宮ゆかりに対して、実際は「殺人教唆」など全くしていなかったのに「法廷」で篠宮ゆかりによって「自白」という決定的な形で「冤罪」をかけられた。

そして彼らは、その「冤罪」によって確実に「逮捕」され「実刑」を受けることになる。
というのが「真実」だとも考えられるということでしたよね。

「法廷」で、裁判官が、被告人である篠宮ゆかりに対して

「検察側からの起訴事実を認められますか?」と尋ねた時に、篠宮ゆかりが

「ひとつだけ間違っています。私は安城刑事と室園悦子弁護士によって『殺人教唆』を受けました。安城刑事は『傷害致死罪にしておいてやるから』と言い、篠宮弁護士は『執行猶予に持ち込める』と私に約束してくれました」
と裁判官に対して「証拠」となりうる、決定的な告白をしました。

すなわち彼女は担当の「刑事と弁護士」によって「殺人教唆」を受けたと語ったわけです。

篠宮ゆかりが語ったことが「真実」なのか?まったく根拠がありません。
しかし「法廷で『被告人』によって語られること」は『証拠となりうる場合がある』!

彼女から、そのとんでもない『告白』が語られた途端、傍聴席の記者団は、皆、いっせいに外に飛び出しました!
当然彼女の告白を信じたからです!

新聞、テレビなどの各メディアは
「刑事と弁護士が、自分の保身の為に、時効が成立した犯人の名前を被害者の実の妹に告げ『殺人教唆』をそそのかした結果、その妹が、こともあろうに20年間も内縁関係であった男性である、青木由紀夫が、実は自分の兄を「冤罪」に追い込んだ、20年前の強盗殺人事件の真犯人であると知り、そのショックと強い恨みから、教えられた真犯人であり、内縁の男であった青木を灰皿で殴打し殺害した」
という、実にスキャンダラスな事件と確信したわけです。

全てのメディアはそのことを報道し、世論は確実にそちらに動いてしまうでしょう。

そして20年前に、何の罪もない実の兄を逮捕し、強制的に自白させ、強引に「強盗殺人の犯人」に仕立て上げ「検察に送検」した安城刑事と、その「冤罪」をかけられた「無実の人間(篠宮彬)」を「裁判所」に「起訴」してしまうという「決定的なミス」を犯した当時の事件担当の女性検察官であった篠宮悦子は、自分達が犯した「過ち」であり「罪」である「冤罪」によって、逮捕され、その地位も名誉も全て失い、獄中で過ごすことになるでしょう。

「冤罪」で逮捕された後、間もなく「獄中」で病死した無実の男には、一人の妹が居た。
その妹が立てた恐ろしい「復讐の計画」!
その「計画」が見事に成功した、という見方があると杉下右京は亀山刑事にだけ示唆したわけですね。

私は「まさか!」と驚きましたが、なるほど、その可能性が高いことを証明するシーンがあのドラマの中にあったことに気が付きました。

まず、冒頭の「緑川署」で、室園悦子弁護士と安城刑事がエレベーターの前で、偶然、出会うシーンが描かれています。

エレベーターの再開シーン
もしも彼らが、被疑者である篠宮ゆかりを「殺人教唆」に追い込もうと企んだのならば、2人が顔見知りである、というような姿を多くの刑事達の前でさらすはずがありません。

そんなことをしたら、20年前の事件での2人の関係も解ってしまうし「殺人教唆」を疑われる可能性があるからです。

つまり彼らは、今回の、篠宮ゆかりによる「青木殺し事件」によって「本当に偶然にも、20年振りにあのエレベーターの前で出会った」というのが「真実」であるということになります。

その事実は安城刑事と室園悦子弁護士が「殺人教唆」の打ち合わせなど、全くしていなかったということを意味します。

更に不可解なのは、殺された人物、青木由紀男のアパートの「畳のシミ」です。

『いったい何故、一枚だけ「シミのついた畳の向き」が変えられていたのでしょうか?』

つまり「シミのついたあの畳」は「意図的に、誰かの手によって逆さまにされていた」可能性があります。

ではその目的は?

今回の「篠宮ゆかりによる青木殺害」の事件を担当するであろう刑事に「重要なカギ」となる「黒革製の財布」を発見させる為と考えられます。

畳を上げる杉下右京
現に杉下右京刑事が畳を持ち上げただけなのに、これ見よがしに黒皮の財布は置かれてありました。

もしも20年前の「強盗殺人事件」の「真犯人」である青木由紀男が、黒川の財布を隠していたとしたら、そんなずさんな隠し方をするとはまず考えられません。

もしもあの「シミのついた畳」の向きが逆さになっていなければ、杉下右京氏は「畳のシミの不自然さ」に気が付くことはなかったでしょう。
そして、その「畳を元に戻す作業」もせず「黒皮の財布」を発見することもなかった筈です。
それが「シミのついた畳の向き」を変えてあった目的でしょう。

では、いったい誰がそんなことを?

ここでひとつ『重要な疑問』が浮かびます。

『あの刑事も女弁護士も「殺人教唆」をしていないとすれば「篠宮ゆかりはどうやって真犯人を知ることができたのか?」という疑問』です。

あの「シミのついた畳」は小柄な女性である篠宮ゆかり一人の力で回せたのでしょうか?
更にこれだけの計画を、彼女たった一人で考えられたのでしょうか?
そこに「犯罪」や「刑法」に詳しい人物が居た可能性はないでしょうか?

篠宮ゆかりが、安城刑事にも室園悦子弁護士にも、20年前の兄が「冤罪」をかけられた事件の真犯人の名前を聞いていないとすれば、誰か他の人物が篠宮ゆかりに「真犯人」であある「青木由紀男」の名前を教えた筈です。

そして、その人物は、そのことを「証明」できる人物の筈です。

そんなことができる人物とは、20年前の、篠宮ゆかりの実の兄「篠宮彬の事件」に深い関わりを持ち、尚かつ、その事件の真相を知る人物であるはずです。

その人物とは、当時「篠宮彬の事件」に関わっていた刑事の一人とは考えられないでしょうか?

つまり20年前に、篠宮彬が強制的に「強盗殺人の犯人」仕立て上げられた現場を見ていた「刑事」である可能性はないでしょうか?

その刑事は、自分の目の前で拷問のような安城刑事による取り調べの現場を見ていたのではないでしょうか?

そして、その後、真犯人が青木由紀男を知ることとなり「冤罪」を主張したまま「獄中」で死んでいった無実の篠宮彬に、強い罪悪感を覚え苦しんでいたのかもしれません。

青木由紀男の「時効」が成立した時、その刑事は、その理不尽さに、憤りを覚え『冤罪』をかけられたまま『無罪』を主張したまま病で死んでいった、篠宮彬の実の妹である篠宮ゆかりに、今回の計画を持ちかけた可能性はないでしょうか?

こんなふうに考えると、すべてのつじつまが合うように思えるのですが・・・

すべて私の「憶測」に過ぎませんが、かなり高い確率で、可能性はあると思うのです。

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『相棒IV』の『冤罪』をご覧になられていない方の為に、相棒のHPにあった『冤罪』というドラマのあらすじを掲載しておきます。
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第9話 「冤罪」

 「私…、人を殺しました」。

ある晩、緑川警察署に、内縁関係のゆき(青木由紀男)を自宅アパートで殺害したと、篠宮ゆかりが出頭してくる。

凶器の灰皿を持ったまま2時間もさまよい歩いた末、逃げ切れないとあきらめ、近くにあった緑川署に自首したのだという。

原因は別れ話のもつれ。

捜査課は、当直で聴取を担当した安城雄二警部補を中心に、正当防衛の可能性も視野に入れ捜査を進めると決定する。

その直後、安城はゆかりの弁護士と名乗る室園悦子の訪問を受ける。

送検も起訴も済んでいないのに、手際が良すぎる。

不審を抱いた杉下右京(水谷豊)は、悦子の事務所に向かう。
 
悦子は数日前、青木との金銭トラブルをゆかりから相談されていた。
しかし、悦子は刑事事件が専門。
そこで、民事専門の弁護士を紹介し、帰したという。

ゆかりは、その時の名刺を出頭時に所持していたらしく、すぐに悦子に弁護を頼んだというわけだ。

悦子立会いの下、ゆかりと接見した右京は、凶器の灰皿はヘビースモーカーだった青木の持ち物だと聞かされる。
だが、アパートを訪れた右京と亀山薫(寺脇康文)は、10年も住んでいたというのに、畳に焦げ跡が一つもないことを不思議に思う。

几帳面とは言いがたいほど部屋は散らかり、何かをこぼしたような染みまで残っているのに…。

「妙ですね」

染みを見つめる右京がつぶやく。

染み跡が、畳の縁できれいに途切れているのだ。
そして隣の畳の反対側に、同様の染みが。
2人は畳を持ち上げ回転してみる。
染みはぴったりつながった。
と同時に、畳の下から札入れが見つかる。
青木の財布は押収済み。

ではこの札入れは…?

その日、ゆかりの兄・彬の逮捕歴が明らかになる。
罪状はゆかりと同じく殺人。
彬は20年前、金子祐介殺害を自白。
しかし、その後“冤(えん)罪”を主張し、上告中に拘置所で病死していた。

自白調書を読み終えた右京は、取調官の署名に目を留める。
「安城雄二」
ゆかりの担当捜査官だ。
 
安城の調べでは、犯人が兄妹ということを除き、2つの事件に関わった人物に接点はないという。
自身が担当になったのも運命の皮肉だと。

しかし、右京たちは違和感をぬぐい切れない。
そしてその夜、違和感を一層強める情報が、奥寺美和子(鈴木砂羽)からもたらされる。彬を起訴したのは、当時、検事だった悦子だと!

「皮肉」

悦子は安城と同じ言葉を口にする。

ゆかりは過去の事実を知らずに、自分に弁護を依頼していると続ける悦子。

だが、右京たちはこの言葉を信じない。
身内を起訴した検事の顔を、誰が忘れるというのか。
 
右京たちが畳の下から発見した札入れは鑑定に掛けられ、結果、青木と20年前の被害者・金子の指紋が検出される。これにより、青木が20年前の真犯人という可能性が浮上。

獄中死した彬は、やはり無実だったのか? 

そうとも知らず、兄の仇とも言える男と内縁関係を続けていたゆかり。

もしも彼女がその事実を知ったとしたら!?
 
財布には他に、身元不明の指紋があった。
すぐに安城の指紋と照会させる右京。
ところが明らかになった指紋の主は、安城ではなく悦子であった…!
この記事へのコメント
 突然で恐縮ですがご招待です
 「時効/殺人事件」に関するクイズを作りました。
 お近くへおいでの節は、どうぞ拙宅へもお立ち寄り下さい
→ http://blog.q-q.jp/200512/article_91.html
(ご迷惑でしたら、お手数ですがコメント、TBの削除をお願いします)
Posted by 素町人@思案橋 at 2005年12月19日 13:30
素町人@思案橋様へ

おろろ?
クイズ???

なんだかおもしろそうヽ(^。^)/

ぜひ、お伺いしますネ。
Posted by ボチ at 2005年12月19日 15:44
 
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