2008年03月26日

潮目新聞社コラム 「直感がもたらす錯覚」

先日、無職の男が刃物で8人を死傷させる惨劇が起こった。
警察の調べによると男はゲームが大好きだと言う。

ゲームと言えば最近は任天堂から発売している「Wii」と「DS」が競合他社に水をあけている。
両者ともボタンだけではなく、リモコンやタッチペンを用いて直観的に操作をするのがその人気の秘密だ。

男はかつても、ゲームの中でボタンを押すという非現実的な操作で残忍に人を殺していた。
男はボタンを押して人を殺す事に満足していたが、そこへ新たな風が吹き込んだ。
WiiとDSである。

任天堂のDSやWiiのゲームにおいて人を斬る場合、タッチペンやリモコンを刃物に見立てて振る。
非現実的だったボタンから、直感的で現実的な刃物にぐっと近づいたのだ。
このゲームの遊び方の変化が、犯人に現実との錯覚を与えた可能性は無視できない。

また、Wiiは銃も刃物と同様に、それに見立てて遊ぶことができる。
近年、実際の兵士の目線で戦争を追体験するFPSという種類のゲームが人気を博している。
銃という忌むべきものに気軽に触れさせることによって、殺人に対する恐怖心や嫌悪感を奪っているのだろう。

任天堂の導く世界は決して明るいものではない。

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