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2013年2月11日

会見全録:佐藤琢磨、2013年を語る。

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今年、F1からインディカーに転身して4年目を迎える佐藤琢磨が、新チームでの新たなシーズンの夢を語った。今年のメインの活動は、アメリカのレース界随一の英雄、AJフォイトのチームでのインディカーシリーズ。

2月8日、青山のウェルカムプラザで行なわれた2013年Hondaモータースポーツ活動計画発表会に続いて行なわれた共同記者会見の模様を全録する。

4年目を迎えるアメリカのインディカー・シリーズと、去年に続いて、より進化した体制でチャレンジする国内最高峰のスーパーフォーミュラ(旧フォーミュラ・ニッポン)を、佐藤は、いつもどおり前向きな気持ちで迎えている。

◆去年は課題も見えた。
----去年はどんな年でしたか?
琢磨:常にトップグループで走れましたが、いろいろ課題が見えた年でしたね。それを活かして今年を走りたいと思います。

----今年移籍するAJフォイトのチームについて、どんな感想を?
琢磨:去年のチームの活躍を観ていると、よくも悪くも、平均値が高いというか、常に安定したパフォーマンスをみせることができていましたね。ある意味、飛び抜けた凄いスピードがあることを見せたわけではないけれど、ロードコースもショートオーバルも、非常に力強いパフォーマンスを見せることができて、(自分と)同じ1台体制のチームとしては、ボクも注目度が高かったので、(今年そこで走れることを)期待しています。

まだ、実際にクルマに乗ってみないので、(正確なことろは)正直なところは分かりませんが、エンジニアやチームスタッフと話している中では、クルマ作りの考え方が、チームによって色が違って、これまで3年間、特に去年新しいクルマになってからの情報を練り合わせていくような走りを期待したいです。

----AJフォイトといえばアメリカのパイオニアとして非常に高名ですが、AJのところで走ることに対
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しては、どういう風に捉えていますか?
琢磨:AJが凄すぎて、ボクは影がすごく薄いですね(笑)、ホントにビックリしちゃう(笑)。もちろん、ボビー・レイホールなども北米や世界的にも名前のあるドライバー(出身の監督)とやってきた。ボビーに関しては、もう伝説の域までいっている。さらにAJフォイトは、また一段レベルが違うとというか、知らない人はいないんじゃないか、というくらいですから。

多分北米での知名度は凄いですね。彼は、現役のレーシングドライバーとして非常に長いキャリアを持っていて、それでなおかつ、今でもしゃべり出せば止まらない性格(笑)ですから、ホントに一緒にいて刺激を受ける人ですね。

いまのインディカーシリーズが、傾向としてインディアナボリスにファトクトリーがあって、精度が高いチーム作りをしていますが、(AJのチームは)テキサスのヒューストンに本拠地を置いている。彼等なりのやり方や信念を持っているので、チームとしては安定していると思います。

----AJ自身についてはどうですか?
琢磨:AJがあんなに凄いパッションがある人なんだっていうのは、一緒に話をするまでわからなかったし、実際にチームスポンサーのプロモーションに一緒に行ったりしましたが、レース会場とはまったく畑の違うところでサイン会をやったときに、ホントにボクの10倍くらいの人が集ってましたね。彼の何十年にもわたるスピリットと、やってきたことが本当に凄いんだな、と思いました。

AJは、"レジェンドってなんだ?""ヒローってなんだ?"って言うんですが、"500を走ることは特別なことなんだ"ということも教えてくれましたね。

(そのインディ500で)昨年レイホールで走った(ボクの)走りは、非常に鮮烈だったようで、そういう意味で期待されていることを感じるし、チームも長い間勝利から遠ざかっているので、勢いのあるチームということで、AJと仕事をするのが凄く楽しみです。

----自分自身の課題が見えたとのことですが、もう少し具体的にお願いします。
琢磨:これは、チームの走らせ方にもよると思います。どういうことかと言うと、(去年は)パフォーマンスは上がっていたけれど、最終的に悔しい思いをして勝利につながらなかった、というのがあったんですね。これは、クルマの作り方もそうだし、走り方もそうだし、そこで、学ぶことが多かった。去年のインディ500にしても、クルマが凄くエッジーだったけれど、そのなかで、それを理解していれば、ダリオとの攻防の中で、最終ラップの1コーナーで白線を踏んでしまったがゆえにグリップを失ってボクはスピンしてしまうんですけど、例えばそこまで降りずに(ラインをインサイドにせずに)、(ダリオに)軽く接触してもそこで止めるべきだったかな、と。

そういうクルマであることが分かっていれば、アプローチの仕方を変えるとか、そういう細かいところですね。これは去年に限ったことではないですね、毎戦毎戦、試行錯誤を繰り返すことですね。これを新しいAJフォイトのチームでうまく前に進むような形で引き出していきたいと思います。

----去年のレースでは、やはりインディ500の最終ラップが一番インパクトが強かったですが、あの場面は、オーバーテイクを試みた、というマインドが素晴らしいという意見とともに、行かなくてもよかったのではないか、という意見もありますが、本人はどう解釈していますか?
琢磨:いや、ボクはもう、行くべき、と思っています、いまでも。それは悔しいですよ、悔しいけれど、後悔はしていないです。勝ちに行く、ということが凄く大事だと思うんです。あのまま2位でゴールという手段もあったと思うし、もしかしたらチームにとってもその方が(賞金ももらえて)よったかもしれないけれど、なんだろう、チーム以外のところでも、元メカニックだったという人がきてくれて、"オレがメカニックだったら、どれだけクルマをぶっ壊されてもああいう走りを見せてくれるドライバーだかこそクルマをつくるんだ"といってくれて。もちろん、そういうことをいってくれる人が全員ではないですよ、でも、嬉しかったですね。

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自分が自分なりに、F1時代からボクは、なんというか挑戦者であり続けて、もちろん、失敗も何度もしてきましたが、そこからひとつひとつ学んできたし、自分としては、アタックしていかなければ道は拓けない、というレースを貫いてきて、それだけではだめだということは分かっているけれど、そういう姿勢を貫いたからこそ、いまでもステアリングを握り続けることができていると思います。

----課題が見えた、という中に、そうした部分を我慢する、ということではないですね?
琢磨:ケースbyケースですね。クルマ以上の走りはできない。残念ながらモータースポーツは魔法ではないので、クルマ以上には走れないんですよね。クルマが早くないとどんなに頑張っても早く走れない。条件がことなる、例えば雨だったりとか、タイヤが磨耗している中でのコントロールとか、そういう部分でドライバーが見せていくわけですが、純粋な(物理的な)スピードを越えることはできないので、それを引き上げるのが、エンジニアとチームの力であり、あるいはどんな条件でも前にイケルようにするのがチームであり、そのなかでどうゴールに結びつけるのことができるかが、ドライバーの技量として問われるところだと思います。

だからスピードにプラスして、安定感やマネージメントを含めたジャッジをどれだけ確実に遂行できるかだと思います。そういう意味で、シーズン4年目に入る自分としては、これまで以上にそういう部分にフォーカスを当てつつ、スピードはこれまで以上に、というのを目標にしていきます。

----今年のチーム体制については?
琢磨:去年のインディ500を観ていかAJフォイトを含めたチーム全員が、かなり応援してくれていたようです。特にマイク(去年のAJフォイト・チームのドライバーのマイク・コンウェイ)がリタイアした後は、最後まで白熱する中で盛り上がってボクを応援してくれていたみたいで、ファイナルラップでヒュッと顔を出して先頭に行ったときに、"あれはオレのドライバーだ!!"とAJが叫んだというんですね(笑)。とても幸せなことだと思います。その期待を裏切らないようないい関係を築いていきたいと思います。

AJは、決して若くないし、ケガの痕が身体中にあるし、でも、モータースポーツ、レース、勝利にかける情熱は誰よりも高い気がします。そんな中で、エンジニアは好対照で、博士みたいな人ですね。ある意味、KV時代にコンビを組んでいたジャレットに似ていますね。コンサバだし、デザイナー上がりということもあって、着実なクルマ作りをするようですね。

去年のエンジニアは、オーバルのことを知らないけれど、だからこそボクがビックリするくらい挑戦的なセッティングをすることもあって、それが形になることもあったので、そこを活かしてうまくハメられば、安定感を損なわずにスピードアップできるのではないか、というのがボクの理想ですね。

◆スーパーフォーミラも進化を期待!!
----去年、フォーミュラニッポンに参加しました。
琢磨:非常にクルマが特殊なドライビングスタイルとクルマのセットアップを要求されると聞いていましたが、実際ドライブしてドギモを抜かれました(笑)。"こういう走らせ方をしなければいけないんだ"ということが勉強になって楽しかったですね。

でも、楽しかったけれど、レースドライバーである以上、やっぱり前を走りたいので、去年はスポット参戦で、GTのエンジニアが時間のない中でセッティングをするような体制だったので、チームにとっても厳しい条件だったと思うけれど、その中では、確実にひとつふたつ、毎戦みつけることができたので、(チームメイトの山本)尚樹号は、コンサバにいかなければならない背景の中で、ボクたちは冒険をしようと。冒険が結果的にうまく回らなかったけれど、そのチャレンジは意味があったと思います。

いまシーズンは、開幕戦に乗ることから、シーズンに一気に勢いをつけたい、というのもありますし、そのあと、小林崇志にバトンタッチして、チームがいいレースができるように心からエールを送りたいですね。で、秋に戻ってきた時には、昨年できなかったことをリカバーして、スーパーフォーミュラでもいい走りで見せたいでねす。

----3月2日と3日のファン感謝デーでも走行するとのことですが。
琢磨:ファン感の"ラウンドゼロ"も楽しみですし、その後行なわれる合同テストも参加予定なので、新しいエンジニアも入りましたから、そこでやりたいプログラムが一杯あると思うので、いいクルマにしたいと思います。

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目指すは優勝のみ!!

----AJフォイトと今期について、何か話をしていますか?
琢磨:とにかく、勝ちしか考えていないですね。AJもとにかく勝ちにこだわっているので、チームを引っ張っていくエンジニアと、ドライブするボクが勝ちに対する思いが強いんですが、チームはさっきも話した通り、案外クールなんですね。そこが、いい意味で調和してくれればいいな、逆に言えば調和させるべきだな、と。目標は、表彰台のてっぺんに登ることだけですが、シーズン通して、パフォーマンスがないことろをできる限りなくして、常にトップグループで走れるようになってほしいと思います。

[STINGER]山口正己

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