
古民家のリビングが編集部。元茨城新聞の記者・松本さんが現場責任者として大槌に常駐する。 |
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カレンダーの1日1日に町の方の顔写真が写る「町民カレンダー」。「別の仮設住宅に離れてしまった、かつてのご近所さんの元気な様子がわかった」など、好評。 |
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創刊号から4号の紙面を手にした、学生インターンの木村さんと現場責任者の松本さん |
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東日本大震災の大津波を受け、町長をはじめとする役場の幹部40名が行方不明となった岩手県大槌町。町の広報機能が停止したうえ、地元をカバーしていた夕刊紙も廃刊となり、情報を得る事も発信する事も出来ず、震災後は「沈黙のまち」と化していた。
こうした状況を改善するため、ジャーナリスト育成を行う「日本ジャーナリスト教育センター(運営代表藤代裕之、略称:JCEJ)」と、ボランティア情報をネットで集約・発信しているNPO法人「ボランティアインフォ(代表:北村孝之)」が中心となり、「NewsLabおおつち」を設立。
現場責任者には、元茨城新聞の記者でメディア事業部長も歴任した松本裕樹さんが就き、大槌の新しいローカルメディア「大槌みらい新聞」の発行が昨年8月よりスタートした。
この日の大槌は、雪模様。山すその住宅街にある「NewsLabおおつち」の拠点を訪れると、古民家の玄関で松本さんが出迎えてくれた。「えーと、ここが編集部になるのかな」と笑みを浮かべる松本さんが、石油ストーブの置かれたリビングへ案内してくれる。机の上に置かれた「大槌みらい新聞」第4号の1面には、大槌高校3年の臺(だい)隆裕くんがトランペットを吹く横顔の写真が、大きく掲載されている。「1面には、この町の若い人たちを取り上げることにしているんですよ」と言いながらバックナンバーを見せてくれた。読みやすい大きな文字とシンプルなデザイン、スポーツ雑誌の表紙や海外紙のような、斬新なアングルの写真が目をひく。松本さんは「取り上げる人物の表情や息づかいを伝えようとおもったら、こういう紙面になった。これでもまだ、思い切りが足りないぐらい」と笑う。
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